視野を広く持ち、他店がやっていないことは全部やる。株式会社ヤミーネイル 代表取締役社長 長島有美さん#2
ネイリストの草分け的存在、株式会社ヤミーネイル代表取締役社長の長島有美さん。前編ではダンサーのオーディション帰りにネイルアートに出会ったときの感動体験、ロサンゼルスのアクリルメーカー「EzFlow」で売上トップを叩き出したことなどをお聞きしました。
この後編ではサロンコンセプト「飾るよりも寄り添うネイル」、海外で活躍された有美さんのサロン運営の特徴について伺います。
サロンコンセプトは「飾るよりも寄り添うネイル」
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アメリカ在住20年の茅ヶ崎出身者として、また昨年父が亡くなったことで地元への思いが強くなりました。性別や年齢に関係なくいかに多くの人に来ていただくかが鍵なので、出店は大型商業施設に限ります。
――サロンのコンセプトについて教えてください。
爪に悩みを抱えるお客様に寄り添い、「手元が好きになった」と笑顔を届けることがわたしたちの役割です。「飾るよりも寄り添うネイル」というサロンコンセプトは3店舗目となる新宿店からスタートしました。新宿店のお客様に、平均的な爪がゼロだとするとマイナス100くらいのすごく深爪の方がいらしたんです。それをまずゼロの状態に持っていって、さらに美しくするためにはどうすればいいか、カウンセリングに力を入れたことが始まりでした。
――具体的にはどんな施術を?
日本のネイルサロンでは華やかなデザインやアートが主流ですが、当社では深爪や巻き爪、自爪の育成なども扱っています。このスキルは、深爪矯正の先生に習ったわけではなく、当社の技術教育部ディレクターと試行錯誤しながらオリジナルで作ったメソッド。とても貴重なものであり、技術が高くないとできないので、スクールで一般向けに教えることはせず、大事に育て続けています。
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――サロンで深爪や巻き爪の悩みが相談できるなんてあまり知られていませんよね。
そうなんです。多くの人に知っていただきたくて、この2年間、神奈中バスに音声広告を出しました。「つら〜い巻き爪、深爪、爪のことならまるっとおまかせ!ネイルサロン、ヘブンリープラス前でございます」。制作段階で文字だとなかなか伝わらないので、自分の声を録音して音声データとして提出したんです。そしたらこんなの初めてだと驚かれました(笑)。
――そんなエピソードが!
実際、広告費以上の利益は上がっていないのですが、ネイルサロンで巻き爪や深爪のケアができるんだということを乗客の皆さんに知っていただくことができました。広告を聞いた人が会社の近くのネイルサロンに行ったかもしれないし、今通っているネイルサロンで「巻き爪できますか」と聞いたかもしれない。少なからず効果はあったと思うんですよね。
アメリカのように性別や年齢に関係なく、ネイル人口を絶対増やしたい。そのためにこれからも、自分のサロンのためだけではなく、ネイル業界全体の裾野を広げるために、時間もお金も使っていきたいと思っています。
眉毛デザインで男性ネイルの入り口を作る
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リニューアルは既存のお客様に2週間お休みをいただくだけですが、新規出店はお客様ゼロからの出発。リニューアルと新規出店はまったく別物です。
――集客で工夫していることを教えてください。
たくさんのお客様に見ていただけるようにクーポンサイトの見せ方を工夫したり、先日の茅ヶ崎店のオープンでは、商業施設の女子トイレや100円ショップのオーナーに声をかけてチラシを置かせてもらいました。思いついたことはやってみて、それで注意されたら謝ればいいじゃんと思っているので(笑)。日本では細かいルールが多くてときどきそれに疲れてしまうんですよね。
――なにか忘れていたものを有美さんに思い出させてもらえたような気がします。他にも工夫されていることはありますか。
男性客を呼ぶために眉毛デザインをやっています。先日23歳と16歳の兄弟がふたりで来店してくれました。16歳の男子高校生はTikTokでかっこいい眉毛の情報収集をしているんだけれど、それをどこでやってもらえばいいか分からない。相談を受けたお兄さんがクーポンサイトで予約してくれたんです。これはネイルだけやっていたらあり得ないことですからね。
――男性集客のために眉毛をやって大成功?
はい。ずっと前から男性ネイルケアを提案してきたけど集客できなかったんです。それが眉毛をやることで、ついでに爪もやってみようかなという男性ネイルケアへの入り口を作ることができました。
10社落ちた男性ネイリストを採用
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――海外での経験が豊富な有美さんのサロンにはどんな特徴がありますか。
視野を広く持つことと、他店がやっていないことは全部やること。だから、当社では、男性ネイリストも採用しています。入社2年目の彼は、すごく器用で上手なんですが男性だという理由で10社落ちてるんです。でも他社で採られていない分、がんばるんですよ。うちには育てる技術があるので、入社2年目にして高い成績を上げています。
――視野を広く持つ…具体的に教えてください。
例えば爪の形ひとつとってもそうですね。爪を外広がりに作るダックネイルというのがあるんですが、日本ではなんか気持ち悪いとか、爪の形はこうあるものみたいなフィルターがかかっていて受け入れにくい風潮があるんです。ラウンド、スクエアオフなど、スクールで習った形に合わせようとする。そういうの嫌ですね。お客様の希望に沿ったことならすべてやって差し上げたいと思うんです。
――そういった有美さんの価値観はアメリカで培ったのですか。
よく聞かれますが、アメリカで育てたんですよね。確かに小学生のときから目立つ存在ではありました。マネージャーに「有美さん、ここは日本ですから」と言われることがありますが、比較的、単一民族国家に近い日本では、ちょっと変わったもの、知らないものを受け入れにくいところがある。「これでいく」が強すぎると感じることがありますね。
――最後に有美さんにとって働くとは?
働くことは、我慢ではなく表現。
ワークライフバランスが声高に叫ばれ、プライベートの時間に仕事のことを考えたらダメみたいな風潮がありますよね。でも真剣に仕事に向き合っていたら、プライベートな時間に仕事のことを考えることはいくらでもあると思うんです。仕事=我慢という図式を世の中が作り出してしまったんですよね。
――そういう側面があるかもしれませんね。
つまらないなら楽しくなるように努力すればいいのだけど、それもなかなか難しい。だからそれを与えるようにはしています。業界でも珍しい指名料全額バック制度がそのひとつです。そもそも指名をいただくためには、自分を表現することが必要です。同じ施術ができる人は他にいくらでもいますから。その中で指名を取るためには、「私はこういう人です」と自己アピールすることが必要。だから「働く=表現すること」だと思っています。
有美さんがネイリストとして成功している理由は
1.自分で考えて、作り出して、動く
2.好きな仕事と真剣に向き合う
3.働く=表現すること
超パワフルな有美さん。有美さんになることはできないけど、有美さんの発想力、行動力、ひたむきさ、サービス精神。真似したいところがたくさんありました。
撮影/森末美穂
取材・文/永瀬紀子
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