人生の最後を幸せにする仕事、それが介護なんです。

上条百里奈さん

介護福祉士、モデル:上条百里奈さん
2003年に中学の職業体験で介護を体験、感銘を受ける。高校在学中にホームヘルパー2級の資格を取得。白梅学園短期大学福祉援助科に進学し、介護福祉士資格を取得。卒業後、老人保健施設に就職する。2010年、日本介護福祉学会に参加。その帰路に立ち寄った東京でスカウトされ、11年にモデルデビュー。現在は介護福祉士とモデルをしながら、介護の普及に努めている。

東京ランウェイなどへの出演や有名女性誌でモデル活動をする上条百里奈さん。しかし、彼女が本当にやりたいのは、介護の仕事です。モデルの仕事をするのも、「介護をより多くの人に知ってもらうため」なのだそうです。その真意と介護にかける思いを伺いました。

介護福祉士とモデルという、一見かけ離れた仕事を両立させている上条さん。出会ったのは介護が先で、中学生の時の職業体験学習だそうです。

「もともと看護師になりたくて病院を希望したのですが、抽選に外れてしまい、老人ホームを選んだんです。

最初から介護に興味があったわけではありませんでしたが、その時に運命的な出会いが2つ、ありました。

「介護を受けている立場なのに、おじいちゃんもおばあちゃんも私を気遣ってくれる。なぜ、そんなに優しくしてくれるんだろうと。でも、そこでとても素直になっている自分がいました。もう一つは、介護士の方のこだわりを感じたこと。施設には看護師さんと介護士さんがいました。ある時、一人の介護士さんがおばあちゃんをトイレまで歩かせようとしたんです。それを見た看護師さんが、すごい剣幕で飛んできて、介護士さんを叱責した。でも介護士さんは“おばあちゃんは歩きたがっているんです”と真剣に訴えていました。その時、私は彼が何をそんなにこだわっているのか、わかりませんでした。でも知りたいと思った。彼は何を守ろうとしているんだろう? それを知るためには介護を知ることだと思ったんです」

そこからの上条さんは、介護への探究心が行動に現れていきます。老人保護施設で介護ボランティアをスタート。介護福祉を学ぶために専門課程のある高校に進学しました。もちろん大学も、福祉を学べる短大を選んだのです。

介護のために始めた「モデル」の仕事

短大を卒業した上条さんは、老人保健施設に就職。そこで「介護」現場の現実と向き合うことになります。

「研修で急性期病棟に派遣されました。そこは確かに難しい現場で…1日に3人くらいいなくなったりして、重篤な方が多かったんです。そこでいろいろと考えましたね。介護という仕事への関わり方というか、人の命に関わる仕事をしている私たちにできることはなんだろう、と」

研修を終えて老人保健施設に戻った上条さん。やりたかった仕事ゆえ、精神的に厳しいと思うことはありませんでしたが、体力的には辛いこともあったと言います。

「経験不足ですね。やっぱり介護の仕方が下手でした。下手な人ほど腰を痛めたりしますからね。でも、それもだんだんできるようになりました。それはコミュニケーションも同じ。私の場合、おばあちゃんに集まってもらって“女子会”をしました。皆さんの恋話を聞かせてもらったり、私が相談に乗ってもらったり。それは、とても愛しい時間でしたね」

そんな上条さんに転機が訪れます。日本介護福祉学会の学会に参加した時のことでした。

「学会では、介護の最先端についての話がされていました。素晴らしい話ばかりだったのですが、それが現場に反映されないのはなぜだろうと思ったんです。それを考えた時に感じたのは“社会的認知度の低さ”でした」

そんな思いを抱きながら、学会からの帰途中に立ち寄った東京で、上条さんはモデル事務所にスカウトされます。

「そうか、と。モデルになって、人前で話す機会が増えれば、介護について話すことができるかもしれない。チャレンジしてみようと思ったんです」

もちろん、モデルの仕事も片手間でできるほど甘い世界ではありません。そのため上条さんは最初の1年はモデルの仕事に集中。業界のマナーやルールを覚えました。現在は週4日は特別養護老人ホームで働き、3日をモデルの仕事や休日に当てているそうです。

介護の問題は「人手不足」ではなく「情報伝達不足」

モデルをすることで、介護の仕事にも幅で出てきた上条さん。大学や自治体主催の講演会に出演したり、テレビの介護ドラマの監修を務めるようになったりもしました。

そんな上条さんが、介護の仕事について感じていることがあります。

「介護業界が抱えている一番の問題は、人手不足ではなく、情報伝達不足なんです。あまりにも適切な情報が、適切な場所に届いていません。それがいろいろな問題を起こしているんじゃないかと思うんです。それを解消するために、やりたいことがあります。世界レベルで介護の情報を共有するカンファレンスを開きたいんですよ」

例えば介護施設で、老人にリハビリの一つとして子供用アニメの塗り絵を渡すとします。すると、それを選んだ介護士が、“子供扱いするんじゃない”と叱責されることがあるのだそうです。

「でも、“子供扱い”とは思わないんですよね。実際、私が見てきたハワイやアメリカでは、おじいちゃんたちが喜々として塗り絵を楽しんでいました。本人たちは子供扱いされているとは思っていないんですよ。この違いはなんだろうと考えた時に、介護の基本となるガイドラインが曖昧なんだなと思ったんです」

それを世界レベルで整える…大きく、壮大な夢です。しかしそれを考えるのは、上条さんが「介護」という仕事に真摯であろうとしているからに他なりません。

「ある時、介護していたおじいちゃんに“そろそろ逝くね”と言われたことがあるんです。そして“最後に百里奈ちゃんに、ありがとうと言いたかったんだよ”と。それを聞いて、私はとても嬉しかった。その三日後、彼は本当に亡くなりました。予告するなんてすごいと思ったし、寂しいと思ったし…複雑な思いがあったのは確かです。でも、人生の最後にそんな風に言ってもらえる仕事なんて、他にありますか? 他のサービス業でも、人を幸せにすることはできると思います。でも介護の仕事は、人生の最後を幸せな気持ちにする仕事なんです。こんなにやりがいがある仕事はない。私はそう思っています」

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