働き方のダイバーシティ部門 GOLD賞受賞企業インタビュー
株式会社GINZA global company
働き方のダイバーシティ部門でGOLD賞を受賞した企業のインタビューをご紹介。スタッフの理想のキャリアの実現や、ライフステージに寄り添った柔軟な働き方の整備に取り組む企業に贈る賞です。
Q1. 貴社が「ライフステージに寄り添った柔軟な働き方の整備」において取り組まれていることを教えてください。
私たちは「時間と業務の最適化」を軸に、働き方を整えています。
フレックスタイム制の導入など、家庭を優先できる働き方をルールとして明確化。急なお子さんの体調不良があっても「今日のお客様よりも、家庭を優先していい」という考え方を大切にしています。また、美容業界で当たり前とされてきた営業時間外の作業や細かな慣習についても、「本当にお客さまの価値につながるか」を基準に見直しを行いました。スタッフが目の前のお客様の施術や自分の時間に集中できる環境作りを徹底しています。
それらを実現するために活用しているのがAIです。
ブランクのある方や転職経験の多い方でも安心して現場復帰できるよう、AIにマニュアルを学習させ、技術面での不安なことやわからないことをAIで解決できる仕組みを構築。さらに研修内容をもとにプレゼン資料や動画教材、復習テストなどもAIで自動生成し、その日にすぐ復習できるようにしました。薬剤選定や接客方法、クレーム対応なども、イラストや動画を用いてわかりやすく可視化しています。
また、研修後に集まった質問をAIで分析し、次回以降の教材へ反映することで、研修内容が常にアップデートされていく仕組みも作っています。その結果、長いブランクがある方でも、早ければ1ヶ月半、遅くても2ヶ月ほどで現場復帰が可能となりました。
Q2. そのような個人の状況に合わせた働き方を支援しようと思った背景や想いを教えてください。
もともと弊社は、三重県で新卒採用と育成を中心とした美容室を運営しており、私自身も店長やマネージャーとして現場を経験してきました。特に女性スタッフが多い環境だったため、結婚や出産など、ライフステージの変化によって働き続ける難しさに直面する場面を数多く見てきたんです。「長く安心して働き続けられる環境」を本気で作る必要があると考えたのが、現在の取り組みの原点です。
まずは「本当に必要なこと」と「やらなくていいこと」を徹底的に見直しました。判断基準はシンプルで、「お客さまへの価値提供につながるかどうか」です。施術や接客品質に関わることは徹底して行いますが、それ以外の業務は可能な限り効率化しています。
たとえば、レジ締めや小口管理、ブログ更新、クーポン調整、スタイル撮影など、本部で対応できるものは現場スタッフに任せません。朝礼・終礼や営業時間外のミーティングもなく、売上を比較したり反省を発表させたりする文化も廃止しました。また、タオルを細かく畳むといった美容業界特有の慣習も「本当に必要か」を基準に見直しています。
Q3. スタッフが「働きやすさとやりがいを両立し、長く安心して働き続けられる環境作り」で、特に意識していることはありますか?
私たちが大切にしているのは、「安心して働けること」と「美容師として求められる実感」の両立です。働きやすさだけでは長く続きませんし、やりがいだけを重視すると無理をする働き方になってしまいます。そのバランスを、個人の努力ではなく「仕組み」で支えることを意識しています。
たとえば急なお休みなどが発生した場合は、本部からお客さまに連絡を行います。現場スタッフが板挟みになったり、「迷惑をかけてしまった」と負担を抱えないようにするためです。また、接客やカウンセリングの流れまで細かくルール化し、「人によって言うことが違う」という属人的な状態をなくしています。
さらに、誰が行っても高い顧客満足度を実現するため、AIを活用した教育、カウンセリング支援も行っています。各スタッフにはiPadを支給し、新規のお客さまには動画やプレゼン資料を用いて施術内容を説明。説明内容や動画を見せるタイミングまでマニュアル化することで、経験値に左右されず一定水準の接客品質を保っています。
Q4. その取り組みを通じて、実際に制度を利用して活躍されているスタッフの声やエピソードを教えてください。
見学や面接の際、多くの方から「本当にそんな働き方ができるんですか?」と半信半疑の言葉をいただきます。美容業界では求人情報と実際の働き方にギャップがあるケースも少なくないからです。
ただ、実際に入社したスタッフからは、「求人情報に書いてあったとおりだった」という声を本当によくいただきます。心理的な負担がなく働けることに安心感を持ってくれているのではないでしょうか。
最初は体力的にも精神的にも不安を抱えていた方も、今ではお客さまから指名される美容師として活躍しています。実際、以前は月収10万円ほどだったスタッフが、同じような勤務時間のまま入社後に月収30万円以上を実現したケースも。その方から「ラポルに出会ったことで美容師を続けられてよかった」と言ってもらったことは今でも印象に残っています。
