美容師の給料・年収を詳しく紹介|収入UPを目指せる7つの方法とは?

美容業界のなかでもっとも身近な職業である「美容師」を目指している人は、多いのではないでしょうか。しかし、美容師は「仕事量に対して給料が安い」といったイメージを持たれがち。では、美容師の給料は本当に安いのでしょうか。

そこで今回は、美容師の給料の実態や給料が低い理由、美容師が収入を上げる方法などについて、実際に美容室を経営する、株式会社オニカム代表 槇野 光昭さんにお話を伺いながら紹介します。

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美容師の給料・年収はどれくらい?

美容師の年収は、厚生労働省の「令和4年賃金構造基本統計調査」によると、美容室の企業規模が10人以上の場合、男女合計で年齢がおよそ32歳時点で約312万円でした。

美容師の男性のみの平均年収は約336万円で、女性のみでは約302万円ほどです。この年収額は手取り年収ではありません。ここから、所得税・厚生年金保険料・健康保険料・雇用保険料などを引いた金額が手取り年収です。

働く場所や規模によっても美容師の平均年収は異なります。また、役職や歩合の有無などによっても年収は変動するでしょう。

引用元
令和4年賃金構造基本統計調査|e-Stat

槙野さん
私はこの業界に入ってから、まず社労士の先生に相談しました。労務について勉強しつつ、36協定など、法律遵守の範囲内で給与設定をしました。
ここは必ず守らないといけない範囲なので、大前提ですね。

東京都の最低賃金を参考に、固定残業代も含め、上場を目指すためにもまず法律面を完璧にクリアにすることが必要だと考えたんです。

固定給を保証したうえで、経営にかかる費用のなかでの人件費率を設定し、売り上げからその分を引いた余剰分を、歩合給として分配しています。一番フェアな、スタッフの実力に応じて頑張っただけ分配して給料が増えるような仕組みを作っているんですよ。

たとえば、人件費率を50%に設定していたとしますよね。そうすると、売り上げが1,000万円あったとしたら、人件費は500万円になります。そのうち、全従業員の固定給と社会保険料などで300万必要なら、残りは200万円です。

その200万円を、指名数や目標達成率、遅刻していないかなどの要素を加味したうえで分配率を決定し、歩合給として分配します。

注意しなければいけないのは、社会保険料の存在です。たとえば、今シェアサロンが流行ってきていて、なかには「バック率80%」など高バック率をうたっているところもけっこうあります。

でもこれは、100万売り上げれば80万手に入る、というわけではありません。一般的なサロン経営者は、ここの誤解を解くために、しっかりと説明しなければいけないんですよね。

社会保険料は会社が半分ほど負担していますが、その事実を認識していない美容師が多いのが現状です。

従業員型で開業し歩合制を採用するのであれば、社会保険料の説明や、売り上げに対する従業員への利益の還元の仕方がクリアになるような説明が、非常に重要だと考えます。

企業規模による年収の違いとは?

上記の賃金構造基本統計調査のデータで企業規模ごとに年収を計算すると、下記のような結果になりました。

・10~99人:約301万円
・100~999人:約338万円
・1,000人以上:約443万円

このように、規模の大きい美容室のほうが給与水準も高い傾向があります。

性別による年収の違いとは?

同じ賃金構造基本統計調査では、性別ごとの給料データも出ています。年収換算すると、男性では約336万円、女性では約303万円と、男性のほうが年間で30万円ほど多いようです。

年代別による年収の違いとは?

賃金構造基本統計調査では、年齢階級や経験年数ごとのデータも公開されています。年代別で年収を計算すると、下記のような結果になりました。

・19歳まで:約220万円
・20~24歳:約253万円
・25~29歳:約316万円
・30~34歳:約366万円
・35~39歳:約375万円
・40~44歳:約387万円
・45~49歳:約396万円

年代が上がるごとに給料も増えていることがわかります。

引用元
令和4年賃金構造基本統計調査 年齢階級・経験年数階級別|e-Stat

経験年数による年収の違いとは?

