【子育て応援メソッド】僕は仕事の人、奥さんは家庭の人。でも休みの日は100%家族のために PaL at Lanai 矢田知也さん #2
表参道の美容室「PaL at Lanai」を経営する矢田知也さんにインタビュー。
前編では、アシスタント時代から指名してくれるお客様を大事にしたいという思いから、サロンを立ち上げたお話を伺いました。お客様への無料託児サービスや、ママも働きやすい環境を整え、お客様とスタッフ両サイドのママにやさしいサロンづくりをされています。
後編では、長く通ってくださるママの声に応えた「白髪ぼかし」のことと、矢田さんのパパぶりを伺います。矢田さんは「僕は仕事の人、奥さんは家庭の人」という役割分担の下、休みの日はめいっぱい子どもと遊ぶというスタイルを貫いています。
お話をお伺いしたのは…
PaL at Lanai代表
矢田知也さん
三重県の美容学校を卒業。都内3店舗とフリーランスを経験し、25才で「PaL at Lanai」代表となる。カウンセリングから仕上げまでマンツーマン接客。表参道の託児付きサロン、白髪染めを使わない「白髪ぼかし」などでママ世代に大人気のサロン。「髪の毛を通してお客様の生活の一部になれたらうれしいです」
託児所が機能しなくなり、代わる集客法が「白髪ぼかし」
――矢田さんはインスタグラムで「白髪ぼかし」の発信をされていますよね?
ママになると生活が激変して、それまでのように美容室にマメに行けなくなりますよね。そういったお客様の要望に応えて、以前から「長持ちするカラー」を打ち出していました。その方たちが白髪を気にされるようになり、長持ちするカラーの対象を白髪のお客様にも広げていって「白髪ぼかし」に力を入れるようになりました。
――白髪ぼかしも、元をたどるとママ発信ということですね。
コロナ以前、うちの新規のお客様は、託児所利用を希望されるママさんたちがほとんどでした。でもコロナ禍で託児所が機能しなくなり、違う方法での集客を模索していたタイミングで、インスタで「白髪ぼかし」を発信するようになりました。いまは、そこから新規のお客様にご予約いただくことが増えています。ありがたいことに僕の新規予約はとりにくい状況が続いていますね。
白髪染めは濃く深く染料が入るので、地毛が伸びてくるとプリンが気になり多い方だと2週間でリタッチする方もいらっしゃいます。白髪ぼかしは、極細のハイライトにカラーを重ねてプリンになりにくいような根元作りをしているので、白髪がなじみやすく、染める頻度が約2倍長くなります。
美容室にマメに行けないママたちにとって、救世主的なカラーですね。
実は、朝の娘とのイチャイチャ時間が楽しみ
――矢田さんは仙川にもお店を経営されているそうですがお休みはあるのですか?
独立間もない頃は、週一の休みもとらずにサロンに出ていましたが、子どもが生まれてからは週2日休みをとっています。
――育児参加の状況は?
他のパパに比べたらそんなにしてないと思いますよ。下の娘がもうすぐ1才になりますが、生まれてすぐのころは、僕が長男(5才)を幼稚園に送っていっていました。いまは晴れの日は奥さんに行ってもらって、その間娘とイチャイチャしています。娘とふたりのこの時間が、実はちょっと楽しみだったりするんですよね(笑)。9:30に家を出て、帰宅する夜10時過ぎには子どもはすでに寝ているので、平日はほとんど朝しか会えないですね。
休みの日は、普通のパパと同じくらい子どもと接しているかなと思います。朝起きて公園に行って、お出かけして、お風呂入れて。寝かしつけはママがしてくれるので、オムツ替えもまあ人並に。本当は、休みの日に事務作業をしたいのですが、それをやってしまうと家族との時間がなくなってしまうので仕事はしないようにしています。決算前はやっちゃいますけど(笑)。
――奥様は専業主婦ですか?
はい、専業主婦です。僕は仕事の人、奥さんは家庭の人という感じで役割分担ははっきりしていると思います。いまはダブルインカムの家庭が多いから、そういう家庭は少ないパターンなのかもしれませんね。
――奥様は愚痴を言ったりしないのですか?
