『とって良かった！ 美容師の役立つ資格』＃２ 色彩検定
美容師が取ると役に立つ資格について、資格の内容や取得のメリットを実際に取得されたスタイリストに答えてもらうこの企画。後編では、難関と言われる「色彩検定1級」に合格した、渋谷の人気サロンLienの副店長・丸山真史さんへのインタビューの様子をお届け。
美容師になる前はあのオリエンタルランドで働き、ヒッチハイクによる日本一周経験もあるなど、異色のキャリアを持つ丸山さんが語る色彩検定×美容の話は必読！
まずは知りたい「色彩検定」の基本
――色彩検定とはどのような資格ですか？
「少し固い言い方になりますが、『色に関する知識や技能』を理論的、系統的に幅広く学ぶことで、理論に裏付けられた色彩の実践的活用能力を身に付けるための検定です。美容師にとっては主にカラーの分野で活用できる資格と言えます」
――色彩検定を受検しようと思った理由を教えてください
「専門学校時代に学んだ色彩学が個人的に面白くて興味を持ったことと、将来的に美容師の仕事に必ず役立つと思ったことがきっかけですね。後は元々、お客様のファッションのタイプや肌の色も見極めた上で、トータルにヘアの提案をしたいという思いも強かったです」
――資格はどのように役立っていますか。
「うちのサロンはカラー、特にブリーチの施術に力を入れているので日々役に立っていると思います。例えば、僕は施術前のカウンセリングで髪のことだけでなく、メイクやファッション、私生活のことなんかも聞くようにしているんですが、それはお客様の私生活にマッチングしたヘアカラーの提案を行うためです。その時に色彩検定で培った色の合わせ方などの知識は非常に役立っています。ヘアカラーは強いこだわりを持って訪れるお客様が多いので、資格の有無によってお客様からの信頼度合いも大きく変わってきますし」
美容師にとっての色彩検定取得の意義って？
――丸山さんが思う、色彩検定を取得することのメリットは何でしょうか
「一番のメリットは、お客様のライフスタイルに合わせたコーディネートの提案が行えることです。例えば僕の場合、ヒアリングの際にお客様の仕事内容を伺い、普段何色の照明の下で過ごすことが多いのかを確認します。その時、検定で得た知識を活かして『白熱灯だとちょっと赤みが入るから、この色だとサロンで見るよりも暗く見えるな』など考え、その人が一番長く過ごす空間に適した色を提案するようにしています。ほかにも、これは美容師としての経験や知識も必要ですが、カラーでドンピシャの色を出すことができるようになることもメリットだと思います。ヘアカラーではAという色を出すと一口に言っても、地毛の色との兼ね合いによって薬剤の色の配色が毎回変わります。そんなデリケートな作業においては、現場経験だけでなく、色の知識も持っている方が有利だと思いますね。知識があれば『このお客様は髪の赤みが何%あるから、緑系の薬剤をどれくらい入れれば、どれくらい濁ってどんな色になる』ということが理論的に導き出せます。多くの美容師の場合、その作業を経験則で行っていることが多いのではないでしょうか。もちろん経験則は非常に大切です！ ただ、色は人によって見え方が異なることもあるので、その場合正確な色を出すには数学的に配色を行えることが非常に重要となります」
――今興味のある資格はありますか？
「色に関する検定は色彩検定のほかに、『カラーコーディネーター検定』や『パーソナルカラー検定』があります。色彩検定が色に関する幅広い知識を身に付ける検定だとすると、今挙げた検定はファッション分野などの色彩に特化した検定になります。今後、より専門的な色の知識を身につけたいと思っているので、まずはこれらの資格取得に取り組んでいきたいと思っています」
――最後に検定取得を目指す方に向けてメッセージをお願いします
「色彩検定は1級まで取ろうとすると、かなり本腰を入れて勉強をする必要があります。ですので、個人的には学生の間など、比較的時間に余裕がある時期に取ってしまうことが良いかもしれません。もちろん、すでに働いている美容師さんにも取得はおすすめしたいです。一度身についた知識は一生の財産になるので、興味がある方は3級からでも是非挑戦してみてください」
色彩検定と美容のつながりについて詳しく教えていただき、本当にありがとうございました！
取材・文／甘佐直人（レ・キャトル）
撮影／中村 早
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