前項と同じ賃金構造基本統計調査のデータで、経験年数ごとの年収も見てみましょう。

・0年:約248万円
・1~4年:約257万円
・5~9年:約322万円
・10~14年:約361万円
・15年以上:約396万円

こちらもキャリアを積むことによって増加しています。

店長になった場合の年収はどれくらい?

美容室の店長になった場合はどのくらいの年収になるのでしょうか。求人サイト「リジョブ」で、東京都の正社員美容師、さらに店長という雇用形態で募集されている求人を参考に紹介します。

店長候補の月給は約19~100万円ほどと差があります。年収に換算すると約230〜1,200万円です。

しかし、実際のところ、店長の年収は地域や企業の規模によってかなり異なります。そのため、店長の収入はこの金額よりも少ないことがあるでしょう。

引用元
【2024年1月版】東京都 正社員 店長 美容師の求人・転職|リジョブ

残業代は出るの?

美容師の仕事では、早朝出勤や残業があるケースも多いです。残業代は出るのか、気になる人もいるのではないでしょうか。実は、残業代の対応は、残業の理由や立場によって異なることがあります。

講習や勉強会に参加したり、勤務先の指示によって超勤したりする場合には、出ることが一般的です。しかし、居残りして自主練習する場合や管理監督者が残業する場合は出ないことも。また、美容室によっては、給料の一部として固定の残業代が支払われるケースもあります。

関連記事
美容師の勤務時間はどれくらい?残業・休憩問題とは?|サロンの労働環境を改善するコツ

福利厚生は充実してる?

美容師の福利厚生はどうなっているのでしょうか。対応はサロンによって差がありますが、下記のような福利厚生が用意されていることがあります。

・雇用保険や健康保険などの社会保険への加入
・産休・育休や特別休暇の制度
・家賃補助や交通費の支給
・健康診断
・社員旅行などのレジャー
・独立支援 など

働く際に福利厚生を重視したい人は、待遇をチェックしてみてください。

年齢・立場による収入の変化はどの程度?

前述したように、厚生労働省による「令和4年賃金構造基本統計調査」の結果から算出した、10人以上規模の企業で働く理美容師の年収は約312万円でした。

しかし、美容師の年齢や立場によって収入は変化します。ここでは、店長以外の美容師の収入が、おおよその経験年数と立場に応じてどのように変化していくのかを紹介します。

アシスタント

美容室に就職してしばらくは、アシスタントとして働くことがほとんどです。アシスタントはお客様に指名をもらう機会がないので、専属担当もなく、歩合給も採用されていません。

そのため、リジョブで募集されている求人でも、初任給は20〜25万円程度です。スタイリストデビューすると給料アップが期待できるので、まずはそこを目指します。以下はリジョブの求人データです。

アシスタント 下限 上限 平均
正社員(月給) 202,215円 265,489円 233,852円
アルバイト(時給) 1,067円 1,338円 1,203円
業務委託(月給) 266,556円 546,670円 406,613円

 

引用元
【2024年1月版】東京都 正社員 アシスタント 美容師の求人・転職|リジョブ

Jr.スタイリスト

Jr.スタイリストは、アシスタントとスタイリストの中間の役職です。美容室内の技術試験に受かると、仕事ではかんたんなカットなどを任されることもあるでしょう。はじめは簡単なカットから担当して、実践での実力を身につけていきます。

一人前のスタイリストまであと一歩の位置づけです。月給は店舗によってもさまざまですが、アシスタントとスタイリストの中間ほどの金額になるでしょう。

スタイリスト

スタイリストは経験年数が〜9年程度の美容師で、カットやカラーなどすべての施術をひとりでこなせます。

リジョブの求人募集でも、月給25〜30万円程度が相場です。歩合給により給料に違いが出やすくなるため、指名が増えればそれだけ高額収入も狙えます。以下はリジョブ求人データの詳細です。

