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特集・コラム 2021-07-28

柔道整復師と整体師の違いとは? 柔道整復師の資格を取得するメリットを解説!

柔道整復師とは、ケガの治療や運動指導をおこなう職種です。医療行為が可能な国家資格であり、大きな需要があります。柔道整復師と似た職種に整体師がありますが、柔道整復師と整体師は違いがわかりにくく、区別がつかない場合が多いです。しかし、実際は資格や施術、勤務先が大きく異なります。

ここでは、具体的な違いを紹介します。柔道整復師の資格を取得することによる、メリットとデメリットについてもみていきましょう。

柔道整復師と整体師の違いとは?

柔道整復師と整体師は名称が似ていることから、混同されることが多い職種です。柔道整復師と整体師の違いについて解説します。

1. 資格にはどんな違いがあるの?

柔道整復師と整体師の資格には、それぞれ異なる特徴があります。大きな違いである資格、施術、勤務先について確認しておきましょう。

柔道整復師は国家資格|3年以上の勉強で受験資格取得

柔道整復師の資格は国家資格で、柔道整復師国家試験に合格すると取得できます。受験資格は、文部科学大臣の指定した学校、または都道府県知事の指定した柔道整復師養成施設で、3年以上知識と技能を修得したものに付与されます。

柔道整復師法が改正される前に知識と技能を修得したものや、改正法施行の際に知識と技能を修得中で改正法施行後にその修得を終えたものも対象です。

試験は毎年3月におこなわれ、試験科目は解剖学、生理学、運動学、病理学概論、衛生学・公衆衛生学、一般臨床医学、外科学概論、整形外科学、リハビリテーション医学、柔道整復理論、関係法規です。2020年の合格率は新卒が84.8%、既卒が16.5%でした。

整体師は民間資格|所定の条件をクリアで取得

整体師は、カイロプラクティックやリフレクソロジーなど民間資格取得者の総称です。民間資格は民間の各団体が定めた条件や試験をクリアすることで取得でき、資格がなくても整体師を名乗ることができます。

2. 施術内容はどこが違うの?

柔道整復師と整体師では、資格だけでなく施術内容にも違いがあります。違いについてみていきましょう。

柔道整復師の施術とは

柔道整復師の施術では骨、筋、関節などの運動器系疾患を手技で治療します。おもにおこなわれるのは3つの施術で、医療行為のできる点が特徴です。

・整復法
骨や関節をもとの位置に戻す操作

・固定法
三角巾や包帯を用いて患部を固定

・後療法
電気を使い、損傷箇所を回復させる物理療法や筋力のトレーニングをおこなう運動療法

治療には保険診療が適用され、患者さんの自己負担額は1~3割ほどになります。ただし、慢性的な疾患の施術に対しては、保険診療が適用されません。

整体師の施術とは|カイロプラクティックやリフレクソロジーなど

整体師はセラピストの役割が大きく、施術では手技で骨格の歪みを調整して体の不調を改善させます。たとえば、カイロプラクティックでは手技で背骨や骨盤の歪みを矯正し、リフレクソロジーでは独特な指使いで足を刺激して自然治癒力や免疫力を高めるなどです。整体師の施術は民間療法に位置づけられていて、保険診療は不可能となっています。

3. 勤務先に違いはある?

柔道整復師と整体師は所有する資格や施術内容が異なるため、勤務先も違います。それぞれのおもな勤務先をみていきましょう。

柔道整復師|整骨院・接骨院・整体院など

柔道整復師の勤務先は、整骨院や接骨院などがおもです。なかには整体院の名称の院で働いている場合もあり、介護福祉施設や医療施設で働くこともできます。

整体師|整体院など

整体師の勤務先は、整体院やリラクゼーションサロン、カイロプラクティック施術院などです。国家資格が必要な場所では働けません。

なぜおすすめ? 柔道整復師の資格を取得するメリットとは?

