apish初のワーキングママ! ご自身の経験が後輩たちのモデルケースに apish AOYAMA トップスタイリスト ひぐちいづみさん#1

青山・銀座などに9店舗も展開する人気ヘアサロンapish。ひぐち いづみさんはapishの創業メンバーのひとりで、青山店でトップスタイリストとして勤務しています。サロンワークと同時に広報の仕事も担うハードな毎日を送りながら、現在、小学6年生の女の子の子育て真っ最中。
前編では、apishのワーキングママ第一号だったため、制度が整っていなかったなかで産休や育休、育児手当などを獲得していく様子や、まわりのスタッフの反応について伺いました。

お話を伺ったのは…

apish AOYAMA トップスタイリスト
ひぐちいづみさん


国際文化理容美容専門学校を卒業後、スタジオVに入社。4年後、坂巻哲也氏が立ち上げたapishに参加。現在はapish AOYAMAでトップスタイリストとしてサロンワークをこなすかたわら、プレス業務を担っている。

「子どもがいると成長できる」という言葉に後押しされて出産を決意

ひぐちさんが24歳のとき、坂巻哲也さんたちと一緒にapishの立ち上げに参加。

――ひぐちさんがご結婚なさったのは何歳のときですか?

私も夫も31歳の時です。友人の結婚式で出会いました。
若いうちは美容師と付き合うことはあっても、絶対に同業者とは結婚したくなかったんです(笑)。家に帰ってまで仕事場の雰囲気を持ち帰りたくないじゃないですか。まったく業種の違うシステムエンジニアの夫は理想的でした。

――美容師という仕事は時間が不規則ですから、パートナーの理解を得るには大変だったのでは?

夫はすごく自由人なんです。見た目も「この人、何をやっているの?」と思われるくらい、ちょっとガラが悪くて(笑)。
私も自由人なところがあるので、人に干渉されたくないし、誰かに依存したくないし逆に依存されたくない。夫とはちょうどいい距離感が保てているんです。
出会ったときから「この人と結婚するんだろうな」という直感がありました。

――お互いにまったく違う仕事だから、いい距離感が保てるのですね。

私も夫もお互いの仕事に口出ししません。
ただ一方的に話をすることがあります(笑)。悩んでいることとか煮詰まっていることって、状況を言葉にして話すだけで意外とスッキリ整理できますよね。独り言のように、ず~っと話し続けています。たまに夫が「俺に話している?」って聞かれることがありますけれど(笑)。

――結婚なさったときは、お子さんがほしいと思っていましたか?

子どもは1人はほしいな…と漠然と思っていました。
その当時はバリバリ仕事をしていたので、「子どもができると仕事ができなくなる」という不安と葛藤もありました。でも、後になって「子どもを産んでおけばよかった」という後悔もしたくなかったですね

――キャリアと子育てに悩む女性は多いですよね。

私の姉には3人の子どもがいて、apishの副社長をしている綱野にも子どもがいました。私にとって子どもがいる環境が当たり前だったんですね。
兄から「子どもを育てると自分自身も成長できる」と言われて、「それならば子どもをつくろう!」と決意しました

諦めかけたときに妊娠。サロン初の出来事にスタッフもドギマギ

ひぐちさんが34歳で妊娠したとき、スタッフは若いメンバーがほとんどだったとか。

――お子さんはすぐにできたのですか?

病院にも通ったのですが、なかなか授からなくて。3年ほど経って諦めかけたときに妊娠しました。すごく嬉しかったですね。社長の坂巻も「もう子どもはつくらないのだろう」と思っていたらしく、妊娠の報告をしたら驚いていました。

――apishには女性の美容師さんがたくさんいますが、その当時ママさん美容師は?

結婚しているのが私のほかにもう一人いましたが、妊娠したのは私が最初。「妊娠したから仕事を辞めよう」という考えはまったくありませんでしたね。バランスを取りながら仕事を続けたい、とずっと思っていました。
幸いなことにつわりがなかったので、9ヶ月半までフルに働いていました。

――妊婦さん第一号となると、まわりのスタッフもどうしていいのか分からなかったのでは?