スタイリスト 下限 上限 平均
正社員(月給) 231,753円 410,359円 321,056円
アルバイト(時給) 1,079円 1,285円 1,182円
業務委託(月給) 269,562円 441,368円 355,465円

 

引用元
【2024年1月版】東京都 正社員 スタイリスト 美容師の求人・転職|リジョブ

トップスタイリスト

スタイリストとして活躍する中で、条件を満たせばトップスタイリストになれることがあるでしょう。条件には「経験年数・技術・売り上げ・顧客数」などがありますが、店舗によって異なります。

通常のスタイリストと比べると収入は格段に上がりやすくなり、より高い年収を目指しやすくなります。後ほど詳しく紹介しますが、美容師で年収1,000万円を目指したい方は、トップスタイリストになるのもひとつの手です。

店長候補・幹部候補

経験年数が10年以上になると、店舗候補や幹部候補として美容室の経営にも携わるケースが出てきます。

リジョブの求人募集によると、店長候補や幹部候補の月給は30万円以上のサロンが多くあります。給料に応じたさまざまなスキルが求められますが、美容師として高収入を得たいなら、役職を狙うのもありでしょう。

店長(候補) 下限 上限 平均
正社員(月給) 282,990円 613,346円 448,168円
アルバイト(時給) 1,098円 1,600円 1,349円
業務委託(月給) 293,596円 912,430円 603,013円

 

引用元
【2024年1月版】東京都 正社員 店長・エリアマネージャー 美容師の求人・転職|リジョブ

美容師の年収は地域によっても変わる場合がある

美容師の年収は、地域によっても変動します。特に物価が高い都市部は年収が上がる傾向があります。物価が高いことで、最低賃金も上がり、美容室のメニュー単価も必然的に高くなりやすいからです。

しかし、都市部では家賃など美容室を運営する上でかかる経費も高くなります。経費よりも売り上げの規模を大きくするための経営手腕が必要となるでしょう。

美容師の給料が低めである理由とは?

美容師の給与水準は、残念ながら比較的低いと言わざるをえないでしょう。美容師の給料が低めであることには、いくつかの理由があります。

ここからは、美容師の給料が低い主な理由を紹介します。

1. 固定費が高い

美容師の給料が低めである大きな理由のひとつに、美容室は必要な固定費が高い、ということがあります。固定費とは、経営をするうえで必要な経費のうち、売り上げの増減にかかわらず一定で発生する経費のことを指します。

美容室にかかる固定費には、以下のようなものがあります。

・店舗の賃貸料
・設備や機器のレンタルリース料
・広告宣伝費
・人件費

そのほかにも、ドライヤーなどの機器を動かす電気代や、シャンプーなどで利用する水道代などは、他業種と比較すると高額になる傾向が高いです。

美容室は経費のなかでも固定費の割合が高いため、そのぶん人件費に多くの予算を振れないという実情があり、結果として給料が低くなってしまうと考えられます。

2. 価格競争|低価格化のあおり

現在、美容室の数は非常に多く、厚生労働省が発表する「令和4年度衛生行政報告例」では、美容所の数は26万9,889軒と発表されています。前年と比べて2.1%増加しており、今後ますます増えていく可能性も。

そのため、お客様の取り合いになってしまい、集客のために料金を安くする価格競争が進んでいます。価格競争が激化することで、お客様が来ても売り上げが上がらず、結果的に利益が出にくく、給料にも結びつかないと考えられるでしょう。

引用元
令和4年度衛生行政報告例の概況|厚生労働省

3. ボーナスが安い

年収が低い理由のひとつに、ボーナスの安さがあります。前述した厚生労働省の「令和4年賃金構造基本統計調査」によると、企業規模が10人以上の企業での美容師・理容師の年間賞与は7万円弱です。

