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特集・コラム 2022-02-22

調理師免許取得には実務経験が必要なの?|調理業務従事証明書とは

料理好きなら一度は取りたいと考える「調理師免許」。調理師免許は、実は立派な国家資格です。免許を取得するための受験資格も存在します。
今回は調理師免許を取得するために必要となる実務経験について見ていきましょう。

調理師免許取得には実務経験が必要なの?

調理師とは、調理師法にもとづいた国家資格のこと。調理師免許取得には、調理技術だけでなく、栄養学や衛生の知識などの調理に関する知識も必要です。

調理師の国家資格取得には実務試験が必要な場合と必要のない場合があります。ここからは、調理師免許を取得する方法について解説します。

調理師免許を取得するルートは2つ

調理師免許を取得するルートは2つ。各都道府県が定めた調理師学校(養成施設)を卒業する方法と実務経験を2年以上積んだのちに調理師免許試験に合格する方法です。
これらのどちらかの方法によって、調理師免許を取得できます。

1. 調理師専門学校など養成施設を卒業する

この方法では調理師学校に入学し、必要単位を取得して卒業すれば調理師免許を取得できます。調理師試験を受験する必要がないため、時間に余裕がある方や専門的な知識を体系立てて学びたい方におすすめの方法です。

2. 調理師試験を受験し合格する|受験資格が必要

この方法では、受験資格として学歴に加えて、週4日以上かつ1日6時間以上の勤務経験が2年必要です。調理師学校に通わない方法の場合、実務経験が足りずに受験できないということがないように、受験前に自分の実務経験についてしっかりと確認しておきましょう。

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調理師試験受験に必要な実務経験とは?

ここでは調理師試験免許受験に必要な実務経験についてご紹介します。「今勤務しているアルバイト先は実務経験に含まれるの?」と不安に感じている人は、ぜひ確認してみてください。
また、これから実務経験を積もうと考えている人も「せっかく働いたのに、実務経験に含まれなかった」ということがないようにしましょう。

なお今回は、東京都で2021年度におこなわれた試験データにもとづいてご紹介します。規定が各都道府県で違うことがあるので、本記事を参考にしつつ、必ず自分の自治体の規定を確認するようにしてください。

調理師法施行規則第4条に定める施設で2年以上調理業務に従事した者

調理師試験を受験するために必要な実務経験の対象施設は、調理師法施行規則第4条に明記されています。ここからは、具体的な施設について詳しく解説します。

1. 飲食店営業

旅館や簡易宿泊所を含む飲食店営業です。ここで注意が必要なのが、喫茶店営業は認められないという点。飲食店営業については後程、さらにご紹介します。

2. 魚介類販売業

魚介類販売業も実務経験の対象施設となります。なお、魚介類を生きたまま販売する営業や、せり売り営業は含まれないため注意が必要です。

3. そうざい製造業・複合型そうざい製造業

そうざい製造業とは、佃煮を含む煮物、炒めものを含む焼きもの、揚げもの、蒸しもの、酢のものを製造する業種のこと。複合型そうざい製造業は、和えものおよび、これらの食品に米飯やパンを組み合わせた食品を製造する業種です。

4. 寄宿舎・学校・病院などの給食施設

寄宿舎・学校・病院などの給食施設も対象施設に含まれますが、継続して1回20食以上または1日50食以上調理している施設に限られます。
給食を提供しているけれど、1回10食程度しか作っていないといった施設は該当しないため、注意しましょう。

注意! 調理業務と認められない3つの業務

飲食業ではあるけれど、調理師試験の受験条件の実務経験とは認められていない業務が3つあります。それぞれについてご紹介するので、しっかりと確認して、受験前に実務経験が足りないというようなミスをおかさないように注意しましょう。

1. 喫茶店の営業業務

喫茶店営業は飲食店の営業ではあるものの、調理師試験における実務経験には認められません。ここでいう喫茶店とは、設備を設けて酒類以外の飲みもの、または茶菓を客に飲食させる営業とされています。

また、この業務と同程度の内容の業務を担当している場合は、喫茶店以外の勤務であっても実務経験として認められない場合があるため注意しましょう。

2. 食肉処理・食品製造・飲料の調製

以下の業務は、調理師試験における実務経験には認められません。
・畜肉の解体や分割などをおこなう食肉処理
・調味料、菓子、パン、水産製品などの製造を含む食品製造
・飲料の調整

3. 簡易な飲食店営業の対象となる調理

簡易な飲食店営業の対象となる調理も、調理師試験における実務経験には認められません。

具体的には、以下のとおりです。
・そのまま食べられる食品を開封し、温めて盛り付けるなどして提供する営業
・半製品を揚げる、焼くなどして提供する営業
・米の炊飯
・冷凍パン生地の焼成

実務経験Q&A|こんな場合は認められるの?

