ケアマネジャー(介護支援専門員)のつらいこと、離職


ケアマネジメントの仕事は、介護を必要としている人と介護保険サービスのいわば架け橋であり、主な業務内容としては高齢者やその家族の相談やケアプランの作成、要介護認定書類の作成代行など多岐にわたります。
豊富な専門知識を求められ、今後の超高齢者社会において必要不可欠となるのが、ケアマネジャーという仕事です。
しかしその一方で仕事内容と責任の重さに見合った報酬が得られているか否かという点で、理想とのギャップに悩む人も少なくないといいます。
今回は、そんなケアマネジャーのつらいこと、また離職問題について考えてみたいと思います。

ケアマネジャーとは

ケアマネジャーは介護の専門職です。
保健医療や福祉分野での実務経験者が取得可能な公的な資格で、正式名は「介護支援専門員」といい、介護支援を必要とする人の相談にのり、適切なケアが受けられるよう総合的なコーディネートを行うのが主な役割です。
ケアマネジャーは比較的新しい資格で、平成10年度に第一回試験が行われました。
主な職場は老人福祉施設、在宅介護支援センター、訪問看護ステーション、病院に併設されてる事業所などの居宅介護支援事務所です。
また地域包括支援センターや特別養護老人ホームなどもあります。
ケアマネジャーの資格取得のためには、まず「介護支援専門員証」の取得が必要になります。
そのためには「介護支援専門員実務研修受講試験」を受けます。
合格後に実務研修を終了すると、晴れて介護支援専門員(ケアマネジャー)の資格取得となります。
また資格取得後も、ケアマネジメントの質を高めるための研修があります。
また5年ごとの制度見直しに伴って、常に新しい知識を得るべく敏感に動く必要があり、ケアマネジャーになってからも、学び続ける必要がある職業といえます。

ケアマネジャーのつらいこと

ケアマネジャーは日々多忙で、様々な性格の異なる業務に追われるといわれています。
先に述べた相談業務やケアプランの作成、書類の作成代行以外にも、介護保険給付の請求や各介護サービスとの連絡、また新規の利用者の獲得などもケアマネジャーが行う必要があるのです。
こういった利用者の生活そのものに直結した問題や命に関わる責任を抱えながら、非常に多くの業務においての処理能力を求められるケアマネジャー。
また利用者の生活向上のために、専門職や機関との交渉を行うことも必要になるので、ある程度の医療知識と交渉力もケアマネジャーの能力として求められます。
また介護保険制度は5年ごとに見直しがされるため、ケアマネジャーはその都度制度の内容を把握し、常に新しい知識を持って臨機応変に対応していくことが必要になります。
それに伴って研修も多くなりますが、研修を受けるだけの十分な時間を捻出することすら難しいというのが現状のようです。
求められるケアマネジャーの専門性と知識、交渉力、事務処理能力。
質の向上を目指し、スキルアップをはかりたいと願っても、日々の業務に追われ、その狭間で「つらい」と感じる人はやはり多いようです。

ケアマネジャーの離職問題

介護支援専門員と呼ばれるだけあり、福祉関連のなんでも屋のような立場を否応なしに請け負っている場合も少なくないケアマネジャー。
多忙である反面、自身の打ち出したケアプランにより、利用者の生活状況が改善されるという点で、大きなやりがいを感じる仕事でもあります。
しかしながら、業務内容や業務上の拘束時間に比べて、報酬が十分でないと感じる人は多く、家族を養う立場の人の職業となると「厳しい」といった声が聞こえてきます。
ケアマネジャー一人当たりにおける担当件数には制限が設けられているため、独立して高収入を目指そうにも、その道は険しいようです。
また、人と会う機会もとても多く、利用者やその家族からの連絡があれば、勤務時間外の対応が必要になることもあります。
そういった多忙な中で新しい知識の会得に努め、大量の書類作成に追われる業務は決して甘いものではないでしょう。
こういった日々の精神的プレッシャーと戦いながら、利用者の気持ちに寄り添い、すべてを完璧に処理をしようとする真面目な人ほど疲弊し、最終的に離職の道を選ぶといいます。

