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Uncategorized 2023-05-02

児童養護施設で働くにはどうすればいいの? 必要とされる職種と資格を紹介

世のなかには、保護者がいない・親から虐待を受けるなどの理由で不安を抱えている子どもがいます。そんな子どもを支援して、自立した生活を送れるようにサポートするために児童養護施設が作られました。

今回の記事では、施設で働いている職種や必要な資格など、児童養護施設への就職についてをご紹介します。

児童養護施設で働くにはどうすればいいの?


児童養護施設は、主に保護者がいない子どもや虐待を受けた経験のある子どものうち、社会的な養護を必要としている子どもが生活して、退所後に自立した生活ができるようサポートする施設のことをいいます。

児童養護施設で生活する子どもは、さまざまな悩みや不安を抱えています。そんな子どもが自立した生活ができるように、児童養護施設で働きたいと考えている方もいるかもしれません。そこで、まずは児童養護施設への就職についてご紹介します。

資格取得がおすすめ|無資格では働けない?

児童養護施設は、基本的に資格が必要です。しかし、無資格でも補助スタッフとしてアルバイトや非常勤で勤務できる求人もあります。もしも、正社員としてや、専門分野を活かして働きたい場合は、求人の条件に当てはまる資格を取得するようにしましょう。

児童養護施設で必要とされる職種と資格を紹介


児童養護施設では、さまざまな職種の方が働いています。次に、児童養護施設で働いている職種と資格の取得方法をご紹介します。児童養護施設への就職を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

児童指導員

児童指導員は、保護者がいない、もしくは虐待などを受けて養護を必要としている子どもに対して、生活指導や育成をおこなうことが仕事です。子どもの進路や人生設計のために、ひとりひとりに合わせた適切なアドバイスをすることが求められます。

児童指導員とは? 仕事内容と活躍の場を紹介|児童指導員を目指すにはどうすればいいの?

児童指導員になるには?

児童指導員になるためには、任用資格を得なければいけません。任用資格を取得するためには、5つの条件のうちいずれかを満たす必要があります。厚生労働省のページを引用してご紹介します。

(ⅰ)4年制大学や通信制大学で社会福祉学、心理学、教育学、社会学を専修する学部、学科を卒業
(ⅱ)社会福祉士、精神保健福祉士のいずれかの資格を取得
(ⅲ)高校若しくは中等教育学校を卒業し、2年以上児童福祉事業に従事
(ⅳ)3年以上児童福祉事業に従事し、厚生労働大臣又は都道府県知事から認定
(ⅴ)幼稚園教諭、小中学校、高等学校の教員免許を所有しており、厚生労働大臣又は都道府県知事から認定

以上の条件のうちひとつを満たしたうえで、試験に合格しなければいけません。試験は勤務する施設の経営主体によって異なります。自治体の場合は公務員試験、法人や民間施設の場合は、採用試験に合格する必要があります。

引用:厚生労働省:児童指導員

児童指導員になるには資格が必要? 児童指導員を目指せる5つのルート|児童指導員のやりがいも紹介

保育士

保育士は、資格勉強を通じて得た専門知識や技術をもとに、子どもの保育や保護者へ子育ての助言や指導をおこなうことが仕事です。保育士には、子どもをよく観察する力が求められます。健康かつ安全に子どもが成長できるように、指導計画書を作成して保育に当たらなければいけません。

保育士とは? 仕事内容となるための方法を紹介|保育士の需要と将来性を解説

保育士になるには?

保育士になるには、養成課程のある学校や施設を卒業するか、試験に合格する方法があります。試験は各都道府県で年に2回実施されており、短大やは専門学校卒業もしくは、児童福祉施設で5年以上の実務経験がなどが必要です。

保育士の受験資格は多岐にわたるため、詳細を知りたいという方は、保育士試験を主催している一般社団法人全国保育士養成協議会のホームページをご確認ください。

保育士になるには?資格が必要?|資格取得方法や受験資格について紹介

家庭支援専門相談員

家庭支援専門相談員は、子どもが抱えている家庭の悩みに対して、助言や援助、調査をして親子関係の再構築を図れるようにサポートするほか、退所した子どもの相談や施設職員の指導もおこないます。

家庭支援専門相談員になるには?

