ヘルスケア&介護・看護・リハビリ業界の応援メディア
特集・コラム 2023-06-14

居宅介護支援事業所(ケアプランセンター)とは?特徴や業務内容をわかりやすく解説

居宅介護支援事業所の具体的な業務や仕事の流れを詳しく知って、自分自身のキャリアの選択肢の一つとして検討したいと考える方も多いのではないでしょうか?

居宅介護支援事業所は、在宅介護に必要な相談や連絡・ケアプランの作成・関係者や関係機関との連絡役を担う介護・福祉施設です。

本記事では、居宅介護事業所の概要や業務内容、仕事の流れについて紹介します。具体的な業務内容を知って、自分の職業選択に活かしましょう。

居宅介護支援事業所(ケアプランセンター)とは?

居宅介護支援事業所は、別名ケアプランセンターとも呼ばれる、要介護認定を受けた高齢者や障がい者の在宅介護をサポートする福祉施設。介護者の両親や親戚から相談を受けてケアプランを作成したり、介護者に関して連絡をとりあうのが主な業務内容です。

他職種の職員や関係機関との間をとりもち、各種の調整役を担う役割もあります。

主任介護支援専門員や介護支援専門員が常駐しており、要介護者のケアプランやケアマネジメントを考える施設として、広く活用されているのが特徴です。

居宅介護支援事業所の施設数や対象者

居宅介護支援事業所は、令和3年度の時点で3万9,047施設あります。利用できる方は、要介護1〜5の認定を受けた要介護者です。要介護者認定を受けるためには申請をおこなう必要がありますが、居宅介護支援事業所が認可申請のサポートをおこなってくれます。

要介護者認定を受けると、介護支援専門員が月に1回以上は家を訪問し、最適な在宅ケアプランを考案し、必要と考えられるケアの実行をサポートします。

引用元:厚生労働省:令和3年 介護サービス施設・事業所調査の概況

地域包括支援センターとの違い

居宅介護支援事業所と地域包括センターとの違いは、前者が要介護者の在宅介護のケアを担当するのに対し、後者は地域に暮らす高齢者と関係者全員に介護・医療・福祉・保険などといった、生活上の悩みに対してアドバイス・支援をおこなう施設である点です。

地域包括センターの役割について、介護保険法には下記のような記載があります。

“地域包括支援センターは、第一号介護予防支援事業(居宅要支援被保険者に係るものを除く。)及び第百十五条の四十五第二項各号に掲げる事業(以下「包括的支援事業」という。)その他厚生労働省令で定める事業を実施し、地域住民の心身の健康の保持及び生活の安定のために必要な援助をおこなうことにより、その保健医療の向上及び福祉の増進を包括的に支援することを目的とする施設とする。”

引用元:厚生労働省:介護保険法第115条の46

居宅介護支援事業所は要介護認定を受けた高齢者、地域包括支援センターは介護・福祉・医療支援を求める、全ての高齢者を支援しているところが異なる点を覚えておきましょう。

居宅介護支援事業所の特徴

居宅介護支援事業所の特徴は、施設基準や自己負担額に見ることができます。施設としての特徴を確認して、居宅支援事業所のサービスの全容をチェックしましょう。

施設基準が定められている

居宅介護支援事業所には、配置する人員の数や設備、運営基準などの施設基準が定められています。具体的な施設基準は以下のとおりです。

・人員基準:管理者・介護支援専門員など
・法人格:介護事業をおこなう法人かどうか
・設備基準:事務所に相談スペースを設けるなら専用区画が必要
・運営基準:重要事項の説明など

引用元:厚生労働省:指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準

居宅介護支援事業所には、管理者と介護支援専門員を必ず配置しなければなりません。また、法人格をもつ必要があり、社会福祉法人やNPO法人を名乗る場合が多いです。専用スペースや消毒液の配置など、各都道府県で定められた設備基準も満たす必要があります。

要介護者やその家族にサービスの概要を事前に説明するなどの運営基準もあります。

介護保険で自己負担額は無料

居宅介護支援事業所には、介護保険が適用されるので、対象者は無料で利用可能です。ケアプランの作成や介護相談・連絡調整・介護保険に関する申請をおこなってくれます。

居宅介護支援事業所がおこなう4つの業務内容

居宅介護支援事業所がおこなう業務は主に4つです。それぞれの業務内容を確認して、居宅介護事務所で働くイメージをしてみましょう。

1.相談・支援業務

相談・支援業務は、居宅介護支援事業所が提供する最も基本的なサービスです。要介護者の在宅介護に関する相談を受けた上で、最適なアドバイスをします。

2.ケアプラン作成

相談を受けて要介護者の置かれている周辺環境を知り、今後の見通しが立ったら、要介護者を支援するケアプランを作成。家族や周辺環境がどのように影響を及ぼし、どのようなケアをするのがベストなのかを模索しながら、ケアプランを作成していきます。

3.モニタリングとケアプランの見直し

ケアプランを作成したら、今度はプランが適切におこなわれているかどうかをモニタリングします。月に1回以上は、介護支援専門員が要介護者の自宅を訪れ、ケアプランを確認し、その都度ケアプランの見直しをおこない、プランをアップデートしていく流れです。

4.自治体と事業所との調整

居宅介護支援事業所の業務には、自治体やその他の介護事業所との連絡調整もあります。関係する介護・福祉施設とも協力しながら、最適なケアプランを作成・実行します。

居宅介護支援事業所を利用する際の流れ

居宅介護支援事業所のサービスを受けるためには、各自治体の窓口、または居宅介護支援事業所で要介護認定の申請をしなければなりません。サービス対象者は要介護認定1〜5までの方です。

要介護認定を受けたら、実際に居宅介護支援事業所に相談しに行きます。それぞれの要介護者に合った最適なケアプランを作成し、関係機関とも連絡を取り合います。ケアプランの実行に必要な各種の介護事業者との契約がすんだら、ケアプランに沿ったケアを実施。定期的にモニタリングをして、必要であればケアプランをその都度修正していきます。

居宅介護支援事業所は要介護者の在宅介護を総合サポートする施設!

居宅介護支援事業所は、要介護認定1〜5に該当する高齢者の在宅介護を支援する施設。相談・支援、ケアプランの作成、連絡調整をおこない、円滑な在宅介護をサポートします。

居宅介護支援事業所には施設基準が定められており、法人格や人員基準・設備基準・運営基準など、施設を運営するにあたっての必要な基準が定められています。

家族や自治体、関係する介護・福祉施設と連絡を取り合いながら、要介護者にとって最適なケアプランを作成・実行する施設として認識しておきましょう。

引用元
厚生労働省:令和3年 介護サービス施設・事業所調査の概況
厚生労働省:地域包括支援センターについて(概要)
厚生労働省:介護保険法第115条の46

この記事をシェアする

編集部のおすすめ

関連記事