「どうして自分だけ!?」。アシスタント7年の苦悶時代に考えたこと【K+plusスタイリスト 吉野綾佑さん】#1

新たな道を切り開くとき、先輩たちはどうやって壁を乗り越えたのかを紹介するこの企画。今回はK+plusのスタイリスト、吉野綾佑さんにお話を伺います。

前編では、3歳からずっとプロのサッカー選手を夢見ていたのに中学2年のときに諦めて美容師の道を選んだこと、美容学校を卒業して現在のサロンに入社を決めたきっかけ、入社してからスタイリストデビューするまでに7年もかかったことについてインタビューしました。

お話を伺ったのは…

K+plus

スタイリスト 吉野綾佑さん

2012年大宮理容美容専門学校を卒業後、同年4月に株式会社ZERO HAIR&MAKE K+plusに入社。2019年1月にスタイリストデビューし、現在はサロンワークのかたわら中堅スタイリストとして後輩の指導にもあたっている。

中学生で初めての挫折。努力しても報われないことがある!

「将来の夢は?」と聞かれれば、迷わず「サッカー選手」と答えていたそう。

――吉野さんが美容師を目指したのはどんなタイミングですか?

中学2年生のときですね。

実は僕、3歳の頃からサッカーをやっていて、ずっとサッカー選手になるのが夢だったんです。

――中学2年生で選手になるのを諦めるって、早くないですか?

ずっと本気でサッカーと向き合っていましたが、試合に出られない期間が長かったんです。どんなに頑張って練習をしても、僕より上手い人がたくさんいる。よく「努力すれば必ず報われる」って言いますけど、そう簡単にいかない世界もあるんだなと思いました。

――サッカー選手から美容師になる、と切り替えたきっかけは?

友だちの両親が美容室をやっていて、小学生の頃からずっとそこで切ってもらっていたんです。小学生のときはボブっぽい髪型でしたが、中学校に上がるとき「もっとカッコよくなりたい」と思ってバッサリ切ってもらったんです。

――「こんな風になりたい」っていうイメージはあったんですか?

その当時はジャニーズのファンだったので、カトゥーンとか山Pとか。いわゆるメンズのショートですね。

――いかがでしたか?

鏡に映った自分を見た瞬間の気持ちは今でも忘れられません。今までとはまったく違う新しい自分で、嬉しさ、感動、自信…いろいろな感情が湧き上がったのを覚えています。

――その感動が美容師を目指す原点になったんですね。

そうです。サッカー選手になるのは無理だと分かったとき、「じゃあ次はどうしよう?」って考えたんですね。そのときに、髪を切ってもらったときの感動を思い出して、自分が感動した体験を他の人にも届けたいと思って美容師になろうと思いました。

――高校へは進学を?

一般の高校に進学しました。美容師になろうと思ったとき、今まで髪を切ってもらっていた友だちのお父さんに相談したんです。高校に進学したら、平行して通信で資格を取るのもいいなと思ったので。

――そういう方法もありますね。

でも反対されました(笑)。通信だと一人で勉強し続けるのが難しいし、対面で教わった方が身につくと言われました。それで高校を卒業してから、専門学校に通うことにしました。

同期にも後輩にも抜かれ、スタイリストになれず悶々とした日々

吉野さんが成長するのをずっと見守り続けた社長(右)と。

――卒業して、こちらのK+plusに就職を決めたのはどうしてですか?

最初にサロン見学をしたところには学校の先輩が勤めていて、その方が案内してくれたんですが、このK+plusは社長が僕たち学生のために時間を作ってくれたんです。「聞きたいことがあるなら、何でも質問して」って。

――それは嬉しいですね。何か質問したんですか?

実は美容学校で勉強しているうちに、自信がなくなっちゃったんです(笑)。不器用だし、覚えるのに時間がかかるし。それで「美容師に向いていないんじゃないかと不安で」って、言ったんですよ。

――すごい質問ですね(笑)。

そうしたら「やってみないと分からないじゃないか」ってアドバイスしてくださったんです。ここだったら、本気で美容室を目指せるかもしれないと思って入社を決めました。

――入社してからは順調でしたか?

それが…。スタイリストになるまで7年もかかったんです。

――こちらのサロンの場合、平均的にデビューまで何年ですか?

だいたい3~4年ですね。当然、同期は僕よりも早くスタイリストになりました。後輩に抜かれたときは、本当にショックで「もう辞めよう!」って真剣に思いました(笑)。

――なぜ、そんなに差が出てしまったんですか?

真剣さが違いましたね。同期や後輩たちが休日返上で練習していても、参加しませんでしたし。

技術は何とかなっても、当時は女性の接客が難しかったですね。「こうしてほしい」というリクエストがあっても、お客さまの気持ちをくみ取って表現することができない。自分に自信がないうえに、人見知りな所もあったのでお客さまに寄り添った接客ができませんでした。

――いろいろな葛藤があったんですね。辛かったでしょう?

高校や専門学校の同級生は、社会人になってちゃんと働いている。でも僕はまだアシスタントで、一人前になってない。20代の後半になると同級生たちは結婚して家庭を持つ人も増えました。自分が何者でもないことに焦りしか感じませんでした。

――でも、練習はしない(笑)。

結婚していないので、自由になるお金も時間もたくさんある。だからブランドものを買ったし海外旅行も行く。そうやって自分の外面を繕っていました。ある意味、鎧のような武器ですよね。今考えると、本当に「何やってるんだ!?」って感じですけど(笑)。

――奮起したのは、どんなきっかけが?

後輩が僕より先にスタイリストになったことですね。僕は「もう辞める」って思っていましたが、先輩も社長も引き留めてくれたんです。「今辞めたら絶対に後悔する」って。

社長と何度も話し合って、まずはメンズのカットと接客技術を磨くことにして、デビューまでに男性モデルのカットを20人とか、やるべきことを明確にしました。

――それはいつのこと?

2018年の12月です。モデルカットに必要な人数を集めるために、K+plusの忘年会で先輩や同期に頭を下げて、「モデルになってくれる人を紹介してほしい」って、お願いしたんですよ。それまでの僕だったら、絶対に考えられないことでした。

――社内でやる気宣言をしたんですね。

ノルマは20人だったんですが、27~8人はやりました。休日も返上して、不安になったらハサミを握って練習する毎日でした。

――不安な気持ちを抑えるのは難しいですよね。

アシスタント時代からずっと応援してくださったお客さまの存在も大きいですね。ずっとアシスタントのままの僕を見て、「いつか髪を切ってもらうのを楽しみしている」って声をかけてくださいました。

家族や友だちからも、「スタイリストになったら髪を切って」って言われたのも励みになりました。

――スタイリストになったのは?

2019年の1月です。無事にスタイリストデビューをすることができました。

長い長いトンネルを抜けて、ようやくスタイリストになれた吉野さん。

後編では、デビュー当時はほとんど男性のお客さまだったのが、女性のお客さまも担当することになったきっかけ、女性のお客さまを担当するにあたって学びを深めたこと、キャリアを重ねる中でこれからどんな美容師を目指すのかといったお話をお届けします。

撮影/森 浩司


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K+plus
住所:東京都北区赤羽南1-3-7 ファミール赤羽1F
電話:03-5249-0168

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