ケアマネジメント業の将来について、不安を持っている人は8割だそうです。
今後、介護保険制度自体が存続していくのかどうか不安を感じるという人から、体力、知力ともに過酷な労働環境が続き、年齢的に続けていく自信がない、という人まで理由は様々です。
一方で、利用者の生活の質を向上させるべく日々奔走しながらも、利用者やその家族の笑顔を見て、必要とされる大きな喜びを感じている、というケアマネジャーも多く存在します。



<リジョブ介護 人気カテゴリ>
職種ガイド 職種ガイド 介護施設ガイド 介護施設ガイド 介護問題 介護問題 介護ニュース 介護NEWS 介護インタビュー 介護のひと オススメ求人 オススメ求人

ケアマネジャーのバックナンバーはこちら

ケアマネジャーは激務で安月給というのは本当か

ケアマネジャーの仕事は、激務という話をよく耳にします。さらに介護の現場は給料が安いという話も、ニュースで話題になることが多いです。激務で安月給なのを理由に、離職する人も増えています。 ケアマネジャーの仕事は、実際に激務なのでしょうか?激務と言われている理由や、ケアマネジャーとして生き残っていくために必要なことなどをご紹介します。

1970/01/01

平成25年度におけるケアマネジャーの給与・収入の統計について

ケアマネジャーは利用者と介護保険サービスをつなげる大切な役割をしており、利用者やその家族にとって、なくてはならない存在であることは間違いないでしょう。しかし、その分仕事の内容はハードで、休みを返上して働くなんてこともあります。今回はそんなケアマネジャーの給与・収入の統計についてまとめていきます。是非参考にしてみてください。

1970/01/01

平成24年度介護支援専門員(ケアマネジャー)の平均給与・収入統計

ケアマネジャーの給与や待遇というのは、どのように変化しているのでしょうか。ここでは平成24年度介護支援専門員(ケアマネジャー)の平均給与・収入統計などについて厚生労働省がまとめた「平成24年賃金構造基本統計調査」と、財団法人介護労働安定センターが発表している「平成24年度介護労働実態調査」をベースに見ていきたいと思います。

1970/01/01

平成23年度介護支援専門員(ケアマネジャー)の平均給与・収入統計

平成23年度介護支援専門員(ケアマネジャー)の平均給与・収入統計について、みていきましょう。平成23年は、どのような変化があるのでしょうか。 厚生労働省がまとめた「平成23年賃金構造基本統計調査」と、財団法人介護労働安定センターが発表している「平成23年度介護労働実態調査」をベースに、まとめました。

1970/01/01

給与

平成22年度介護支援専門員(ケアマネジャー)の平均給与統計

高齢社会で活躍を続けるケアマネジャーですが、その給与や待遇は変化しているのでしょうか。 ここでは平成22年度介護支援専門員(ケアマネジャー)の平均給与統計などについて、厚生労働省がまとめた「平成22年賃金構造基本統計調査」と、財団法人介護労働安定センターが発表している「平成22年度介護労働実態調査」をベースにみていきたいと思います。平成22年度ケアマネジャー平均年収まずは、厚生労働省の「平成22年賃金構造基本統計調査」をベースに、ケアマネジャーの平均年収についてまとめてみます。

1970/01/01

受験対策にぴったり!ケアマネジャーの通信講座

ケアマネジャーとして働くためには、ケアマネジャーの資格を取得する必要があります。そして、その試験勉強のために多く用いられているのが通信講座です。 ケアマネジャーの通信講座とはどのようなものなのか、費用のことについても触れながらご紹介していきます。

1970/01/01

職種別の記事まとめ

人気のキーワード