ここからは、調理師試験における実務経験についてよく見られる質問にお答えしていきます。実務経験を積んでいると思っていたけれど、実は実務経験として認められていなかったということがないように、しっかりと確認してくださいね。

Q1. パート・アルバイト勤務だと認められないの?

正職員以外のパートやアルバイト勤務でも、実務経験として認められる場合はあります。しかし、週4日以上かつ1日6時間以上の勤務が原則です。現在パートで時間数が足りていないという場合は、職場に相談してみるとよいでしょう。

Q2. 飲食店勤務だけど接客業務。認めてもらえる?

飲食店の接客業務は、調理師試験における実務経験としては認められていません。また、運搬・配達業務、食洗器洗浄など、直接調理業務に従事していない場合も、調理師試験の実務経験として認められないので注意しましょう。

Q3. 試験を受けるまでに2年を過ぎていればOK?

実務経験の従事期間としては、調理業務従事証明書の証明日が現在で2年以上必要です。試験日までに2年を過ぎていても、調理業務従事証明書が間に合わない場合は試験資格がないため注意が必要です。

Q4. 働いている店が営業許可を受けていなかった…

食品衛生法による営業許可のない店で働いていた場合は、基本的に調理師試験における実務経験としては認められません。ただし例外があり、寄宿舎や学校、病院などの給食施設の場合は、実務経験として認められます。

実務経験を積むために飲食店で勤務する場合は、勤務先の営業許可の有無を確認することが重要です。

Q5. 栄養士として調理業務をおこなっている。認めてもらえる?

栄養士や保育士、看護師やホームへルパーとして採用されている場合には、実務経験として認められません。ただし、通常の勤務形態で専ら調理業務に従事している場合は、実務経験として認められます。

実務経験の証明に必要! 調理業務従事証明書とは

ここからは、実務経験を証明する調理業務従事証明書についてご紹介します。調理業務証明書は調理師試験を受験するうえで非常に重要な書類です。しっかりと確認して、間違いのないように事前準備をしましょう。

受験の提出書類の一つとして必要

調理業務従事証明書は実務経験を積んできたという証明であり、調理師試験を受験の提出書類として欠かせないものです。以下の注意点をしっかりと確認し、調理業務従事証明書の不備で調理師免許の受験ができないということのないようにしましょう。

法人・施設の代表者に記入してもらおう

調理業務従事証明書は、実務経験を積んだ法人や施設の代表者に記入してもらう必要があります。業務委託の場合は、受験者の雇い主に記入してもらいましょう。受験者本人の記入や修正はできないため、注意してください。

第三者による証明が必要となる場合も

実務経験を積んだ施設の施設長が二親等以内の血縁者の場合や、勤務していた店舗が廃業となり、勤務証明が得られない場合は、第三者による証明が必要となります。
第三者とは、同業種の施設長または調理師協会・飲食店組合などの所属団体の長を指します。もしも証明できる人がまったくいない場合は、あらためて調理の業務に就かなければなりません。

複数の施設で働いていた場合は施設ごとの証明書が必要

支店異動も含め、異なる期間に2カ所以上の施設で調理業務に従事した場合は、施設ごとに調理業務証明書の提出が必要です。調理業務証明書の用紙はコピーしたものでも可能なので、勤務した施設の枚数分を用意し、それぞれの代表に記入してもらうように依頼しましょう。

調理師免許取得には実務経験が必要なことも! 早めに受験資格をチェックしよう

調理師免許は、取得すると業務の幅が広がる魅力的な国家資格です。調理師免許の取得方法は、調理師学校で就学する方法と実務経験と調理師免許を受験する方法の2つ。調理師学校のルートを選ばない場合はこまかい受験資格があるので、調理師を目指す際にはしっかりと受験要項を確認してから臨みましょう。

引用元サイト
調理技術技能センター 調理師試験について 令和3年度調理師試験
全国調理師養成施設協会 調理師になるには
北海道全調理師会 調理師になるには
北海道 令和3年度北海道調理師試験について

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