これは他業種のデータと比較しても低く、月給にくわえて年間賞与も低いため、年収も上がりにくいと言えるでしょう。

引用元
令和4年賃金構造基本統計調査|e-Stat

4. スタイリストになるまでに時間がかかる

美容師は修業期間が長く、スタイリストになるまでに時間がかかります。前項で美容師の役職を紹介しましたが、一人前のスタイリストになるまで、サロンによっては5~9年ほどかかるケースもあるようです。

それまでアシスタントやジュニアスタイリストとして働くことになりますが、この間の給料の相場が、美容師全体の平均年収を下げていると考えられます。

槙野さん
スタイリストになるまでの期間は人によって違いますが、早くスタイリストに昇格する人の特徴は、意欲の高い人ですね。

スタイリストとしてデビューするまでに時間がかかってしまう場合は、サロン側でデビューの基準が明確になっていないケースが多いんですよ。その基準に対して、店長やオーナーに問い詰めることができる人は、比較的早くデビューができると考えてよいでしょう。

たとえば、「カットができればスタイリストへ昇格する」という条件だと、曖昧で抽象的すぎますよね。

それに対し、「カットには何種類あって、どれだけできればいいですか」とか「ボブカットだとするならば、どのレベルまで仕上げられればいいですか」「自分はいまどれくらいまでできていますか」とか、質問できる人はスタイリストデビューも早いです。

私のサロンでは、デビューするための査定表を作成していて、「何がどう出来ているか」を明確にしたうえで、それを習得する標準期間というのを開示してます。

美容師側のスキルや意欲だけでなく、サロン側の基準が明確になっていないと、短期間のデビューは難しいでしょう。

ただし、スタイリストとしてデビューしたからといって、すぐに必ず給料が上がるわけではありません。

役職でベースが上がる可能性はありますが、お客様からの指名が取れなければ、アシスタント時代とほとんど変わらない場合もあります。

美容師で年収1,000万は可能?

残念ながら給与水準が高いとは言えない美容師ですが、年収1,000万円を目指せるのでしょうか?実は、美容師でも年収1,000万円を目指すことは不可能ではありません。

たとえば、高い技術とセンス、接客スキルを持ち、タレントやモデルも担当するような「カリスマ美容師」と呼ばれる美容師のなかには、年収1,000万円を超える人もいます。知名度をあげて、多くの指名客を持つ美容師になることができれば、歩合給などが加算され、高い給料を受け取ることができるようになるでしょう。

また、特定のサロンや企業に所属せず、面貸しやシェアサロンで活躍する、いわゆるフリーランス美容師のなかにも、年収1,000万を超える美容師がいます。こういった業務形態は、売り上げすべてを自分で管理することになるので、お客様を多く集めることができればできるほど、収入は高くなります。

美容師の年収については、別記事でも紹介していますのであわせてご覧ください。
【美容師年収1000万】 年収UPを目指すためにできる7つのこと

給料を上げるためにできる7つのこと

美容師が給料を上げるためには、何をすればよいのでしょうか?ここからは、給料アップを目指す美容師ができる7つのポイントを紹介します。

槙野さん
給料が高い美容師になるためには、一言でどんなスキルが必要、ということは難しいです。美容師それぞれで得意なことが違いますよね。なので、その得意な分野を伸ばしていくことが重要だと考えます。

たとえば、高い技術を持っていても会話が苦手、という美容師なら、Instagramを利用して施術例を広めたり、おしゃれをアピールしたりして、自分を広告塔として使うことが向いています。

反対に、技術は普通だけど会話が得意、という美容師なら、お客様に居心地のいい時間を提供できるような接客を心がけてみてください。

このように、一人ひとり何が得意で何が不得意か、ということをきちんと踏まえて、「どういう人を自分のお客様として集客したいのか」を明確にしたブランディングをおこなうと、数字として反映されやすく、サロンとしても評価しやすくなるので、結果として給料が上がる可能性が高いです。

