ホームヘルパーの離職とその理由について考える


ホームヘルパーの仕事はやりがいを感じることができる仕事です。しかし、離職率が高いということもまた事実です。ホームヘルパーを目指すのであれば、この離職にもしっかりと向き合い、考えていくことが大切です。なぜ多くのホームヘルパーが離職してしまうのか、その原因について触れてみましょう。

■ホームヘルパーの仕事はやりがいのある仕事

ホームヘルパーの仕事は高齢者や障害者の日常の生活を支えることであり、大きなやりがいを感じることができる仕事であるといえます。ひとり暮らしをしている利用者の中には、ホームヘルパーの訪問を楽しみに待っている人は多く、ホームヘルパーはその仕事を通して利用者やその家族からも信頼を得ることができ、またこうした人との関わりの中で自身の成長を実感できる素晴らしい仕事です。

買い物に行くことが困難な状態になり、食事がきちんととれていない利用者には、買い物を代わりに行くことや食事を作ることで手助けができます。利用者は栄養のあるものを毎食食べることができるようになり、毎日の生活も充実したものへと変化していくでしょう。

また、介護が負担になっている家族には、代わりに介護を行って家族の支えとなることで、利用者も家族も身体的、精神的負担が軽くなり、快適な毎日を送ることができるようになります。

ホームヘルパーの仕事は、利用者やその家族の生活をより良いものへと導くことができる、そんなお仕事なのです。

■その反面、離職する人が多いという現実も

前述したように、ホームヘルパーの仕事は多くの人を笑顔にする、人のためにも自分のためにもなる魅力的なお仕事です。一方で、離職率が高いという現実もあり、ホームヘルパーの仕事は年々人手が不足してきています。

ホームヘルパーとして働くには、介護職員初任者研修やヘルパー2級の資格が必要であり、研修費用や時間をかけて資格を取得した後にホームヘルパーとして働くことができます。ホームヘルパーとして働く中には「人のために働こう!」と強い志をもって仕事に取り組む方も多いでしょう。

しかし、実際に働いてみると、体力面でも精神面でもきつく、それなのに給料はそれほど高くはないと感じてしまう現実があります。そのため、不満をつのらせて離職する人が後を絶ちません。

また、このような報酬面での問題の他に、ホームヘルパーの職業病とも言われている腰痛に悩まされて離職していく人も少なくありません。

ホームへルパーの待遇に関しては政府も積極的に動いており、以前よりも改善されてきていますが、それでもなお、離職する人が多い現状はそれほど変わってはいません。

■無償労働という問題を抱えるホームヘルパーの仕事

報酬が低いことに対して不満を抱いた人が離職していくとお話しましたが、この問題の根底には、別の問題が隠れています。それは、労働の中に、報酬を得ずに働かなければいけない労働がある、つまり無償労働が多いということです。

ホームヘルパーは、提供した介護サービス内容で賃金が発生する仕組みになっています。そのため、介護サービス提供以外の勤務時間は報酬は発生しません。例えば、介護サービスと介護サービスの合間の待機時間や介護サービス時間以外での報告書の作成等の時間は報酬が発生しないことがほとんどです。

ひどい場合は、ホームヘルパーが所有する車や携帯電話を仕事でも使用させ、交通費などの支給を行わない事業所もあります。

訪問介護事業所においては、ホームヘルパーへの研修が義務付けられているのにも関わらず、ホームヘルパーがボランティアで勉強会を開くというスタイルが定着してしまっている事業所も多くなっています。

もちろんすべての事業所がこのような状況ではありませんが、こういった問題がホームヘルパーの離職率を高めていることを知っておく必要があります。

ホームヘルパーの仕事はボランティア精神が必要な場面もあります。しかし、労働に対する報酬はきちんと支払わなければいけません。ホームヘルパーにも家族がいて、生活があります。

それが事業所によってはひどい勤務状況となっており、この問題解決が困難であると判断したホームヘルパーが離職していく状況が続いています。これが職場環境の問題です。ホームヘルパーの労働環境が1日も早く改善されるよう願うばかりです。



氏名: 長田賢士(株式会社 東邦マルニサービス 代表取締役副社長)
経歴: 介護福祉士・介護福祉経営士2級
専門学校卒業後7年半の現場に携わる。通所介護・介護付有料老人ホーム等の立ち上げ、管理者業務に携わり2012年株式会社マルニサービスを設立、介護コンサルタントとして介護経営支援、介護事業所開設・運営支援、介護経営セミナー等を業務とし全国の介護事業所の経営支援に携わる。



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