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特集・コラム 2021-06-20

プログラム型治療で継続来院を促す! 休眠客を作らない接客と治療計画とは

新型コロナウィルス感染症(COVID-19)に振り回された2020年を終え、withコロナといわれながら2021年がはじまりました。これからの1年をどうしようかと不安を抱える経営者様や従業員の方も少なくないことでしょう。

普段からあまり積極的な集客をおこなわず、待ちの営業スタイルで経営されている場合もありますが、コロナの影響で、休眠客に悩む店舗も多くなっているのではありませんか?

そこで、2021年を勝ち残るための経営ノウハウについて、2021年のトレンド要素や先読みをふまえ、株式会社船井総合研究所でヘルスケア業界のコンサルタントとして活躍する、竹留将聖(たけどめ・まさと)さんにお話を伺ってきました。

お話を伺ったのは…

株式会社船井総合研究所
ヘルスケア支援部 リーダー
竹留 将聖

船井総研でトレーニングジム業界コンサルティングの責任者を務め、トレーニングジム、整骨院、エステの業種のコンサルティングを行っている。全国で新規事業としてセミパーソナルトレーニングジムの立ち上げを推進し、WEB集客におけるHPの分析やカウンセリングでの契約率向上について定評がある。また、過去に治療院で4年間勤務していた経験もあり、対顧客という現場主義の提案を行う。『経営者の夢を叶える』をモットーにし、日々のコンサルテイングに務める。

整骨院が実施すべき顧客へ治療計画の共有とは

まず、整骨院といった治療院の場合、来た人を治すという職人気質の考えのオーナーさんは少なくないでしょう。また、予約なしで来てもらうスタイルの店舗もあります。この2パターンの場合、売上が読めないということが難点です。また、来院が利用者主導になりますから、今回のコロナ禍のように行きづらい状況になると休眠客になってしまいます。

整骨院の立ち位置としては、ダメージの修復・治療と、予防・体質改善という2つの側面があります。前者の場合病院と同じく調子が悪くならないと来院しませんが、それに対し後者の場合は定期的にメンテナンスに通うケースが多いです。

「今後の整骨院に必要なのは、『プログラム型治療』です。
パーソナルトレーナーさんが指導するイメージで、今日やることと次回の目的を明確にしてあげましょう。ここを改善すればもっとよくなるという思考をきちんとお客様にお伝えすることが重要となります。
来院頻度もお客様任せにせず、ホームケアのフォローや次回の来院日指定で、プログラム化しましょう。」

たとえば大手パーソナルトレーニングの場合、おおよそ何回トレーニングが必要で、今日はお尻、次回は太ももに重きを置いて、トータルで目標を達成しましょうと、ゴールとそのための道順を明確にします。そして毎回同じことをするのではなく、お客様のコンディションと仕上がり具合でオーダーメイド式にプロセスを変えていきます。これが結果にコミットする秘訣です。

接骨院の利用者も、どのタイミングで来たらいいのかわからないという方は一定数います。

来院日ごとのプログラムや、来院できない間は何をすべきなのか、それらをひとつひとつ共有することで、利用者の生活の一部に整骨院が組み込まれていきます。すると、利用者の流出や休眠を防ぐことができ、継続的にご来院いただけるようになります。

また、きっちり予約制にしていくことでスタッフの動きとしても無駄がなくなるというメリットがありますし、並んで待つという利用者同士が密になるリスクも抑えることができます。

サブスク型プログラムで安定収入を作る

囲い込み戦略とはいっても、そもそも利用者が来院してくれるか心配というオーナーさんも少なくないでしょう。その場合、注目すべきスキームが「サブスク」です。

サブスクは音楽や映画の定額配信で最近耳にすることが増えてきましたが、サブスクリプション(subscription)の略で、もともとは雑誌の予約講読や年間購読で使われていました。現在は商品やサービスを一定期間、一定額で利用できるような仕組みのことを指します。

これは整骨院だけに限らず、パーソナルトレーニングジムやリラクゼーションサロンなどのヘルスケア施設、美容院、エステサロンなどの美容施設など、幅広い業界で取り入れる店舗が増えてきています。

サブスクの最大のメリットとしては、契約人数×固定収入が入ってくるので売上の見通しが立てやすくなる点でしょう。

もし仕事が忙しくても、在宅ワークが増えて店舗に行かなくなっても、利用者の申告がなければ料金は引かれ続けます。コロナ禍でサブスクを休止する方もいますがサブスクにしていたことによってもったいないから店舗に行ったというケースもあるなど、緊急事態宣言中の貴重な収入源になったようです。