1. キャリアアップ|店長を目指す

サロンや運営会社にもよりますが、美容師にはいくつかの役職があり、役職が上がるに連れ給料もアップする傾向にあります。

アシスタントはジュニアスタイリストへ、ジュニアスタイリストはスタイリストへ、ゆくゆくはマネージャーや店長など、長く同じサロンで働き続けて、より上の役職を目指してみましょう。

2. スキルを磨く|固定客・指名を増やす

施術スキルはもちろん、接客スキルなど、自分の技術や知識を磨きましょう。高い技術と丁寧な接客をおこなうことによって、お客様の満足度が上がると、固定客や指名の増加につながります。

とくに給料形態に歩合制を採用しているサロンや、指名料・指名手当などが付くサロンだと、固定客や指名の増加にともなって、収入も増加します。

また、スキルを磨くことは、前述のキャリアアップにもつながります。

3. 資格を取得する|ネイル・メイクアップ系もおすすめ

美容師免許以外に、新たな資格を取得するのもよいでしょう。資格を取得することで資格手当を得たり、仕事の幅が広がりお客様満足度の向上につながったりすることで、給料がアップする可能性があります。

資格を取得するのなら、美容師としてより専門的な知識を得られるものや、ネイルやメイクアップ系などの美容系に関連する資格がおすすめ。トータルビューティーに強くなることで、活躍の場が広がるでしょう。

美容師が新たに取得するおすすめの資格を紹介します。

管理美容師

美容師がまず取得するのにおすすめの資格に、管理美容師があります。管理美容師とは、2人以上の美容師が所属するサロンに必ず配属が必要で、サロン内の衛生管理をおこなう責任者です。

管理美容師の資格を取得するためには、下記のふたつの条件が必要です。

・理容師又は美容師の名簿に登録し免許を受けた後、受講資格基準日までに3年以上理容又は 美容の業務に従事している
・厚生労働大臣の定める基準に従い都道府県知事が指定した講習会の課程を修了

所定の講習科目をすべて履修し、かつ、理容(美容)の業務に従事し、若しくは従事した理容(美容)所の衛生管理状況を調査し、その問題点及び適切な改善計画を提出し、講習の成果があったと判定されると修了証書が交付され、管理美容師の資格を取得することができます。

引用元
東京都保健医療局:管理理容師・管理美容師について

管理美容師については、別記事でも紹介していますのであわせてご覧ください。
管理美容師の免許とは? 資格取得に必要な2つの条件や将来性、廃止のウワサなどについて解説

ヘアカラリスト検定

ヘアカラリスト検定は、NPO法人 日本ヘアカラー協会が認定している資格です。お客様に似合うカラーを提案したり、新たなヘアデザインを生み出したりするには、お客様一人ひとりの髪を見極める力や、薬剤について深く理解しコントロールする力が必要です。

ヘアカラーの技術向上を目指す美容師を対象に、シングルスターからファイブスターまで5つのランクがあり、ランクごとに共通言語化されたセミナーを受講して検定試験に合格することで資格を取得できます。

詳しくは、日本ヘアカラー協会のホームページをご覧ください。
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4. 条件の良いサロンに転職する

給料の基準は、サロンによって異なります。今の給料で満足できない場合は、思い切って今よりも条件のいいサロンに転職するのもひとつの手段です。

転職先を選ぶのなら、昇給や昇格制度が整っているサロンや、歩合制で還元率の高いサロン、指名料が付くサロン、資格手当が付くサロンなど、給料の基準をよく確認する必要があります。

長い実務経験や所持資格、スキルを活かして、よりよい条件のサロンを探してみましょう。

5. セミナーを開く|オンライン開催も

人に教えられるような高い技術や知識を持っている美容師なら、セミナーや講習会を開いて、スキルを伝える代わりに収入を得る、という方法もあります。

とくに現代では、美容師に限らずオンラインでのセミナーや講習も頻繁に開催されています。オンライン開催は大きな会場を借りる必要がなく、自宅からでも開催できるため、経費を抑えながら収入を得ることも可能です。

