過去問10年分を徹底的に研究。効率重視で突破した理学療法士の国家試験【治療・リラクゼーション・歯科業界のお仕事 天野直人さん】#1

治療、リラクゼーション、歯科業界など、人々の痛みや不調に寄り添う仕事の魅力を紹介する本企画。今回お話を伺うのは、東京都・用賀にある「姿勢改善サロンRoots(以下、「Roots」)」に勤める、天野直人さんです。

「Roots」は鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師である高品昇平さんが2015年に立ち上げたサロン。姿勢評価や分析をベースにした根本改善を目指す施術と、「自分の体は自分で治す」をコンセプトにしたセルフケアの指導で人気を集めています。

天野さんは理学療法士として、東京都内にある回復期リハビリテーション病棟にて5年間勤務したのち「Roots」に転職した経歴を持ちます。前編では理学療法士とはどんな仕事なのか、目指したきっかけなどを伺いました。

お話を伺ったのは…

天野直人さん

姿勢改善サロンRoots/理学療法士・美構造開脚インストラクター

神奈川県秦野市出身。茅ヶ崎リハビリテーション専門学校を卒業後、理学療法士免許を取得。都内の回復期リハビリテーション病棟にて約5年間勤務。その後、「姿勢改善サロンRoots」に入社。姿勢評価・分析をベースにした施術とセルフケア指導を行い、不調をくり返さない身体づくりをサポートしている。

インスタグラム

歩けない人が歩けるように。機能回復と社会復帰を支える理学療法士

理学療法士の仕事について説明する天野さん

――まず、理学療法士はどのような仕事を担当するのでしょうか。

昔、専門学校の先生から聞いた言葉の受け売りなのですが、ひと言でいえば「歩けない人を歩けるようにする仕事」だと思います。何らかの理由で身体機能が低下した人に対し、「機能回復」と「社会復帰」を目指すのが理学療法士の役割です。

――どのようなアプローチを行い、機能回復や社会復帰を目指すのでしょうか。

身体機能が低下する理由はさまざまですが、筋トレを一緒に行って筋力を強化したり、リハビリによって関節の可動域(動く範囲)を改善したりするのが主なアプローチです。

僕の勤めていた病院ではあまり取り入れられていませんでしたが、ホットパック(温熱療法用の温かいパッド)で患部を温めたり、超音波をあてたりといった物理療法が用いられることもありますね。

こうした方法を組み合わせながら、1人ひとりの機能回復をサポートしていく仕事です。

理学療法士は国家資格で、大学または専門学校で4年間学んだ後、国家試験に合格する必要があります。

――現在のお仕事内容についても教えてください。

以前は都内の回復期リハビリテーション病棟に勤務していましたが、5年ほど前に「Roots」に転職しました。

「Roots」では施術だけでなくセミナーやライブ配信、情報発信なども行っているので、日によって業務内容はまちまちですが、1日お客様に入るときはだいたい8名ほどを担当させていただきます。

「Roots」は自費治療専門のサロンで、大きな特徴は「自分の体は自分で治す」を理念としていることです。姿勢評価と分析をベースに、原因を見極めたうえで施術し、セルフケアの方法までお伝えしています。

過去問を徹底分析。効率重視でアルバイトと国家試験対策を両立

専門学校時代、自分でも学費をまかなっていたという天野さん。時間効率はとくに意識していたという

――天野さんが理学療法士を目指したきっかけは?

僕が将来を考えたとき、国家資格を取って働ける、安定した仕事に就きたいと思ったんです。最初は看護師の仕事がいいかなと思っていましたが、高校2年生のときに初めて人から理学療法士の仕事について聞いて、ビビっとくるものがあって。

国家資格を取って働けるし、運動をすることが好きだったので体を動かす領域にも近い点に惹かれました。

――資格取得は大変でしたか?