現在は、子育て中の方やブランクから復帰した方など、さまざまな背景を持つスタッフが活躍していますが、共通しているのは「美容師を続けたい」という想いです。今回の受賞も、そうした1人ひとりのキャリアの積み重ねが評価された結果だと感じています。
Q5. その取り組みによって感じた職場やスタッフの変化・成果(復職率や定着率など)があれば教えてください。
もっとも大きな変化は、スタッフが「無理をしなくても長く働ける」と感じられるようになったこと。これは私の実感だけでなく、4年連続離職率0%という数字にもあらわれています。
特に複数のサロンを経験してきた方や、一度美容業界を離れた方ほど「今までと全然違う」と感じてくださることが多いです。以前は長時間労働や人間関係、数字によるプレッシャーに悩み、「美容師を続けるのは難しい」と感じていた方が、今では安心して働き続けられています。
また、収入が大きく改善したことで、生活面や精神面に余裕が生まれたという声も多くあります。短い時間でもお客さまにしっかり向き合えるため、仕事への満足感や自己肯定感につながっているのではないでしょうか。
復職という面でも、「ブランクがあっても戻れる」という安心感は大きいと思っています。現在、産休中のスタッフも復帰予定ですし、グループ内の育成サロンでは復職率100%を維持しています。同じようなライフステージや悩みを持つスタッフが多いため、自然と「戻ってきやすい空気感」ができているのも特徴です。
Q6. 今後、さらに挑戦したい環境整備や、新たなライフサポートの取り組みがあれば教えてください。
一定の料金で継続的に髪質改善を提供していく「定額制」を導入していきたいと考えています。
これにより、お客さまが通いやすくなるだけでなく、スタッフ側の負担軽減にもつながると考えています。「売上を上げるために単価の高いメニューの提案をしなければいけない」といったプレッシャーがなくなり、お客さまにとって最適な提案に集中できるからです。
働き方については、ここ数年で多くの課題を解決できてきた実感があります。実際、「こういう制度が欲しい」という声はかなり減りました。
その一方で、「安心して働き続けるためのルール整備」は常にアップデートしていくべきだと考えています。スタッフ1人ひとりの状況や価値観が多様化するなかで、「この場合はどうするか」といった細かな判断基準をより明確にしていくことが大切です。女性スタッフが多い職場だからこそ、感情面も含めたコミュニケーションとサポート設計や、働く上でのルール作りは、今後さらにブラッシュアップしていきたい部分です。
現在はフランチャイズ展開も進んでおり、県外からの問い合わせも増えています。今後もAIを活用した教育や働き方の仕組みを進化させながら、「この働き方なら長く美容師を続けられる」と思える人を全国に増やしていきたいです。
Q7. 最後に、変化するライフステージに寄り添いながら、自分らしく働き続けたいと考えている方へメッセージをお願いします。
美容師は本当に素晴らしい仕事です。だからこそライフステージの変化を理由に「もう続けられない」と諦めてしまうのは、とてももったいないことだと感じています。
美容師免許や、これまで積み重ねてきた技術、経験は、自分の人生を使って手に入れた大切な財産です。今は働き方も多様化していて、以前よりも自分に合った環境を選べる時代になってきています。だからこそ、「もう無理かもしれない」と決めつけずに、自分らしく働ける場所をぜひ探してほしいです。
実際に、弊社にも「美容師を辞めようと思っていた」「ブランクがあるから不安だった」という方がたくさん来られます。でも、そういった方々が再びお客さまに喜ばれ、美容師として活躍されている姿を、私たちは何度も見てきました。
ライフステージが変わっても、美容師としての価値がなくなるわけではありません。むしろ、さまざまな経験を重ねたからこそ、お客さまに寄り添える魅力や強みも増えていくと思っています。
これから先も、「美容師を続けてよかった」「この資格を取ってよかった」と思える人が増えていくように、業界全体でも働き方は変わっていくはず。そのなかで、自分の人生も大切にしながら、美容師という仕事を長く楽しんでいただけたらうれしいです。
受賞コメント
(インタビュー対象者:マネージャー 芝崎晴紀さま)
2025年のBRONZE PRIZEに続き、今年はGOLD PRIZEを受賞できたことを、大変うれしく思っています。今回このような評価をいただいたことで、私たちが取り組んできたライフステージに寄り添う髪質改善専門店ラポルの働き方が、少しずつ業界のなかでも必要とされ始めているのだと実感しました。
美容業界では、結婚や出産、育児などをきっかけに働き方に悩んだり、続けることを諦めてしまう方も少なくありません。だからこそ今回の受賞をきっかけに「こういう働き方もあるんだ」と知っていただき、美容師を辞めようと考えている方、復帰を諦めてしまっている方、美容師免許を活かす方法を探している方に、長く安心して働ける環境が業界全体に広がっていけばうれしいです。