わずか12年で35店舗を出店。お客様・スタッフ・会社「三者満足」の企業作り「Oasis Garden」齋藤逸生さん
美容業界を支える企業の魅力を紹介する本企画。今回は、関東エリアを中心にヘアサロンを展開する企業「Oasis Garden」で、人事責任者を務める齋藤逸生さんにお話をお聞きします。
前編では「Oasis Garden」の成り立ちや企業理念、社員への想いなどについて伺いました。2012年の設立から2024年11月現在までに35店舗を展開するまで着実な成長を遂げている「Oasis Garden」。その背景には、スタッフを考えた環境整備から生まれる定着率がありました。
なかでもスタッフの満足にはとくに力を入れており、働きやすい環境作りのためにさまざまな制度の導入や取り組みしているそうです。いったいどのような工夫を凝らしているのか、お話をお聞きします。
今回、お話を伺ったのは…
「Oasis Garden」人事責任者
齋藤逸生さん
埼玉県出身。大学卒業後、大手美容ディーラーに新卒入社。約8年半営業職などを経験したのち、2023年11月、「Oasis Garden」に入社。現在は人事責任者として採用担当を務めるほか、面談、環境作りなどスタッフのサポートに取り組んでいる。
毎年3、4店舗出店。勢いがある成長の秘訣は定着率

スタッフ定着率の維持のためにスタッフの意見を取り入れ、環境整備に努めていると話す齋藤さん
――まずは「Oasis Garden」のコンセプトを教えてください
「Oasis Garden」は「毎月通いやすい」をコンセプトとしたサロンを展開する企業です。30〜40代の女性をメインターゲットとしており、髪のケアが欠かせない女性が毎月通いやすいかつ、不安を感じない価格設定にしています。もちろんサービスの質にもこだわっており、常にお客様が高い満足度を感じられることを大切にしています。
――企業の成り立ちをお聞かせいただけますか?
弊社は2012年に現会長が創業しました。関東エリアを中心に毎年3、4店舗のペースで出店していて、今年10月にも伊勢原に新たな店舗をオープン。現在35店舗を運営しています。
――12年で35店舗はすごいですね。着実に成長を遂げているポイントは何ですか。
スタッフの定着率は大きく影響していると思います。店舗展開を行うにあたって人材は必要不可欠です。求人サイトなどを利用して確保できたとしても、すぐに辞めてしまっては持続的に展開できません。そのため、弊社ではスタッフが「長く働き続けたい」と思えるような環境作りに取り組んでいます。直近のリサーチではスタッフ定着率96.7%でした。
――96.7%ですか!環境作りとは具体的にどのようなことを?
いくつかありますが、ひとつ挙げるとするとキャリアアップ制度を採用しています。弊社には幹部、副店長、店長、マネージャーなどと役職があって。スタイリストとして技術やスキルを磨くだけではなく、キャリアアップを目指すことができるんです。組織の一員として長く働くモチベーションにつながっていると思います。
――なるほど。
あとは、2〜3ヶ月に1度スタッフ全員にヒアリング相談を実施しています。スタッフ1人ひとりと1対1での面談時間を設けて、個人の悩みや企業として改善してほしいことなどを聞いているんです。現場で働くスタッフの意見を取り入れることで、環境整備を図っています。
高水準の賃金設定が社員のモチベーションとサービスの質につながる

ワークライフバランス実現のためにシフトの自由設定を採用している「Oasis Garden」
――「Oasis Garden」の理念を教えてください。
弊社の理念は「三者満足」です。三者というのは、お客様、スタッフ、会社を表しており、すべてが満足していなければならないという考えを持って運営しています。
――求人内容を拝見したところ、アシスタント時代でも収入の悩みが少ないとのことですが、こちらは?
弊社の初任給は24万円と、一般企業と比較しても高水準の賃金設定です。アシスタント期間は低賃金で労働時間も長いというマイナスイメージを持たれがちで、それを理由に美容師を断念してしまう人もいます。美容師という仕事が少しでも目指しやすいものになってほしいという想いが背景にありますね。
また、この価格設定の理由として、サービスの品質向上にもつながるからというもあります。収入が多ければ、プライベートを充実させやすくなります。ワークライフバランスも保つことで仕事にメリハリつき、結果的にサービスの質とお客様の満足度につながるんです。
――ほかにもワークライフバランス実現のために取り組んでいることはありますか。
弊社では、ひと月の休日数を守ればシフトを自由に設定可能で、友人との旅行や推し活など皆が不満なく休日を過ごせるようにしているんです。また、シフト提出を2週間に1回にしているので予定を立てやすいのもポイントです。
現場の声で企業はアップデートする

スタッフからの意見を取り入れて、土・日曜、祝日も休日設定できるように改善したという齋藤さん
――社員や働く人にどんなことを求めていますか?
小さなことでも希望や意見をどんどん出してもらいたいです。繰り返しになりますが、職場環境含め、企業のアップデートには現場スタッフの意見が必要だと考えています。伝えても変わらないんじゃないか?と思わずに、どんなことでも気軽に伝えていただきたいです。
――実際、スタッフの意見から生まれた制度などはありますか。
あります。たとえば、休日設定の範囲拡大です。昔はお客様の来店数の関係で休日を設定できるのが平日だけでした。しかしスタッフから「友人との予定が合わせやすい土日を休みにしてほしい」という要望が多かったので、土・日曜、祝日も休日設定できるようにしました。
――スタッフが意見を伝えやすいような工夫はあるのでしょうか?
工夫ではないのですが、いい意味で上下関係のない文化があります。創業者の「楽しく働いてもらいたい」という想いが各店舗に根づいていて、立場の上下関係なくスタッフ同士がフランクにコミュニケーションをとっており、仲がすごくいいんです。そのような文化があるからこそ、意見を伝えやすいのかもしれません。
2012年の創業から勢いのある成長を遂げている「Oasis Garden」。賃金設定やシフトの自由設定など、スタッフの働きやすさを考えた環境整備があるからこそ、高い定着率を維持でき企業発展につなげられているのだと感じました。後編では、齋藤さんのお仕事内容や「Oasis Garden」の研修内容、採用試験についてのお話を伺います。後編もお見逃しなく!