家庭支援専門相談員になるための資格要件を、厚生労働省が公表した「社会的養護における職種別任用要件等」から引用します。

・社会福祉士若しくは精神保健福祉士の資格を有する者
・児童養護施設等(里親を含む)において児童の養育に5年以上従事した者
・児童福祉法第13条第2項各号のいずれかに該当する者(児童福祉司資格)

家庭支援専門相談員を目指す方は、上記の条件から最も自身が近道であるものに該当するようにしましょう。

引用:厚生労働省:社会的養護における職種別任用要件等

心理療法担当職員

心理療法担当職員は、心理療法を用いて虐待などで心理的外傷を負った子どものケアをおこないます。基本的に子どもを中心にケアをおこないますが、保護者や関係機関とも連携しておこなうため、さまざまな人と向き合います。

心理療法担当職員になるには?

心理療法担当職員になるための資格要件を、厚生労働省が公表した「社会的養護における職種別任用要件等」から引用します。

学校教育法の規定による大学の学部で、心理学を専修する学科若しくはこれに相当する課程を修めて卒業した者であって、個人及び集団心理療法の技術を有するもの又
はこれと同等以上の能力を有すると認められる者でなければならない。

心理療法担当職員として児童養護施設で働くためには、大学で心理学を専修し、卒業しなければいけません。また、心理療法の技術については、児童養護施設によって異なっており、臨床心理士や公認心理師などの資格を有していることを求められる場合があります。
引用:厚生労働省:社会的養護における職種別任用要件等

個別対応職員

個別対応職員は主に、被虐待児など1対1での対応や面接、当該児童の保護者への援助をおこなう仕事です。そのほかにも、心理士と連携を図り子どもの生活ケアや子どもの担当職員のフォローなどもおこないます。

個別対応職員になるには?

個別対応職員は、必須の要件はありませんが、臨床心理士資格など心理学の知識を用いることで、こころの問題にアプローチすることができます。臨床心理士は、公益社団法人日本臨床心理士資格認定協会が主催しています。主な受験資格について、日本臨床心理士資格認定協会のページより引用します。

・指定大学院(1種・2種)を修了し、所定の条件を充足している者
・臨床心理士養成に関する専門職大学院を修了した者
・諸外国で指定大学院と同等以上の教育歴があり、修了後の日本国内における心理臨床経験2年以上を有する者
・医師免許取得者で、取得後、心理臨床経験2年以上を有する者  など

受験資格に関する指定大学院や専門職大学院、そのほか資格の詳細は、公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会のホームページを確認するようにしてください。

引用: 公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会:受験資格

嘱託医・看護師

嘱託医(しょくたくい)・看護者は、病気の治療・常備薬の管理や投与といった、児童の医療的ケアや健康管理をします。子どもの健康を医療の面からサポートをおこなうため、子どもの日々の日常生活の観察や体調を把握しておかなければいけません。

看護師になるには資格が必要! 受験資格を解説|看護師を目指せる学校を紹介

嘱託医や看護師になるには?

嘱託医になるには医師免許、看護師は看護師資格が必要です。2つとも国家資格で、今回の記事でご紹介している職種のなかでは、難易度が高い資格です。

医師免許は、大学の医学部で6年間学んだあと、国家試験に合格、さらに臨床研修医として2年以上の経験を積まなければいけません。看護師についても看護師課程の大学や短大、養成所で学ぶ必要があります。

医師国家試験受験資格・看護師国家試験の詳細は、厚生労働省の「医師国家試験受験資格認定について」「看護師国家試験の施行」から確認することができます。

栄養士・調理師

栄養士は、施設の運営方針に従い、栄養に関する指導・助言・食事の管理などをおこなうことが主な仕事です。子どもの健康や栄養状態をもとに献立を考えなければいけません。一方で、調理師は、食事の提供や食の安全確保が主な仕事です。両者ともに食を通じて大切な役割を担っています。

栄養士ってどんな仕事?資格の取得方法とは?|仕事内容や資格の取得方法を解説

栄養士や調理師になるには?