ただし、こういった収入は副業とみなされるため、所属するサロンや企業によっては禁止されていることもあります。副業が許可されているかどうか、きちんと確認してからおこないましょう。

6. フリーランスとして働く

年収をアップさせるためには、フリーランス美容師として働くのもよいでしょう。フリーランス美容師とは、特定のサロンや企業に所属せず、かつ自分の店舗を持たずに働く美容師のことです。

ほかのサロンと業務委託契約をしたり、面貸しやシェアサロンを利用したりするなど、いくつかの働き方があります。

フリーランス美容師は、勤務時間に拘束されることなく、ある程度自由な時間で働くことができます。また、担当するお客様が多ければ多いほど、比例して収入がアップしやすいなど、いくつかのメリットがあります。

反面、固定給がないため、予約が入らなかったり、病気や怪我で体を壊し働けない期間が出てしまったりすると、収入がゼロになってしまうというリスクもあります。

フリーランスの美容師については、別記事でも紹介していますのであわせてご覧ください。
フリーランスの美容師とは? 3つの働き方を紹介|フリーランスで働くメリット・デメリット

7. 独立する

美容室の正社員として働いた場合、給与システムは美容室によって異なりますが、「固定給+歩合給」となることが多いです。指名が増えれば給料は上がりますが、還元率は100%ではないので大幅なアップは見込めないでしょう。

一方、独立開業をすれば、売り上げから経費を差し引いた金額がそのまま給料になります。さらに、サロンオリジナルのヘアケア商品を店頭で販売したり、トータルビューティーサロンにして空き時間にネイルやマツエクのスクールを開校したりすれば、さらなる副収入を見込める可能性も。

ただし、これはあくまでも集客ができている場合です。正社員とは異なり、売り上げがなければ収入はゼロになってしまうので、独立して給料が下がるケースも少なくありません。このことから、独立開業する場合は、収入が減るリスクもあることは認識しておくことが重要です。

店長になる方法にはどんなものがある?

美容室の店長は、キャリアアップの到達点のひとつです。そんな店長になるためには、どのようなことから始めるとよいのでしょうか。ここでは、店長になる方法をいくつか紹介します。

チェーン店などの美容室に就職し店長になる

チェーン店の店長は、お店にオーナーがいて店長として雇われる形です。正社員として入社し、キャリアを積んでオーナーから指名されれば、店長になれます。また「美容室の店長」という求人もあるので、転職して店長になることも可能です。

チェーン店の店長になるメリットは、すでに知名度があり、リピーターがいるので最初から安定した収入が見込めることでしょう。しかし、デメリットとして、美容室のコンセプトやメニューが決まっているので、自由度が少なかったり、売り上げのノルマがあったりする可能性があります。

また、チェーン店の店長でもスタッフの育成を任されたり、店舗数が多いチェーン店は移動
があったりするので、事前に確認が必要です。

槙野さん
まず大切なのは、なぜ店長になりたいのか、理由を明確にすることです。たとえば、店長の待遇がいいからなりたい、という給料に関する理由なら、店長にならなくても違う方法があるし、協力することもできるよ、と答えています。「店長」というポジションに何を求めているのか本質がわからないと、行動にうつすことができません。

店長になる一般的な方法はたくさんありますが、一番早いのは、店長になりたいと思うお店の「オーナー」に、求めている店長像を聞くことです。オーナーがどんな人材を店長として求めているかで、目指すべきものや努力するところが変わります。

たとえば、私のサロンであれば、人がよくて嘘をつかない、誠実で技術のある人を理想の店長像としています。

スタイリストへのデビュー期間の項目でも話しましたが、店長も同じです。理想像を把握したうえでどんな基準があり、今自分がどれくらいできているのか、自分に足りないものはなにか、という検証をすることが、出世の近道だと考えます。

