【美容師のカット技術】Tierra 三笠竜哉さん流『似合わせカットの極意』#2
その人の魅力を最大限に引き出す『似合わせカット』の名人、Tierraの三笠竜哉さん。そんな似合わせを武器に、今回提案していただいたのは、人気のボブスタイルに女性らしさを自然に溶け込ませたスタイル。
後編では、そのカット法とスタイリングのプロセスを詳しく教えていただきました。
三笠さんが提案する『似合わせカットで作るエアリーボブ』
あご上ラインのボブスタイル。ベースの重さは適度に残しつつ、グラデーションを入れて動きと丸みを出す。前髪は長め&透けるような質感に。ふわっとエアリーな軽さを感じられるスタイリングで仕上げている。
『似合わせカットで作るエアリーボブ』の施術ポイント
1.カットは最小限、シンプルに
長さはほぼ変えず、ベースカットはシンプルに。毛先の重さを取り、シルエットにやや丸みを持たせることで、直線的なイメージを柔らかく。
2.前髪はアレンジしやすいデザイン
今は前髪を「あり・なし」で楽しみたいという女性が多い。肌が透けて見えるような薄い質感、かつ長めの前髪を作り、扱いやすさを重視。
3.ドライカットで丁寧に質感調整
ドライ後の質感コントロールがカギ。柔らかく、エアリーな質感が出しやすいようカットで仕込んでおけば、スタイリングに頼りすぎることなく、より自然な仕上がりに。
HOW TO
BEFORE
ちょうどあごくらいの長さ。ワンレンでレイヤーはほぼ入っておらず、重い印象。毛量はやや多め、若干クセが出やすい髪質。
1 チョップカットで重さをとっていく
ウェットでスタート。切り始めはバックから。ワンレンで重めなので、チョップカットで毛先をぼかす。サイドも同様に、並行にカットしていく。
2 グラデーションを入れながら動きを出す
ぼんのくぼより上のあたりに、ぐるっと一周グラデーションカット。表面に自然な動きと丸みを出す。
3 前髪は薄め&透ける質感に作る
前髪は2cmくらいの幅にとり、薄めに作る。最初のブロッキングが重要、慎重に。
今回のモデルさんはやや髪が浮きやすいため、少し長めの設定で、目にかかるくらいの長さにカット。
4 ドライ後、カットで質感調整
全体をドライ。オーバーセクションをカットで調整していく。毛束を1cmくらいずつとり、1回転ねじってスライドカット。長短をつけて動きを出しやすくする。
前髪はエフェクトカットで質感をコントロール。すきばさみで切るよりパサついて見えず、自然なニュアンスが生まれる。
カット前
カット後
スタイリング
毛先から、揉み込みながらドライヤーで乾かす。
ストレートアイロンで、毛束を少量ずつとってランダムに巻いていく。毛先は外巻きにして動きを出し、カジュアル感を。
オイルとワックスを手のひらで混ぜ、内側から全体に揉み込んでいく。さらに、表面にもなじませる。
崩すように髪を振り、エアリーなニュアンスに作っていく。
まとまっている毛束は、さくようにして自然に散らす。
仕上がり
長さはほぼ変えず、カット&スタイリングで柔らかな曲線やエアリー感を演出。持ち前のクールなお洒落顔をいかし、そこに女性らしい要素をプラスして、新たなる魅力を引き出した。
少しだけ切る、質感をちょっと出す、スタイリング剤を足してみる…そんな小さな積み重ねで、完成してみたら大きな印象の変化が生まれる。大胆なチェンジをしなくても雰囲気は変えられる、それが似合わせカットの狙うところ。「長さとか前とそんなに変わってないけど、何か今日すごくお洒落じゃない!?」そんな風に、周りから褒められるヘアを目指して。
▽前編はこちら▽
【美容師のカット技術】Tierra 三笠竜哉さん流『似合わせカットの極意』#1>>
取材・文:青木麻理(tokiwa)
撮影:米玉利朋子(G.P.FLAG)
ヘア:三笠竜哉(Tierra)
メイク:中村美侑(Tierra)
モデル:バロウズ春那
教えてくれたのはこの人!
三笠竜哉さん
Tierra 代表取締役
2007年4月7日に「Tierra」を設立。代表としてサロンに立つ傍ら一般誌や業界誌の撮影、国内外セミナー、商品プロデュースなど多方面に才能を発揮。独自の感性から創り上げるデザインには顧客はもとより著名人、多業界からも多く支持されている。自身の著書「恋が叶う愛されヘアの習慣」(講談社)を出版。
インスタグラム:@mikasa_tatsuya