MINX土屋サトルさんに聞く。今、日本がアジアで求められていること #1

MINX(ミンクス)といえば、カットをはじめとする教育にも力を入れる、人気・実力と もに備わった日本屈指のヘアサロン。国内での美容講習はもちろんのこと、最近では中国、 韓国、タイ、インドネシアなどアジア地域へのセミナー交流にも力を注いでいます。
その 要ともいえるのが、銀座店に勤務する MINX 執行役員の土屋サトルさんです。今、日本の 美容界がアジアから求められていることは何なのか? 土屋さんが教育者として考えてい ることを聞きました。

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プロとしての誇りを胸に、アジア講習へ

――土屋さんの Face Book を見ていると、韓国や中国へ頻繁にいらっしゃっていますよね。
「中国へは現地のディーラーさんからの依頼を受けて。タイ、インドネシアへは ABA(アジアビューティーアカデミー)の講師として。 韓国では TAMASI HAIR(タマシ ヘアー)というサロンさんから依頼を受けて、それぞれ現地で講習会をしています。

ABA はアジアの黒髪文化の育成と発展のため、美容業界に携わるサロンを始めメーカー、ディーラ ー各社が組織の壁を超え、知識や情報、技術を共有し、日本が長年にわたって培ってきた 高度な美容文化を広めることで、アジア美容経済の発展に貢献することを目的に結成 されました。

僕はもともとエデュケーターとして各地でセミナーに携わらせていただいていました が、今年から理事に加えていただき、また教育委員会・運営委員長としてマニュアルを制 作したり、実際に現地へ赴き、セミナーをしたりしています。

ABA の名刺には、日本を代表するという気持ちで国旗がデザインされているんですが、単 に技術だけではなくて、日本の美容業界が誇れる“プロフェッショナルとしての意識の高 さ”みたいなものも含めて、アジアの美容師さんたちに伝えていければと思ってやらせてい ただいています」

フィリピンで行われたヘアショー型技術セミナーの様子
フィリピンで行われたヘアショーの様子。カラーリングがテーマだが「日本で流行っている色はコレ、という紹介の仕方ではなくて、現地の美容師さんが理解し、 なおかつ現地のお客様がやりたいというカラーリングじゃないと意味がない。毎回、美容 師としても講師としてもたくさんのことを気づかせてもらっています」と土屋さん。

感覚ではなく、理論を基に技術を教える

――アジアといっても国によりそれぞれ違いますよね。どんな技術を教えているんですか?
「カットやカラー全般ですね。とくにカットはベーシックから理論立てて教えています。 ベースにあるのが MINX 代表取締役社長の岡村(享央・たかひさ氏)の『Okamura Cut Lesson』と いう本です。

2015 年に髪書房さんから発売されたものですが、韓国でも翻訳本が出ていて、MINX が直接、 セミナーを請負っている TAMASI HAIR さんの講習会は、これを元にエデュケーターさんに向けて僕が年間のカリキュ ラムを作成しています。

カットが苦手な方って、なんとなく感覚だけでカットして、なんとなく仕上げている方が多いんですよね。感覚的な要素もカットには大切ですが、一つひとつの技術にはちゃんと理由があるんだよ、髪の毛を上から持つ のか、下から持つのかによっても仕上がりが違うよ、というような、人にきちんと理論的 に説明できる知識や技術が今後は求められると思います。

「Okamura Cut Lesson」は、それを体系化したもので、多くの美容師さんに評価された のも、実際にやってみてわかりやすかったからだと思います。ミンクスの社内教育でも使 っていますが、韓国だからミンクスだからと分け隔てはせず、同じように教えています」

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アジアの真のニーズに応えるために

「例えば最近日本では“グレージュ”が流行っていますよね。日差しの強い東南アジアの地 域にお住まいの方たちは、光によって色が飛んで見えるので、青みが強いとかブラウンが強いとか、同じアッシ ュでも微妙な違いを見分けることが難しいらしいんです。

当然、お客様ももっとはっきりとした色を出してほしいという要望が多い。なじませる技術より目立たせる技術を求められるので、例えば全頭ハイライトを 3 ミリピッチの細かいウィービングで拾っていって、自然な立体感がきれいに出たでしょうと言っても、その微妙な変化は伝わらないわけです。

ガッツリとラインを入れて、目立たせるカラーが好まれるのは、そうした理由からですが、 その理由になるほどなぁと思いました。それからは意識して、事前に言い方や見せ方などを主催者さんに相談するなど、できるだけ現地の人に伝わりやすい教え方を心がけています。

例えばカットの解説でも、なぜここでツーセクションラインを取るの? と質問をされた ら“頭の骨格を不規則な球体と捉えて、上を向いている部分と下を向いている部分で分けてツーセクションラインとします、これは地球儀に例えると「赤道」なんですよ!”という具合です(笑)

言葉や文化が違う人にもうまく伝えるには、世界共通の例えがいいかな、と考えたわけで
す。現地の美容師さんやお客様が喜んでくれるカットテクニックやカラーデザインを事前 に考えるのはなかなか大変ですが、僕の手の届かないお客様のご満足に少しでも携われることが講習活動の魅力だと思っています」

ウィッグを切り込んで教えるテクニックn
ウィッグを切り込んで教えるテクニック
海外講習に出かける前は、ウィッグを切り込んで教えるテクニックを再確認。岡村氏が監 修した『Okamura Cut Lesson』では土屋さんも制作に参加。「岡村本(OCL)のスゴイと ころは、理論が先じゃなくて、岡村自身が体験して何かが違う、と何度もカットを繰り返 しながら探した結果、たどり着いたもの。努力の結晶なんです」と土屋さん。

取材・文/山岸敦子
撮影/石田健一

Salon DATA

店内
店内

MINX(ミンクス)銀座店

1985 年、東京・下北沢に高橋マサトモさんが開いたヘアサロン。
現在では青山・原宿に1店舗ずつ、銀座には3店舗と、つねに時代の流れを見極め、 市場のニーズに沿ったサロン経営でも信頼感が高い。 お客様に支持される「人材育成」が経営のすべてと捉え「人を育てる環境」に力を入れている。 土屋サトルさんは執行役員を務める傍ら、 銀座店でサロンワークを行い、国内外の講習を担当している。

http://www.minx-net.co.jp/

アジアビューティーアカデミー
http://www.asiabeautyacademy.jp/

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