働き方のダイバーシティ部門 GOLD賞受賞企業インタビュー
株式会社NITS
リジョブアワード2025にて、GOLD賞を受賞した企業のインタビューをご紹介。
働き方のダイバーシティ部門は、業界を盛り上げるため、従業員が柔軟に働ける環境づくりを実現されている企業や社外に向けての取り組みを積極的に行っている企業に贈る賞です。
Q1. 貴社が「未経験者や新卒の方のキャリアスタート支援」において行っている取り組みを教えてください。
当社では美容業界未経験者や新卒者など、新たに美容業界でキャリアをスタートされる方へのサポート体制を整えています。取り組みは多岐にわたるのですが、未経験者の方の壁になりやすい、技術、サロンワーク、心理面と3つの点で「ギャップが起きないようにする」という考え方を軸に、施策や制度を考えてきました。
取り組みの柱となる点がスキルを身につけやすい環境設定です。当社はまつ毛カール1本に絞ったメニューを展開していることから、1つのメニューだけにフォーカスして技術の習得ができます。これは未経験の方にとって技術習得のハードルを軽減することに貢献しています。
またまつ毛カールの施術や接客に関して、入店から退店までの施術と接客トークなどの工程や行動を分解してマニュアルに落とし込んでいます。どこができていて、どこがまだ覚えられていないのか、研修中やデビュー後も振り返りが円滑にできる体制を整えています。
さらに美容業界では、指名客獲得を評価することをよく耳にするシーンがありましたが、当社ではこれを完全に撤廃することで、指名をとらなければならないという心理的な負担をなくす状況にしています。
他にも当社では、新人スタッフ1名に対して、シスターと呼ばれる1名の教育担当者が研修をサポートするシスター制度をとっており、研修中の細かなサポートが可能になりました。先輩によって教える内容が異なるという事態を防ぐことにもつながっています。
これらは弊社の取り組みの一部ですが、新人スタッフの心理的負担が少ない状態で、活躍できるようにロードマップを作っています。
Q2. そのような支援を始めようと思われた背景や、企業としての想いを教えてください。
当社は美容サロンのマーケティング事業も行っており、多くのサロンさまをサポートする中で、現在の美容業界では人材確保に大きなハードルがあることを感じていました。その要因は様々ですが、マクロで見ると、昔と比べて美容師免許取得者の減少していることや他業界への転職、ミクロで見ると、もったいない離職や簡単に採用に至らないという点です。
そんな中、業界を盛り上げ、かつ自社サロンを発展させるためには、未経験者を積極的に採用し、美容サロンで働く方を少しでも増やしていくことが重要だと考えました。そして未経験者が入社をするということは、社内に「未経験者に対しての育成能力」が必要不可欠で、当社ではこの部分にフォーカスして人事戦略を考えてきたのです。
Q3. 未経験でも安心して挑戦できる職場をつくるうえで、貴社が大切にしていることは何ですか?
やはり入社後のギャップをなくすことです。美容業界でよく起こりがちなのが、とりあえず採用となりその後すぐに離職、せっかく1人前に育ってきたのに離職となる事態だと考えています。これは求職者にとっても、企業にとっても大きな損失になります。
そこで弊社では本質的な原因は入社後のギャップだと捉え、これをなくすことに徹底的にこだわっています。例えば面接の際には仕事の内容や会社の状況等は包み隠さず共有しています。ですから当社の面接は、個人と会社、互いのニーズや方向性などを共有する打ち合わせに近い雰囲気です。
そして入社後も1週間単位でギャップがないか、施術で困っていることはないか?心理的負担はないか?人間関係はどうか?など細かくヒアリングを行っています。
Q4. 実際に育成されたスタッフの声や、印象に残っているエピソードがあれば教えてください。
ギャップを防ぐということにフォーカスをあてて採用活動を行っているので、入社前に会社の状況や仕事内容を詳しく話してくれたことで、安心して入社ができましたという声はよくいただきます。
Q5. その取り組みによって感じた職場やスタッフの変化・成果があれば教えてください。
変化も多岐に渡りますが、一例をご紹介すると細かくマニュアル化されたまつ毛パーマ施術1本に集中できる環境を整えたことにより、現在は未経験者でも最短2週間、最長1ヶ月ほどでデビューすることが可能になっています。6ヶ月ほど経つと完全に一人前になり、未経験者が早く活躍できる状態が実現できています。またシスター制度と研修管理表の運用により、研修中の離職やギャップによる離職も大幅に減らすことが実現しました。
Q6. 今後さらに目指したい育成環境や、未経験者への支援の方向性を教えてください。
現状は新人スタッフへの教育においてはマネージャー陣を中心に行っていますが、在籍するスタッフ全員が未経験の方に育成ができるような状況を整えていきたいと思っています。教育というアウトプットができることは教育する側のスタッフの成長にもつながりますし、ひいては企業としてももう一段階、スケールアップしていけるのではないかと考えています。
Q7. 最後に、これから美容業界を志す方へ、メッセージをお願いします。
どの業界にも通じる事かもしれませんが、就職においては、入社をしてからギャップがでてくるというのが一番もったいない状態だと思いますので、できるだけギャップが出ないようにする工夫をされるといいのではないかと思います。
とはいえ、企業との面接の場でその会社のことを100%知るというのは難しいと思うので、事前にできる限りたくさんの情報収集をすることをおすすめします。いいこともそうでないことも、できるだけたくさんの情報を集める。
具体的には、実際にサロン見学に行くことや、お店にお客様として足を運んでみること、可能であれば実際に働いているスタッフさんとお話しできる機会をもらうことなどもおすすめです。ネットやSNSだけではない沢山のリアルな情報を土足で調べることによって、ご自身に合ったサロンへ就職できる可能性は高くなると思います。
当社では人事のテーマに「ライフワークハーモニー」、仕事とプライベートの調和を掲げています。職場環境を見たときに、プライベート面や制度面では給料が高いとか休みが多いというのは魅力的に見えますし、当社もそういった状態を引き続き実現していきます。その反面、仕事面での本当の醍醐味というのは、お客様に喜んでいただくことは勿論、社会人として自分が成長できたと実感できる瞬間にあるのではないかと考えています。
そのためには新しい情報を学び、それが職場で活かされたという成功体験を積み上げていくことが不可欠だと思いますので、当社では今年から社内での「学びの場」の提供もより一層アップデートしていきます。
これからも職場環境を充実させ、仕事とプライベートの調和を実現していきたいと思っていますので、当社に興味を持ってくださった方はぜひ期待をしていただき、ご応募いただければと思います。
受賞コメント
(インタビュー対象者:代表取締役 西口知宏さま)
受賞の一報を聞き、驚くと同時にとてもうれしく感じました。これまで取り組んできたことをご評価いただき、非常に光栄なことだと感じています。