ウチはあまりないですね。僕より5才年下なんですけど、僕は完全に奥さんに助けてもらっています。
――子育てをヘルプしてくださる方はまわりにいらっしゃいますか?
奥さんがほとんどひとりでやってくれています。奥さんの実家が埼玉なのでたまにお義母さんが来てくますが、基本ひとりで全部やってくれています。
うちはお風呂が8時なので、仕事が早く終わって間に合うときはお風呂に入れます。奥さんが受け取ってくれるので子どもふたり入れますけど、奥さんひとりで子ども2人はどうやって入れてるんだろうなって…。この前奥さんに聞いたら、浴室の出たところにバスタオルを敷いたベビーマットを用意しておいて、洗ったらそこに寝かせると言ってました。最近ハイハイするので戦争みたいな感じらしいです。
「親父ちょっとカッコいいな」と思ってもらえたら最高
――パパになって変わったことは?
プライベートを大事にするようになりました。家族の時間がいちばん大事です。休みの日は、お出かけしたりほぼ家族の時間に充てています。最近は、息子がバイクの後ろに乗れるようになったのでバイクで公園に行くのが楽しいです。奥さんもずっと子どもを見ていると大変だと思うので、休みの日はなるべく外に連れていくようにしています。独身のときは絶対行かなかったショッピングモールも、ベビーグッズを買うためによく行くようになりました。
――子育てで楽しいことは何ですか?
子どもと遊んでいるときが楽しいです。長男はポケモンが好きなので、ポケモンのゲームを一緒にやっています。娘はまだハイハイしている赤ちゃんだから息子のときとあまり変わらないかも。もう少し大きくなって上目遣いとかされたら、「ウッ」てなるんでしょうね(笑)。
――パパになってから、美容師・ヘアメイクのお仕事をされていてよかったと思うことは?
美容師でよかったというより、独立してよかったと思います。お店のスタッフも自分も、予約の管理などルールを自分で作れるので、融通が利くところがいいですね。普通の会社だと子どもが休みの日に仕事を休むことはなかなか難しいと思いますが、後ろめたくなくそれができるのは、自分の会社を持ったメリットではあると思います。その代わり責任はありますから、そこをちゃんと守りつつということになりますね。
――お子さんたちにお店を継いでほしいですか?
あー、ないです。後継は考えてないですね。後継してもあんまりいいことないと思うので。ハングリーなほうがいいと思います。もし子どもたちが何かやりたいことが出てきたら、何もないところから始めたほうがいい。美容師もそうですが、いくら有名店にいても、お客様は個人につくものですから。
――パパとして今後の目標は?
子どもが大人になったときに「親父ちょっとカッコいいな」なんて思ってくれたらいちばんいいですけどね。ちょっと憧れの存在になれたら。僕も親父のことを尊敬しているんです。僕は3人兄弟ですが、経済的な環境も、遊んでくれた記憶もあって。親父は18才から定年までひとつの会社で勤め上げた人です。これはマジですごいと思いますね。とくにスーパースターとかではないのですが、子ども3人を20才まで育ててくれたということを尊敬しています。子どもが大人になったときに、そんなふうに思ってくれたらうれしいですね。
子どもたちは普通に育ってくれて、好きなことをやってくれたらいちばんいいと思っています。
矢田さん流! 家庭の築き方の極意
「僕は仕事の人、奥さんは家庭の人」と役割分担が明確な矢田さんご夫婦。矢田さん流の家庭の築き方の極意は以下の3つでした。
1. 僕は仕事の人、奥さんは家庭の人
2. 休みの日は仕事をしない
3. 子どもたちと思い切り遊ぶ
インタビュー中、「他のパパほど育児していない」と何度もおっしゃっていた矢田さんですが、休日は、思い切り子どもたちと遊び、ふたりのお子さんをお風呂にも入れています。10組の夫婦がいたら10通りの子育て方法がありますが、お互いの納得度や歩み寄りが大事なのだと思いました。それから、奥様への深い感謝の気持ちが奥様にもきちんと伝わっていることが家庭円満の秘訣なのではないかと感じました。
▽前編はこちら▽
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取材・文/永瀬紀子