妊娠3~4か月のころでしょうか。坂巻がスタッフを全員集めて「ひぐちさんは妊娠しました。apishは家族だから、みんなで支えてください」って言ってくれたんです。
私はみんなに気遣われるのはイヤなんですけれど、私自身どうしてもらうのがいいのかも分かりませんでした。スタッフもみんな若いですし、どう接していいのか不安だったでしょうね。

――スタッフの対応で何か変わったことはありますか?

バックヤードに休憩室があって、そこではタバコを吸ってリフレッシュするスタッフもいました。休憩している人に向かって、私のために「止めて」と言うのは申し訳なくて。
そんなとき、ほかのスタッフが「スタッフルームでタバコを吸うのは止めましょう」と言ってくれたんです。すごく嬉しい気遣いでしたね。

私の妊娠をきっかけに、スタッフが妊婦のお客さまに気遣いができるようになって、すごくよかったですね。やはり身近に妊婦がいないと、どう反応していいのか分からないですよね。

復職の壁はやはり保育園。料金の高さが足かせに…

お子さんを連れてスキーへ。お洒落さんなのも、ひぐちさん譲り。

――出産から復職まではどのくらいですか?

7ヶ月半後に復職しました。私の姉は看護婦をしていて、出産後2か月で復職しているんです。その姿を見ていたので、子どもには「申し訳ない」と思いつつ何となく吹っ切れました。

――ご両親とか子育てをサポートしてくれる人はいましたか?

実家は離れていたので、託児所に預けるしかありませんでした。
病院が経営している施設があったので、そこで子どもを預けることができたのですが、当時は1か月8万円もかかったんです。子どもを預けておける時間も限られていますから、その分、勤務時間も減ります。給料が減るのにその中から8万円の出費はすごく痛い。それで、復職したいけれど、子どもを預けるにはお金がかかるという話を社長に直談判しました。それから8万円までなら、会社が半額負担する…というシステムになったんです。
会社も初めてのことですから、私がいいモデルケースになっています(笑)

――会社にとってもいい機会だったのかもしれませんね。

当事者の私も会社も比べるものがないので、何がいいのか、何が正解なのかが分からない状態でした。
例えば妊娠中。私にはつわりがありませんでしたが、ニオイに過敏になる人もいればお腹がすくと気持ち悪くなる人もいます。それで、あえて細かなルールを決めない方がいいんじゃないか…ということになりました。1人1人に合わせた働き方や環境を考えるようにしています

給料の金額より時間を大切にしたい社員もいます。時短勤務の人に対して、「なんであの人は先に帰るの?」と言われないように給料で調整するようにしました。パートナーの扶養に収まるくらいの金額で働きたい人には、パートタイマーという働き方も選べます。

――復職するにあたって、「早く戻ってほしい」とか言われましたか?

それはありません。副社長の網野からは「がんばりすぎると長続きしないから、ちょっとずつできることから始めなさい」と言われていました。
ただ、長く休んでしまうとお客さまとの信頼関係にヒビが入りますし、手を動かしていないとスキルが落ちます

休職期間が長くなるほど、戻ってくる場所がなくなるような気がするんですよね。ほかの産休・育休を取るスタッフもだいたい1年ほどで戻ってきます。長くて1年半~2年ですね。

――ひぐちさんご自身は、復職後はどのような勤務でしたか?

勤務時間は10:00~18:00で週4日の勤務にしました。
今も週末は家族と一緒に過ごしたいので、日曜日はお休みにして土曜日は月2回だけ出勤しています。
私がいちばん最初にワーキングママになって、そのあと産休や育休を取って復職する社員が増え続けています。子育てしながら働きやすい環境をつくることができて、本当によかったです。

会社初のワーママになったひぐちさんが快適な環境を手に入れた3つのポイント

1.スタッフ全員に「妊婦であること」を周知してもらう

2.がんばりすぎず、できることを少しずつ始める

3.不安に感じることは会社に相談してみる

apishのワーママ第一号となったひぐちさん。後輩たちもひぐちさんに倣って出産し、続々と復職しているとか。試行錯誤していろいろ悩んだ結果が実を結んでいるようです。
後編では、保育園よりも難しい小学生になった娘さんの子育てについて、時間の有効的な使い方について伺います。

撮影/古谷利幸(F-REX-on)

Salon Data

apish AOYAMA
東京都港区南青山5-12-6 青山第2和田ビル2F
03-5766-3605
URL:https://www.apish.co.jp/

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