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Uncategorized 2022-04-08

保育士不足は深刻? 保育士として働くことへの不安とは|人材確保に向けた取り組みを紹介

「保育士が足りない」といわれて久しい昨今。おもに都心部での待機児童問題などで、保育士不足についての話題が取り上げられており、大きな社会問題となっています。

保育士不足はどのくらい深刻な問題であり、どのような要因が考えられるのでしょうか。
ここでは保育士不足の現状や要因、人材確保に向けた行政の取り組みなどについて、具体的にご紹介します。

保育士不足は深刻なの? 現状を解説

まずは保育士不足の現状について解説します。
「保育士が不足している」「保育士が足りない」「保育士が一斉退職する」などのニュースを見る機会がありますが、実際はどうなのでしょうか。

厚生労働省の発表によると、2020年5月における保育士の有効求人倍率は2.18倍。全職種の有効求人倍率は平均1.10倍であることと比べると、非常に高い数値です。この数値から、保育士は人手不足であることがわかります。

保育士不足は深刻|厚生労働省「新子育て安心プラン」

厚生労働省は待機児童の解消を目指し、「新子育て安心プラン」を公表しました。2021~2024年度末までの4年間で、約14万人分の保育の受け皿確保を目標としています。

具体的な活動としては、給与形態の改善や職場復帰への支援、勤務環境の改善のための取り組みをおこなっています。

なぜ人材不足に? 保育士の退職理由と仕事への不安とは

保育士は国家資格でありながら、就業を継続できず退職する人が多く、さらには育児などの理由で離職した人が復職しにくいという現状があります。
ここでは、厚生労働省の2020年「保育士の現状と主な取組」にもとづき、保育士が人材不足となる原因について具体的にご紹介しましょう。

保育士の退職理由とは?

保育士の退職理由にはどのようなものがあるのでしょうか。「職場の人間関係」「給料が安い」「仕事量が多い」「労働時間が長い」「妊娠・出産」などの理由があげられます。
以下では、それぞれの理由について具体的にご紹介しましょう。

1. 職場の人間関係

保育士の退職理由1位は職場の人間関係です。退職者の33.5%がこの職場の人間関係を理由にあげています。人間関係の悪さ、上司や同僚とうまく関係性を築けないなどの理由から退職してしまう人が多いようです。

保育士の仕事上、ほかの職員と協力しながら保育活動や行事の開催などをおこないます。しかし、その際に保育観が合わなかったり、不満を持ったりすることでストレスを抱えてしまうことも少なくありません。

2. 給料が安い

保育士の退職理由2位は、給料が安いことです。退職者の29.2%が給料の安さを理由にあげています。

令和元年度賃金構造基本統計調査によると、全職種の平均年収が500.7万円であるのに対して、保育士は363.5万円。保育士の年収はほかの職種と比較して、100万円以上低いという現状があります。

保育士の仕事にやりがいを感じながらも、「安い給料では生活できない」「割に合わない」と感じてしまい退職する人も少なくありません。

3. 仕事量が多い

保育士の退職理由3位は、仕事量が多いことです。退職者の27.7%が仕事量の多さを理由にあげています。保育士は、多種多様な仕事を一人で担うことが多いです。

たとえば保育活動、園児の出席確認、保護者への対応、清掃業務、おたより作成、連絡帳の記入など日々の業務に加え、行事などがあればさらに仕事量は増えます。自宅で仕事をしなければいけないケースも多く、プライベートが失われてしまうために退職を検討する人も少なくありません。

4. 労働時間が長い

保育士の退職理由4位は、労働時間が長いことです。退職者の24.9%が労働時間を理由にあげています。

保育士は基本的に、子どもを預けている親の仕事が始まる前から、親の仕事が終わるまでが労働時間となるため、ほかの職種よりも長い傾向となります。
休憩時間を充分にとれない、サービス残業の発生などにより、労働時間に不満を持つ保育士は多いです。

5. 妊娠・出産

保育士の退職理由5位は、妊娠・出産です。男性の保育士を見る機会が増えてきましたが、保育士は圧倒的に女性が多い職場。そのため、女性特有のライフイベントを機に退職する人が多いのが現状です。

仕事量が多く、労働時間が長いことから、育児との両立は困難であり、育児休暇を取得せずにそのまま退職してしまうケースも少なくありません。

保育士を辞めた人は復職を希望している?|復職の希望条件とは

一度保育士を辞めた人は、復職を希望しているのでしょうか。
ここでは、厚生労働省の2020年「保育士の現状と主な取組」にもとづき、おもな復職の希望条件について具体的にご紹介します。

1. 通勤時間

79.9%の人が通勤時間を復職の希望条件としています。毎日通うからこそ、体力的にも精神的にも負担とならない範囲で職場を探したいと考える人は少なくありません。

2. 勤務日数・勤務時間

77.8%の人が勤務日数を復職の希望条件としています。保育園は基本的に、月~土まで開園しているところが多く、園によっては休日保育をおこなっていることもあります。

そのような園では多くの勤務日数を求められることになり、自身の休日を確保できないことから、復職にはハードルが高くなってしまうのです。

また、勤務時間も復職には大切な条件です。76.3%の人が勤務時間を復職の希望条件としています。保育園は早朝の保育から夕方遅くまでの保育をおこなっているところが多いです。

勤務日数と同様に、勤務時間が長くなることで休日を確保できないだけではなく、体力的にも精神的にもダメージを負ってしまいます。適切な勤務日数と勤務時間が、スムーズな復職につながるといえるでしょう。

3. 給与など

63.7%の人が給与を復職の希望条件としています。保育士の仕事は単に子どもと遊ぶだけではなく、子どもの安全の確保をしたうえで、成長を促していくように関わります。さらには、そのなかで事務作業や雑務、保護者との連絡など、子どもと関わる以外の業務も少なくありません。

子どもを預かるという責任の重さに、給与や待遇が見合わないことも多く、復職には待遇の改善が必須条件となってきます。

保育士試験合格者が保育士の仕事に感じる不安とは?