栄養士や調理師になるためには、栄養士資格・調理師資格が必要で、両方とも国家資格に位置しています。

児童養護施設で働く栄養士になるためには、厚生労働大臣が指定する栄養士養成施設、もしくは管理栄養士養成施設で2年以上学び卒業しなければいけません。

また、調理師は、調理師学校で1年以上学び、卒業した後に実務経験を2年積むことで免許を取得することができます。栄養士および調理師試験の詳細については、公益社団法人日本栄養士会のホームページ公益社団法人調理技術技能センターのホームページをご覧ください。

里親支援専門相談員

里親支援専門相談員は、児童相談所の職員などと連携しながら里親の新規開拓や研修、里親家庭の相談対応など、児童養護施設と里親をつなぐ役割を担っています。

里親に委託される子どもは、虐待などを受け心に傷を負っているケースが多く、育てるうえで悩みを抱えることが少なくありません。そのような悩みを解消するために、里親支援専門相談員が研修や相談などサポートをおこないます。

里親支援専門相談員になるには?

里親支援専門相談員の要件について、厚生労働省が公表した「社会的養護における職種別任用要件等」から引用します。

・社会福祉士若しくは精神保健福祉士の資格を有する者
・児童福祉法第13条第2項各号のいずれかに該当する者(児童福祉司資格)
・児童養護施設等(里親を含む)において児童の養育に5年以上従事した者であって、里親制度への理解及びソーシャルワークの視点を有するもの

里親支援専門相談員の要件は、心理療法担当職員とほぼ同じです。これから里親支援専門相談員を目指す方は、上記の要件から最も自身が該当しやすいものを選ぶといいでしょう。

引用:厚生労働:社会的養護における職種別任用要件等

児童養護施設へ就職するには?


児童養護施設へ就職するためには、希望の職種の要件を満たしたうえで求人を探す必要があります。ここで注意しておいてほしいことは、児童養護施設が公立か私立で採用方法が異なる点です。

さいごに、児童養護施設への就職を公立と私立に分けてご紹介します。

公立の施設では公務員試験の合格が必須

公立の児童養護施設へ就職するためには、資格要件を満たしたうえで公務員試験に合格しなければいけません。また、施設の数は私立に比べて少ないため、必ずしも希望の施設に就職できるとは限りません。いずれにせよ、公務員試験の合格は必須の条件です。

私立の施設では実施される面接などをクリアしよう

私立の児童養護施設は、社会福祉法人または民間企業が運営している場合が多く、就職するためには、採用試験を突破しなければいけません。また、施設によって採用試験は異なっており、個別面接の施設もあれば、集団面接やグループディスカッションを取り入れている施設もあります。

どの採用試験であったとしても、合格できるように対策しておくことが大切でしょう。

児童養護施設で働くには資格取得がおすすめ!


児童養護施設の就職についてご紹介しました。今回の記事でご紹介した職種8つをまとめておきます。

・児童指導員
・保育士
・家庭支援専門相談員
・心理療法担当職員
・個別対応職員
・嘱託医・看護師
・栄養士・調理師
・里親支援専門相談員

どの職種においても就職の際は、厚生労働省が公表した「厚生労働省:社会的養護における職種別任用要件等」の要件を満たしていなければいけません。

資格がない場合であっても、アルバイトや非常勤として働くことは可能ですが、正社員として働くことを検討している方は、希望職種の要件を満たすようにしましょう。

引用元
厚生労働省:社会的養護の施設等について
厚生労働省:社会的養護における職種別任用要件等
厚生労働省:児童指導員
厚生労働省:保育士
一般社団法人全国保育士養成協議会:受験資格
東京都福祉保健局:家庭支援専門相談員
厚生労働省:子ども家庭福祉の認定資格の取得に係る研修等に関する検討会 とりまとめ【案】
東京都福祉保健局:心理療法担当職員
公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会:受験資格
厚生労働省:医師国家試験受験資格認定について
厚生労働省:看護師国家試験の施行
公益社団法人日本栄養士会:管理栄養士・栄養士とは
公益社団法人調理技術技能センター:調理師試験について

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