寺村優太 interview＃2：記憶に残るのはレギュラーだけ。美容室のスタメンにならないと意味がないことを部活から学んだ

――つまり美髪になるためには、何が一番重要になってくるんですか？

「結局、セルフケアでできることには限界があるんですね。となると、いい美容師さんに巡り会うことがベストだと考えています。そういう人がいてくれたら、正しいアドバイスをしてくれるだろうし、知識を持って『これはやっちゃダメだよ』『やるならこうしたほうがいいよ』と的確に言ってくれると思うんです。美髪は1カ月や2カ月でできることではないんですね。髪の毛って1カ月に1cmしか伸びないんです。女性のショートボブでも30cmくらいあります。ということは、毛先は30カ月前に生えてきたものなので、カラーやパーマをやってきた人ならば、30カ月分蓄積されているわけです。ボブの人ですら髪をキレイにしようと思ったら、2～3年かかります。ロングの人だったら5～6年は必要なので、若いときにいろいろやったがために、髪をキレイにするまでにアラサーまでかかってしまうみたいなことが起こってしまうんです」

――となると、いい美容師さんを見つけるためにはどうすればいいですか？

「今だったらほとんどの美容師さんがLINE@を公開していて、『予約や相談はこちらからどうぞ』というふうになっているので、美容師さんに『こういう状態なんですけど、どういうふうにしてくれますか？』っていうのを送って、返ってきた内容を見て判断すればいいのではないでしょうか。以前なら、お試しで1回施術してもらうということになったと思うのですが、金銭的にも大変ですよね」

――寺村さんは、そもそもなぜ美容師になろうと思ったんですか？

「中学、高校とバスケ部だったんですね。高校は私立で厳しいところだったので頭髪検査が毎月あったんです。スポーツ刈りみたいな短髪じゃないとダメで、毎月床屋に行かないと検査で引っ掛かるような感じでした。それで床屋代をもらうんですけど、床屋には行かず、もらったお金をお小遣いにして、放課後に友達同士で髪を切り合っていました（笑）。それが楽しかったんですよね」

――自分たちで切ったら、失敗しませんでしたか？

「もうガタガタです（笑）。すきバサミでごまかすような感じでした」

――先ほどお店に泊まり込むくらい練習してきたとおっしゃいましたが、そのガッツはどこから来るんですか？

「部活の経験ですかね。高校はバスケの強豪校だったので、全国大会に出たいがために県内中からうまい子たちが集まってくるんです。部員は80人くらいいました。その中で僕はベンチ入りできる15人に入ったりもれたりするような位置でした。そこで思ったのが、人の記憶に残るのはレギュラーで出ていた5人だけなんだということでした。ベンチメンバーは他のチームよりもうまいかもしれないけど、誰の記憶にも残らないです。突出しないと誰にも知ってもらえないです。その苦い経験があったからこそなんだと思います。有名なヘアサロンにただいるだけだったら、誰の記憶にも残らないんですよね」

――今の美容師としての目標を教えてください。

「今は自分と同じレベルのスタッフを増やしたいと思っています。僕より若い人たちをはやく自分と同じレベルに育てるのが目標です。ひとりが担当できるお客さまには限りがあるので、同じレベルの人がたくさんいれば、みんなでお客さまをカバーしあえるじゃないですか」

――人は思いどおりには動いてくれないので、教えることって大変じゃないですか？

「あんまり他人に求めすぎないようにしています。その分、自分が変わればいいわけですから」

――最後に、Rejob読者にメッセージをお願いします。

「給料とか雇用条件よりは、自分が尊敬できる人がいる職場かどうかのほうが重要じゃないかと思います。もちろん生活するうえで必要最低限のお金は必要ですが、美容の仕事は結果が出ればお給料が上がるシステムです。尊敬できる人がいるということは、何かを学べて成長できるわけです。成長できれば、必然的に結果が変わってくるからお給料も変わってくるはずなんです」

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