国家資格の柔道整復師を取得することには、大きなメリットがあります。柔道整復師の資格を取得する具体的なメリットについてご紹介していきましょう。

1. 幅広い場で活躍できる|医療現場や介護施設でも

柔道整復師の資格を取得すると、幅広い場で活躍できます。働き先は整骨院や接骨院のほか、医療現場や介護施設などさまざまです。緊急であれば、医師の許可がなくてもケガの治療をおこなえるため、あらゆる場面で資格が役立つでしょう。運動療法をおこなうので、スポーツトレーナーとしても働けます。

機能訓練指導員としても働ける!

介護保険法により定められた職種である、機能訓練指導員として働くことができます。機能訓練指導員になるためには、柔道整復師やはり師・きゅう師などの医療系国家資格の資格取得が必要であり、柔道整復師になれば自然と条件をクリアできるでしょう。機能訓練員の役割は利用者の状態に合わせて機能訓練をおこない、利用者が自立した生活を送れるよう支援するものです。

機能訓練指導員の働き先は、介護福祉施設や医療施設です。需要が増加していることもあり、働き先の選択肢が広がるのはメリットといえます。

2. 保険診療ができる

柔道整復師は医療行為ができる国家資格で、保険診療をおこなえます。保険診療は患者さんの費用負担が少なく済むため患者さんが通いやすく、柔道整復師側は集客がしやすいです。保険診療と自費診療を両方おこなうことで、安定した収入がえられます。

3. 独立開業ができる

柔道整復師と同じ医療系の国家資格である理学療法士や作業療法士は、医師の指示がないと治療できないので独立開業はできません。一方の柔道整復師は自分で判断して治療ができるため、独立開業が可能です。独立開業には大きな責任がともないますが、すべてにこだわりを反映させて大きなやりがいを持てるメリットがあります。

頑張りにより収入アップを見込める点も、独立開業のメリットです。技術向上や患者さんへの対応、院の雰囲気などさまざまなところを工夫して自分次第で好きにできます。

4. 女性の柔道整復師も需要が高い

女性の患者さんのなかには、女性に施術されたい方もいます。女性の柔道整復師は同姓の安心感があり、女性ならではの気遣いもできるので需要は大きいです。女性の患者さんや女性ならではの気遣いを求める男性の患者さんが増加すれば、今後さらに需要は高まるでしょう。

柔道整復師の資格取得にもデメリットはある?

柔道整復師の受験資格をえるためには、柔道整復師養成施設で3年以上知識と技能を修得しなくてはなりません。専門学校や大学に通う必要があり、受験資格の取得に時間と費用がかかる点はデメリットです。一般的に専門学校の学費は200~600万円、大学の学費は400~700万円ほどかかります。

また、試験が年に1回しかないのも、デメリットといえるでしょう。不合格になった場合、もう1年勉強をするのは精神的な負担が大きいです。勉強をおこなう際は、資格の質向上を目指して試験内容が改定される可能性も考慮しなくてはなりません。

柔道整復師は国家資格で保険診療も可能!

柔道整復師と整体師には、大きくわけて資格、施術、勤務先に違いがあることがわかりました。柔道整復師は国家資格であり、施術では運動器系疾患の治療をおもにおこない、勤務先は整骨院や接骨院が中心です。一方整体師は、整体をおこなう民間資格取得者の総称で、施術では体の不調改善をはかります。勤務先は整体院などで、国家資格が必要な場所で働くことは不可能です。

柔道整復師の資格取得には時間と費用が必要ですが、活躍の場が広がり保険診療ができるなど資格取得によるメリットはいろいろあります。自分に合う資格を選ぶようにしましょう。

参照元:
厚生労働省 柔道整復師国家試験の施行
公益財団法人 柔道整復研修試験財団 1.柔道整復師国家試験の実施
公益社団法人日本柔道整復師会 柔道整復師とは
日本医学柔整鍼灸専門学校 柔道整復師と整体師の違い

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