美容師が独立した場合の年収は?かかる費用やシミュレーションも公開
美容師として働く場合、気になる要素のひとつに年収があるのではないでしょうか。せっかく美容師になっても、給料が自分の理想よりも低かったら、やりがいを感じにくくなるかもしれません。
実は、美容師の年収は立場や働き方などによって幅が広く、一概にいえない部分もあります。そこで、平均年収をお伝えするとともに、美容師として独立した場合の年収はどのようになるのかというシミュレーションを紹介します。
一般的な美容師の年収
一般的に美容師の年収目安はどれくらいなのでしょうか。
「令和4年賃金構造基本統計調査」の結果をもとに提供されている厚生労働省の資料によると、美容師の平均年収は330.1万円です。
ただし、この金額はあくまでも平均値のため、アシスタントから役職クラスまで幅広い層が含まれており、アシスタントの場合はもっと低く、役職になるともっと高いと考えられます。
平均年収だけを見ると美容師の年収は決して高額とはいえず、年収増加を目指して独立を目指す美容師も多いのが現実です。
引用元
美容師 – 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))
【美容師の給与満足度】あなたは収入に満足できていますか?アンケート調査をもとに徹底解説!
美容師が独立する際に年収の前に考えるべき「開業費用」
そもそも、美容師が独立すると必ず年収が上がるのかというと、そうとは限りません。さらに、独立するとなると、年収を上げるという話の前に、まず開業にかかる費用のことを考えなければならないのも事実です。
美容室の開業費用は総額で1,000~2,000万円程度かかることもあるため、以下でどんな費用が必要になるのかを解説します。
1. 物件取得費
物件取得費とは、営業するための店舗を借りるための費用。敷金・保証金・礼金・前家賃・仲介手数料などを合計すると、安くて家賃4カ月分程度、高いと12カ月以上分の金額がかかることもあります。
ベースになる家賃が高ければ高いほど物件取得費も高額になるので、慎重に検討しましょう。なお、自宅で開業する場合は、物件取得費がかからないというメリットがあります。
2. 内装工事費
開業費用の4~5割程度を占める場合もあるのが、内装工事費です。対象は、天井・壁・床の整備や電気水道設備、空調など。
スケルトン物件の場合は一から工事しなければならないため高額になりますが、居抜き物件や広すぎない店舗なら、比較的費用を抑えられる可能性もあります。予算と照らし合わせてみてください。
3. 美容機器・備品費
施術に使用する機械や用具(シャンプーユニット・パーマ機器・スタイリングチェア・ミラーなど)、営業に必要な備品(ワゴン・ドライヤーなど)にかかる費用も頭に入れておかなければなりません。
直接施術に関係しなくても、サロンの営業には電話やパソコン、レジ機械なども必要です。
なお、すべて新品を購入すると高額になるため、中古品を利用して費用を抑える方法もあります。
4. 材料費
美容室の施術では、カラー剤・パーマ液・シャンプー・トリートメントなどの材料にも費用がかかります。サロンで提供するメニューに合わせて、適切な材料をそろえましょう。
5. 広告宣伝費
オープン前からインターネットなどで広告を出したり、チラシを作成・ポスティングしたり、ホームページを開設したりと、サロンの広告宣伝を行うのにもコストがかかります。
SNSなど無料でできる宣伝方法もあるので、予算を多く割けない場合は低額に抑える工夫をしてみてください。
6. 当面の運転資金
家賃・水道光熱費・通信費・スタッフを雇う場合の人件費・自分の生活費など、月々必ずかかる固定費もあります。
オープン当初は、キャッシュレス決済によって売上金の入金に時間がかかる・思ったより客足が伸びないなど、資金繰りに苦労する可能性があるので、半年分程度は運転資金があると安心でしょう。
独立して開業する場合の詳細については、以下の記事でも監修つきで詳しく紹介していますので、あわせて読んでみてください。
美容室を開業するまでの流れを紹介|開業費用はどれくらいかかるの?
美容師が独立した際の年収シミュレーション
つづいては、美容師が独立開業した場合の年収のシミュレーションを紹介しましょう。なお、経費の割合のおおよその目安として、人件費が35%、家賃・水道光熱費が10%、美容材料費が10%、その他が25%、オーナーの取り分が20%と考えて計算します。
1人美容室の場合
1人美容室では他人の人件費がかからないため、スタッフを雇う際に人件費として計算される35%もオーナーの収入です。つまり、売上の55%が手元に入るということになります。
そのため、もしサロンの月の売上が100万円なら、月収55万円、年収660万円と、美容師の平均年収の2倍ほど稼げる計算になるでしょう。
従業員を雇用する場合
従業員を雇う場合は、前項と同じように月の売上を100万円として計算すると、人件費が35万円、オーナーの収入が20万円です。年収に換算すると、20万円×12ヶ月=240万円と、平均年収より低くなります。
ただし、従業員が増える分、売上も上がる可能性があるので、それにともない収入も上がるでしょう。また、雇用する人数や営業時間・日数、店舗の規模などによっても変わります。
シェアサロンを利用する場合
前項のような費用をかけて自分の店を開業するのではなく、「シェアサロン」で個人事業主として仕事をする方法もあります。
施術に必要なものが一通りそろっているので、開業費用を抑えられることと、一般的に売上の65~80%程度が収入になるため、効率よく稼げる可能性があるでしょう。同じ100万円の売上でも、65~80万円の月収になります。
美容師が年収350万円超えを目指すには
前述したように、美容師の平均年収は約330万円なので、それ以上、350万円を超えるくらいの収入を目指したいと考える人も多いはず。では、そのためにはどれくらいの売上が必要かを解説していきましょう。
1人美容室の場合|月商53万円程度
年収350万円を目指すには、月に29.2万円程度の収入が必要です。となると、前章で解説したように、1人美容室の場合は売上の55%が自分の収入なので、月の売上は53万円ほどなければなりません。
そこで、月の営業日数を23日とすると、1日2.3万円前後の売上が必要で、客単価が6,000円とした場合、1日に4人ほど施術する必要があります。
従業員を雇う場合|月商146万円程度
年収350万円なら、前項と同様月収は29.2万円程度。スタッフを雇用する場合は売上の20%が自分の収入なので、月の売上は146万円ほど必要です。
すると、1日に6.35万円ほど売り上げなければならず、客単価6,000円の場合の1日対応客数は11人前後という計算になります。
美容師の独立では費用もかかるが高年収を目指せる
美容師の平均年収や独立時に考えるべき費用、独立後の年収イメージをお伝えしました。独立すれば年収が上がるというわけではありませんが、シミュレーションの結果を見て、自分にもできそうと感じた人もいることでしょう。
費用を抑えながら高年収を狙うこともできるので、独立したい人は自分の状況も考えながら検討してみてはいかがでしょうか。