【子育て応援メソッド】シングルマザー支援プログラムを活用してビューティーアドバイザーに ヘレナ ルビンスタイン 長友紀子さん #1
美容業界で働くワーママ・ワーパパたち。子育てには目に見えない細かなケアもあり、時間に追われている人も多いと思います。そんな多忙なママ・パパに、仕事と育児をどうやって両立しているかをインタビューする「子育て応援メソッド」。
第3回は、ヘレナ ルビンスタイン ビューティーアドバイザーの長友紀子さん。日本ロレアルが開講するシングルマザー支援プログラム「未来への扉」を受講し、現在は同グループであるヘレナ ルビンスタインのビューティーアドバイザーとしてご活躍されています。前編では、ビューティーアドバイザーになるまでの経緯をお伺いします。
ママが元気になれば子どもが幸せになれる
――「未来への扉」に参加したきっかけを教えてください。
「息子が10才のときに、何の準備もなくシングルマザーになりました。それまでは、ほぼ専業主婦でしたので、仕事に就くといっても、どうやって仕事を探したらいいのかも分かりませんでした。そんなときに、市の支援センターで見つけた『未来への扉』のチラシにあった『ママが元気になれば子どもが幸せになれる』という言葉が胸に響いて…。
知識や経験もないのに受講していいのかと迷いましたが、そのキャッチフレーズに背中を押され、受講することにしました」
スキンケア=自分を大切にすること
――支援センターにあったチラシがご縁だったのですね。実際に、講座ではどんなことを学ばれましたか?
「最初の共通講座では、エクセルなどパソコンの基本的な使い方、電話の受け方などのビジネスマナー、履歴書の書き方など、就労へ向けての準備をさせていただきました。身だしなみ講座では、面接に行くときのナチュラルメイクやヘアケアについても学びます。
いちばん最初の講座で、ギフトの詰め合わせをいただいたのですが、その中にジェルマスクが入っていました。優しい香りに包まれて、ジェルを頬に広げたときに、あー私はいままで自分を大切にしていなかったのだなとしみじみと思ったのです。そして、スキンケアは自分を大切にすることなのだと、今までとは違う思いを持つきっかけにもなりました」
――息子さんのことをこれからどうやって育てていこうかと、そこに集中されていたのですね。はじめての講座で、すでに長友さんご自身が助けられたということですね。
「はい。息子のことばかりを考えていて、自分のことに手をかける余裕はありませんでした」
――その後の「カウンセリング」では、どなたとどんなお話をされるのですか?
「『未来への扉』は、日本ロレアルと、シングルマザー支援を長く続けてこられたNPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむとが連携したプログラムで、そこの理事長とお話をさせていただきました。『ひとりで子育てをするのは簡単なことではないから、今から時間をかけて、子どものサポート体制を整えていきましょう』とアドバイスしてくださり、子どもをサポートしてくれる団体も教えていただきました。そして、『このプラグラムを受講している間に、働くための準備をしてください』と励まされ、がんばろうという気持ちになりました。
シングルマザーは、情報が入ってきにくい立場にあります。いろいろな支援団体があっても、それを知らないことで支援を受けられなかったり、孤立してしまったりするので、有用な情報をいただける機会でもありました」
ゼロから学ぶのは事務職もビューティーアドバイザーも同じこと
――カウンセリング後の選択講座で「美容部員コース」を選ばれたのは、長友さんご自身の意思だったのですか?
「『美容部員コース』と『事務職コース』のどちらにするか、提出期限ギリギリまで悩みました。ビューティーアドバイザーは、若い人やメイクが好きな人がつく職業だという固定観念があり、わたしはまったく無縁の世界で生きてきましたので。ただ、ビューティーアドバイザーも事務職も一度もやったことがないので、ゼロから学ぶという意味では同じでした。
平日に休めると助かるということと、百貨店は基本的には駅から近いところにあるので、息子もお母さんがどこにいるのか、なんとなくイメージしやすいかなという安心感のようなものもあり『美容部員コース』に進むことを決めました」
――お子さんのことを考えての選択だったのですね。
「はい。いろいろ考えた末のゼロからのスタートでした。それまでは、ハローワークに行って職を探しても、なかなか条件に合うところが見つからない。面接までこぎつけたとしても、子どもが病気になったときの対応などで採用してもらえない。チャンスさえもらえないことが多く、40才を過ぎたシングルマザーに、なんて日本は冷たいのだろうと思っていた頃でした。そんなときにチャンスをいただけたのだから、いずれにしても挑戦してみようと思いました」
――『美容部員コース』ではどんなことを教わるのですか?
「皮膚や化粧品について学び、タッチアップ、接客の場面での具体的なロールプレイングなどを体験しました。ここで一連の流れを教わったので、実際にブランド別の新人研修のときに、あのとき教わったのと同じだ、一応経験はしているという気持ちで臨むことができました」
――プログラムはどれくらいの頻度で行われるのですか?
「隔週の日曜日、5ヶ月間に渡って講座が開催されます。自分のことと子どものことを考えたときに、毎週ではなくて2週間に一度だったから、5ヶ月間続けられたのだと思います。毎週だときつかったかもしれません。お子さんが小さい方は、託児サービスを利用することもできます」
――講習の中で印象に残っていることは?
「タッチアップの講習で、受講者同士でリップを塗るときに、すごく緊張してしまい、上手く塗れなかったことをよく覚えています。自分でもまともに塗ったことがないので唇からはみ出してしまって。でも、一緒に学んできているメンバーだからこそ、お互いに『OK! OK!』と励ましあえました」
――同志ですね。
「そうですね。なかなか会えなくても、みんながんばっているだろうなと思えるだけで、自分もがんばらなくてはと思えます」
――プログラムに参加してよかったことは?
「参加者全員の自己紹介を聞いたときに、がんばっているのは自分だけじゃない、がんばっている人がこんなにいるということを知って、すごく前向きになれました。受講前は、未来に対して希望が持てない状態でしたが、みんなががんばっている、自分も前に進んでいるという感覚を持てたことで、かなり励まされたと思います」
――そして、いよいよビューティー アドバイザーとしての生活が始まりますね。
シングルで仕事と子育てを両立するための心得
シングルマザーとして仕事と子育てを両立されている長友さん。前を向いて進むためのモットーは、以下の3つです。
1.『ママが元気になると子どもが幸せになる』
2.自分を犠牲にせず、大切にする
3.がんばっているのは自分だけじゃない!
後編では、ビューティーアドバイザーとして実際に働き始めてからのことをお伺いします。
▽後編はこちら▽
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撮影/古谷利幸(F-REXon)
取材・文/永瀬紀子
Company Data
ヘレナ ルビンスタイン公式サイト
URL:https://www.helenarubinstein.jp/
日本ロレアル「未来への扉」
URL:http://news.nihon-loreal.jp/csr/miraihenotobira/