また、金銭管理が非常に楽になるので、業務委託やパートなど社員以外のスタッフが多くお金の管理を任せにくいケースや、慣れない新卒スタッフでも管理が楽にできる点も非常に大きなメリットといえます。

サブスクは利用者サイドからみてもメリットがあります。まずは通い放題になるので単純に時間を多く持て余している方はお得に通えます。先述したプログラム型治療とも関わる話になりますが、治療計画をたてていくにあたり、おおよそ1カ月にかかる予算感が見えるというのは、利用者に安心感をあたえられます。

一部サブスクで必要に応じた顧客層の強化ができる

サブスクのデメリットとしては、通常の予約と並行して行う場合は、通常予約がとりにくくなってしまう場合があります。また、特定の時間に集中することが考えられるので、平日仕事後に通える夜の時間帯や、土日は混雑しやすくなります。

そのあたりの予約枠への配慮が必要になってくるといえるでしょう。

たとえば高齢のお客様が多い店舗の場合は一般的な高齢者があまり来ない夕方以降の集客を意識するなど、現在の利用者とかぶらない顧客層へのサブスクを検討するのもよいでしょう。

小規模店に求められるのは店舗の可視化と小回りの利いた差別化戦略

新型コロナの影響で、個人店も大きな打撃をうけています。

とくに、治療行為のできないリラクゼーションサロンや、個人のパーソナルトレーナーはかなりの苦戦を強いられたところもあるようです。

個人店が苦戦した要因としては、まず顧客の数が少なかったり、広告宣伝への予算がかけられていなかったことによる集客不足がありますが、それ以前にコロナ禍での個人店に対する不安感も大きかったようです。

「店舗内の新型コロナ対策をスピード感をもってやりきれたかというところで店舗の信頼度がかなり変わりました。
とくに2020年前半は新型コロナ対策が手探りだったこともあり、初動が遅れてしまったところも多かったようです。
来店率をあげるためには、新型コロナ対策は欠かせません。
地道な作業ですが、感染対策についての情報をHPをはじめとした店舗すべての媒体に載せていくことが重要です。感染症対策を地域で一番やっているくらいの認識で取り組むと、お客様にも安心感を与えられます。」

個人店の場合、マンションの一室など中が見えない状態での営業も多いので、その点で路面店に比べて不利になってしまいます。そのような不安感を拭うための対策としては、しっかりと店舗内やスタッフの写真を店舗のWEBやSNSに載せていくことがまずひとつです。店舗の雰囲気が伝わるだけで、新規客にとってはかなり安心感が増します。

コロナ対策の発信としては、消毒しているところを動画にしたり、毎日のスタッフの検温チェックの様子を写真でSNSに載せたり、細かい営業時間の変更をGoogleMAPでも配信するといった、コロナ対策への取り組みを地道に掲示して可視化していくことが重要です。

また、GoogleMAPの場合は良い口コミの有無でもかなり見え方が変わるので、まずは顧客に口コミのお願いをしていきましょう。数も重要ですが、最近の日時で評価の高い口コミがある場合、コロナ禍でも安心して通える店舗なんだなという印象を与えることができます。お客様には口コミを定期的に更新されるようお願いしていきましょう。

個人店のメリットとしては小回りがきく点です。ひとりで経営をしている場合は、他のお客様と鉢合わせることがないので、店舗内にスタッフが何人もいる大型店に比べると、人との接触が最小限で済むというのは大きなアピールポイントになります。そのあたりも、WEBサイトやSNSできちんと掲示しておきましょう。

都心部オフィス街の店舗については、どうしてもテレワークの推進によって客足は落ちてしまいますが、先述したサブスクの導入や、時差通勤を生かした早朝営業をはじめるのも有効でしょう。

また、個人店だからこそオンラインでの相談やフォローもしやすくなります。パーソナルトレーニングやヨガの場合、対面だけでなくオンラインレッスンも増えてきています。最近では、整骨院もホームケアのフォローとしてLINEで動画配信するなどのサービスを始めたところもあります。

少しでも他店との差別化要素を打ちだし、かゆいところに手が届く営業形態を心がけましょう。大手の整骨院やジムにはできない、こまやかなコミュニケーションが休眠客を作らない秘訣です。

出典元:
IT用語辞典 サブスクリプション

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