介護事務って難しいの?主な仕事内容や難しさを感じる場面・やりがいを感じる場面について解説
特に未経験の場合、介護事務の仕事内容は難しいのか、自分にできるかといった不安を感じている人もいるのではないでしょうか。そこで、介護事務職の求人における現状や業務内容の難しさなどについて詳しくお伝えします。
これから介護事務を始めたい方、ブランクがあって久しぶりに復帰したいと考えている方は、ぜひ最後までしっかりご覧ください。
介護事務には未経験でも就職・転職できるが専任の求人は少ない
高齢化が進行して介護業界全体のニーズが高まっており、介護事務の仕事も今後ますます需要が増えてくると予想されています。
なお、介護事務は未経験でも就職・転職できますが、専任の求人は少ないのが現状です。以下で詳しく見ていきましょう。
介護事務の求人動向
介護職全体で見ると、求人は非常に多いです。しかし、介護事務のみでの求人は少なく、ケアマネジャーや介護士といった業務と兼任で募集しているケースが多数見られます。
関東・関西・九州などエリアごとに介護事務のみの求人数を見ても、少ないところでは1ケタ、多いところでも2ケタ程度と大変少数です。そのため、介護事務のみで仕事をしたい方にとっては非常に狭き門といえます。
介護業界では深刻な人材不足
事務専任での求人が少ない一方で、介護業界では深刻な人手不足が問題になっています。高齢化によって介護を必要とする人が増加の一途をたどっているため、それに見合う数の介護者が必要です。
ところが、内閣府の発表によれば、令和元(2019)年10月1日時点での日本の人口は1億2,617万人、そのうち65歳以上の人は3,589万人と、日本の人口の約28.4%が高齢者です。
最初に統計が出された昭和25(1950)年にはわずか4.6%だった高齢化率は右肩上がりに増え続けている一方、15~64歳の「生産年齢人口」は減少し続けています。
このように、介護現場全体での労働者が足りていないため、介護事務のスタッフを専任で雇うことが難しい状況なのです。
介護事務で採用されても現場のサポートをすることを求められることも
介護事務のみのつもりで採用された場合でも、施設や事業所の状況によっては現場のサポート業務を任されるケースもあります。慢性的な人手不足に悩んでいる、急にスタッフが休んだ・辞めたなどの理由で、現場の手が足りなくなることがあるためです。
実際に介護事務職に就いた人のなかにも、思っていた業務内容との違いに悩む人もいます。どうしても事務だけに専念したいようであれば、上司などに相談してみましょう。
また、担当外のやりたくない仕事を無理強いされるようであれば、本当にその職場で仕事を続けていいのか、今一度考え直すことも大切です。
介護事務の3つの主な仕事内容
介護事務職の求人状況や介護業界全体の現状は、なかなか厳しいものであることがわかりました。しかし、それでも介護事務の仕事をやりたいという方もいることでしょう。そこで、ここからは介護事務の主な仕事内容を3つに分けて解説します。
施設の総務・会計・経理業務
介護事務はどのような業務を担うのでしょうか。内部向けにおこなう主な仕事としては、施設の整備などの総務、書類作成などの経理、会計などの業務があります。
なかでも「介護給付費明細書(レセプト)」作成は大きな業務の1つ。介護施設や事業所で提供するサービスに対し、利用者が支払うのは1~3割なので、残りの7~9割は「介護報酬」として月単位でまとめて市町村に請求します。
施設にとって大切な収入源なので、期限内に正確に計算し、請求を行わなければなりません。また、利用者に対するサービス料の請求書作成も介護事務の仕事です。
施設外とのコミュニケーション
介護事務の業務は、内部に関するものだけではありません。外部に対しておこなう、電話対応や来客対応などの仕事もあります。
電話は医療機関から一般の方までさまざまな相手からかかってくる可能性があり、自分で対応できるものは対応し、必要に応じて担当者に取り次ぐ、伝言を受けるなどの対応もおこないます。
また、来客の相手もさまざまです。受付で対応できる場合と、中に通して応接室などに案内する場合があります。事前にアポイントが入っている場合は、席を用意したり飲み物を準備したりもしておかなければなりません。
施設内での業務とサポート
介護事務の仕事は、ほかにもスタッフのシフトの作成や勤怠管理、給与計算、ケアマネジャーのサポートなど多岐にわたります。場合によっては新規採用者への書類作成など労務関連の業務も必要です。
なお、ケアマネジャーのサポートについては、「介護事務」の業務範囲というよりは、介護事務の資格や経験、知識などをもとにした柔軟な対応が求められる業務といえます。
介護事務の難しさとやりがい
介護事務の仕事内容がわかったところで、つづいては介護事務の難しさとやりがいについてお伝えします。
介護事務の難しさ①介護保険制度の知識が必要
介護事務の業務のなかで、レセプト作成についてお伝えしました。きちんと正確に請求をおこなうためには、国が定める「介護保険制度」への知識が求められます。介護保険制度は3年に1度見直しがあるため、改正されるたびに最新の情報を勉強しなければなりません。
最新情報の知識不足で請求を間違えてしまうと、審査が通らず施設への報酬が入ってこない可能性があります。1カ月分のまとまった収入が入らないとなれば、施設にとっては大きな損失です。
そのため、最新の制度内容を把握することは、介護事務職の難しさや大変さにつながる理由の1つといえます。
介護事務の難しさ②責任が重い
介護事務の難しさとしてもう1つ挙げられるのが、責任が重い点です。前項で挙げたような報酬の請求ミスをした場合、施設への金銭的な損失以外に施設に対する評判を落とす可能性もあります。
また、受付で介護事務担当者が利用者や家族におこなう対応も、施設自体への印象を左右するものです。ミスやトラブルが発生した場合の責任は重く、施設全体に影響を及ぼす恐れがあります。
介護事務のやりがい①施設の戦略・運営面に携われる
介護事務の仕事は難しいばかりではなく、やりがいも感じられます。実際に介護事務職をしている人の意見のなかには、施設の戦略・運営に携われることがやりがいにつながっている、という声がありました。
法改正のタイミングや年度替わりなどに、管理職の人々とより充実したサービスを提供するための方針などの話し合いができる職場もあります。介護事務ならではの目線から、取得できそうな加算を提案するなどの意見を出せるとよりよいでしょう。
介護事務のやりがい②利用者と直接コミュニケーションをとれる
介護事務の業務のかたわら、滞在中や送迎中などに利用者と直接かかわる機会もあります。利用者の顔や名前を覚えなければならないという大変さはありつつ、利用者とのコミュニケーションが仕事のやりがいにつながっているという声も聞かれました。
プライベートではなかなかかかわる機会のない相手とコミュニケーションをとることは、楽しくもあり新しい気づきなどももらえる貴重な機会です。
介護事務になって施設のスタッフも利用者も利用しやすい環境を整えよう
介護事務の仕事は、難しいなかにもやりがいを感じられるものであることがわかったのではないでしょうか。介護事務のみとしての求人は少ないのが現実ですが、業界としては需要の高い仕事です。
ぜひこの機会に、未経験の方も介護事務としての一歩を踏み出し、施設のスタッフも利用者も利用しやすい環境作りをサポートしてみてはいかがでしょうか。
引用元URL
内閣府|令和2年版高齢社会白書(全体版)