知識として覚える量は多かったと思います。解剖学の用語や筋肉1つひとつの名前など初めて触れる言葉も多く、同級生のなかには聞きなれない言葉を大量に暗記することに苦手意識を持ち、苦労している人も少なくなかったです。

ただ、やるべきことを積み重ねれば、決して越えられない壁ではないと感じていました。

――では天野さんは、そこまで壁を感じることはなかったのですね。

もうひとつ、僕には勉強をしないといけない事情があって。年間140万円かかる学費を自分で工面していました。高校卒業後の1年間はアルバイトをして、自分である程度のお金を貯めてから入学。それだけでは足りないので、さらに奨学金も借りていました。

その奨学金が、留年をしてしまうとその瞬間に奨学金の返済が始まってしまうという仕組みだったので、絶対に単位を落とすことができなくて。僕にとってはやるしかないという状況だったんです。

――大変だったとは思いますが、モチベーションは維持しやすい環境だったわけですね。

そうですね。勉強に加えてアルバイトもしなくてはいけなかったので、勉強の仕方にも工夫をしていました。医療従事者がこんなことを言っていいのかわかりませんが、卒業試験も国家試験も満点を目指すのは、途中でやめたんです。

――それはなぜですか?

国家試験は280点満点で、6割の168点を取れていれば合格できます。そこでまずは「どうすれば168点を確実に取れるか」を考えました。

過去10年分の問題を分析してみると、過去問をしっかり押さえていれば、合格ラインには十分届くことがわかったんです。なので新しい分野に手を広げるのではなく、徹底的に過去問の勉強に集中することにしました。

――なるほど。効率を重視されたのですね。ほかにも勉強で工夫されていた点はありますか?

今では当たり前ですが、当時インターネットで勉強できるシステムが出始めたばかりでそれも活用していました。○か×かを選んでいくと、合格と不合格を判定してくれるもので、手軽に勉強できるのが僕には合っていたんです。

1年ほどかけてコツコツと過去問に取り組んでいくうちに、国家試験前の3年生の1月ごろには安定して合格点を取れるようになっていました。そして国家試験に無事に受かることができたんです。

「正解がない現場」で模索した自分のスタイル

初めて理学療法士として現場に立った病院では、戸惑うことも多かったという

――最初は病院に勤務されたそうですね。

正直に言うと、自分で選んだわけではなかったんです。僕が通っていた専門学校は、病院や介護施設を運営するグループのなかにあって。

僕はその学校独自の奨学金も借りていたのですが、返済不要な代わりに学校卒業後の何年間かはグループの病院で働くことが条件になっていました。なので就職先を自由に選ぶことはできなかったんです。

――そのような事情があったのですね。最初に現場に出たときはどんなことを感じましたか。

最初はやっぱり難しかったですね。国家資格を習得するために得た知識はあるし、患者様の状態もある程度わかる。でもそれを実際のリハビリにどう当てはめればいいかがわからなかったんです。

さらに僕のいた病院は比較的自由度が高くて、医師から方向性を示されてはいても、「どんなアプローチをとってもいい」という環境でした。リハビリに正解はないので正しいといえば正しいのですが、スタイルが確立するまでは迷ってしまうことが多かったです。

――どのようにして、対応できるようになったのですか。

何度も患者様に入るうちに慣れていった部分もありますし、同時に自分で調べたり勉強したりしながら、少しずつ引き出しを増やしていきました。

入社から3年ほど経ったころには、自分なりのスタイルも見えてきたと思います。


後編では天野さんと「Roots」との出合いや、転職を決意するまでの経緯、現在の仕事のやりがいについて詳しく伺います。

理学療法士として成長し続けるために学びを重ねていた天野さんが「Roots」に出合ったのは、院長の高品さんが主催のセミナーに参加したことがきっかけ。

圧倒的な知識量と、痛みの原因を徹底的に探るアプローチに触れ、「自分はまだまだだ」と強い衝撃を受けたという天野さん。その後、アルバイトを経て「Roots」へ転職し、これまでの理学療法士の経験も生かしながら、日々お客様と向き合っています。


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姿勢改善サロンRoots 世田谷区用賀院
住所:東京都世田谷区用賀3-18-8セントラルSOUIビル102
TEL:03-6805-6631

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