独立して自分の美容室の店長になる

もうひとつは自分の美容室をオープンして、オーナー兼店長になる方法です。自分の美容室なので、メニューや料金、営業時間などを自由に決められます。ビジネスがうまくいけば、スタッフや店舗数を増やしてさらなる収入アップが見込めるでしょう。

ただし、独立開業するにはまとまった資金が必要です。美容室をオープンするには1,000~1,500万円ほどが必要だといわれています。美容室の宣伝をして新規顧客の開拓からはじめなくてはいけないので、安定した収入を得るまでには数カ月かかるでしょう。

美容師の独立については、別記事でも紹介していますのであわせてご覧ください。
美容室を開業するまでの流れを紹介|開業費用はどれくらいかかるの?

店長になるメリットと注意点とは?

美容室の店長になることにはいくつかのメリットがありますが、注意点も存在します。ここからは、店長になるメリットと注意点についてそれぞれ見ていきましょう。

店長になるメリット

まずは、店長になるメリットについて紹介します。

1つ目は、年収アップが見込めるだけでなく、経営者としての知識や経験が身につくことです。美容室の経営に携わり実績を上げることで、さらなる収入アップも夢ではないでしょう。

2つ目のメリットは、スタッフ育成など、人材管理の面でやりがいを感じられることです。スタッフとの信頼関係を構築し、店の運営を円滑に進められることでさらなる自信へとつながるでしょう。

店長になる際の注意点

店長になる注意点は、スタッフのときよりも責任が重くなることです。経営や人材管理に携わるということは、何かトラブルが起こったときに責任を負わなければなりません。

経営面では、売り上げが伸びなければ店長の責任です。人材管理の面でも、スタッフ同士のトラブルやお客様からのクレームなどを的確にフォローする必要があります。

スタッフの士気を高めたり、店舗内の良好な人間関係を築いたりなども店長次第であるというプレッシャーもあるでしょう。

槙野さん
店長、ひいては経営者のスタンスとして「美容師ファースト」を掲げるサロンも多いですが、私の本心としては「お客様ファースト」です。お客様に喜んでもらえるサービスを追求することが商売の鉄則であり、美容室経営の本質だと考えています。

ただし、美容師にとっても魅力的な美容室でないと、当然ながら人は集まりません。そのため、美容師にとって魅力的な美容室とはなにかも重要視する必要があります。その役目や責任は、オーナーだけじゃなく店長にもかかってきます。

美容室を経営していくうえで、仲間集めはとても重要です。そのために、お客様に喜んでもらいつつ、美容師も気持ちよく働けるような環境を作らなければ、人を集めることができません。

たとえば、私のところでは、美容師が美容師の免許を取って、その職業的な夢が「自分で独立する」以外が全部叶うような、サロンで働くうえでの理想をすべて揃えた美容室作りを目指しています。

店長として上の立場になると、お客様のことだけでなく、サロン内のすべてのことに気をかけなければなりません。店長を目指すのなら、給料が上がるなどのメリットだけでなく、経営における責任なども加えて考えてみてくださいね。

給料UPを目指すためにできることから始めよう

今回は、美容師の年収や月給はどれくらいなのかについてや、年収を上げる方法などを紹介しました。

年収を上げるためには、スキルを磨いたり、資格を取ったりと、地道な努力をすることが一番の近道と言えるでしょう。指名が増えたり、サロン内で出世し役職に就くことで、給料が増える可能性があります。

店長になることにはメリットがありますが、求められる能力や責任も増えるなど注意点もあります。その一方で年収が増えるチャンスでもあり、やりがいも感じられます。

収入アップを目指すためにキャリアアップして、美容師としてのスキルを上げていきましょう。

なお、美容師としてより高い給料を得られる職場を探したいなら、ぜひ美容系求人サイト「リジョブ」で検索してみてください。豊富な求人数の中から詳細な検索条件を絞ることができ、自分にぴったりな職場を見つけられることで人気です。

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