保育士になるためには、以下の2つのルートがあります。
・特定の養成施設において、決められた課程や科目を履修して卒業する
・保育士試験を合格する

後者のルートでは、保育に関係のない大学を卒業していても受験資格を得ることができ、試験に合格することで保育士としての勤務が可能です。そのため、養成施設を卒業した場合よりも保育士試験に合格した場合のほうが、現場を経験したことがないため不安に感じる割合が高い傾向となっています。

ここでは、厚生労働省の2020年「保育士の現状と主な取組」にもとづき、保育士試験合格者が保育士の仕事に感じる不安をご紹介します。

1. 労働条件・労働環境

労働条件や労働環境に対する不安が一番高く、31.8%の人が不安に感じています。

実習を経験しておらず、自分自身の子どもを預ける機会などがなければ普段の生活で保育園と関わることがないため、実際の環境を見たり、感じたりすることはできません。
そのため、実際にどのような環境で勤務するのか、働くのはどのような場所なのかをイメージできず、不安に感じる人は多いのです。

2. 保育・子育て・実習などの経験不足

保育・子育て・実習などの経験が不足していることにより、24.3%の人が不安を感じています。

保育士試験合格者は、保育の現場での実習経験を得ずに就職することになります。また、保育士を志すのは若い女性が多く、子育ての経験がない人がほとんどでしょう。子どもとの触れ合いに不安を感じる人は多いという現状があります。

3. 年齢・体力

年齢や体力に不安を感じるのは3番目であり、12.6%です。

保育士の仕事には子どもを抱っこしたり、遊びに付き合ったりすることも含まれています。また、子どもは突発的な動きをすることもあります。
保育士試験に合格し、資格を取得した人は実習の経験がなく、子育ての経験もない人、子どもと触れ合ったことがない人がほとんどであるため、体力的な不安を持つ人が多いのです。

4. 保育の専門知識・技術の不足

保育の専門知識・技術の不足が4番目で10.6%です。専門課程を修了した場合では、2年以上大学で専門的に学び、知識や技術を習得できます。

しかし、保育士試験合格者はそのような経験がないため、国家試験は合格しているものの不安に感じる人は少なくありません。

離職防止で待機児童問題解消|人材確保に向けた行政の対策を紹介

これまでに紹介してきたように、待遇の面や職場の人間関係、復職しにくいという状況などから、どの地域でも保育士が不足しているという現状があります。では、人材確保に向け行政はどのような対策を示しているのでしょうか。

ここでは、人材確保に向けた行政の対策についてご紹介します。

1. 保育士処遇改善等加算

保育士が退職する理由のひとつに、給料が安いことがあげられます。そこで、2015年から処遇改善加算をスタートさせ、保育士の給料アップを目指しました。

この加算にはⅠとⅡの2種類があり、正規職員だけではなく、パートやアルバイトの人も対象となっており、保育士の処遇改善につながります。

過去記事にリンクを貼る:https://relax-job.com/more-health/13830

保育士・幼稚園教諭等処遇改善臨時特例事業

第59回子ども・子育て会議により、2022年2月から保育士・幼稚園教諭等処遇改善臨時特例事業が開始となりました。

近年、保育・幼児教育、介護、看護などのエッセンシャルワーカーの賃上げが大きく取り上げられるようになり、収入を3%程度引き上げるための費用が補助されることとなったのです。

2. 保育士キャリアアップ研修

2017年に厚生労働省が制定したものであり、保育士が働く現場のリーダーが職員を育成するために制定された研修です。
この研修を受講すると、それぞれの役割に手当が支給されます。これによって、保育士の待遇改善につながるのです。

過去記事にリンクを貼る:https://relax-job.com/more-health/12955

3. 保育士資格試験実施が年2回に

2014年の国家戦略特区諮問会議で、これまでは年に1回だった保育士資格試験の実施が年に2回に変更されました。試験の回数が増加することで保育士の人員確保がしやすくなり、その結果処遇改善につながります。

過去記事にリンクを貼る:https://relax-job.com/more-health/13424
リジョブケアのトップページはこちら:https://relax-job.com/kaigo

保育士の労働環境・条件改善の取り組みが進んでいる

待機児童問題を解決するためには、保育士の確保が欠かせません。しかし、職場の人間関係や待遇面、復職のしにくさなどから、保育士はどの地域でも慢性的に不足しているという現状があります。

このままでは保育士の人材確保はできず、待機児童問題が解決されることはむずかしいでしょう。
現在行政は、人材確保に向けた取り組みを進めています。今後保育士が働くうえでの不安が解消され、処遇が改善されたうえで問題が解決していくことを期待したいですね。

引用元サイト
厚生労働省 保育士の現状と主な取組
厚生労働省 【セット版】140804保育キャンペーン資料
厚生労働省 保育士確保
厚生労働省 「新子育て安心プラン」の公表について
内閣府 施設型給付費等に係る処遇改善等加算Ⅰ及び処遇改善等加算Ⅱについて
内閣府 処遇改善等加算IIの仕組み
内閣府 保育士・幼稚園教諭等処遇改善臨時特例事業の実施について
内閣府 保育士・幼稚園教諭等処遇改善臨時特例事業 リーフレット
東京都福祉保健局 東京都保育士等キャリアアップ研修に関すること
東京都福祉保健局 保育士等キャリアアップ研修の実施について
全国保育士養成協議会 保育士試験を受ける方へ

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