ヘルスケア&介護・看護・リハビリ業界の応援メディア
特集・コラム 2021-06-23

物販売上月200万! 治療院の事例から学ぶカウンセリング強化術

新型コロナ対策ウィルス感染症(covid-19)に大きく振り回された2020年。今までのやり方では立ち行かなくなった店舗も多いのではないでしょうか。

しかし、世界的な大不況の中、しっかりと売上を伸ばしてた店舗があったのも事実です。実は業績が良かった店舗に共通していえることは、物販を強化していたということでした。

間違いなく2021年は受け身の営業ではなく、提案型の経営戦略が必要になります。コロナに負けない物販売上アップの秘訣を、2021年のトレンド要素や先読みをふまえ、株式会社船井総合研究所でヘルスケア業界のコンサルタントとして活躍する、竹留将聖(たけどめ・まさと)さんにお話を伺ってきました。

お話を伺ったのは…

株式会社船井総合研究所
ヘルスケア支援部 リーダー
竹留 将聖

船井総研でトレーニングジム業界コンサルティングの責任者を務め、トレーニングジム、整骨院、エステの業種のコンサルティングを行っている。全国で新規事業としてセミパーソナルトレーニングジムの立ち上げを推進し、WEB集客におけるHPの分析やカウンセリングでの契約率向上について定評がある。また、過去に治療院で4年間勤務していた経験もあり、対顧客という現場主義の提案を行う。『経営者の夢を叶える』をモットーにし、日々のコンサルテイングに務める。

健康ブームで物販に追い風の時代が来た

まず、物販と聞くとあまりいいイメージを持たれないオーナーさんも少なくないでしょう。しかし、今年は物販強化に非常に適した年なのです。

「コロナ禍の2020年もヘルスケア業界の業績は上がっており、コロナ禍でも好調な店舗は多くありました。時代の流れとしても健康ブームが今きており、それも売上アップの後押しになっています。
それにともない、外からのケアだけでなく内側からのケアを強化しようという動きで、物販に力を入れる会社さんも増えてきました。」

健食サプリ・ヘルスケアフーズレポート2020によると、2020年度の健康食品・サプリメントの市場規模は1兆4,095億円ありました。

その中でも、新型コロナの影響に関する質問の中で、コロナの流行やそれに伴う行動様式の変化により、健康に関わることで「以前よりも気にするようになったことや、新たに気にするようになったことがある」という方の割合は、「以前より健康を気にする」という回答が55%となり、半数以上が以前よりも健康意識が高まったという結果となっています。

また、新型コロナの流行やそれに伴う行動様式の変化により、「以前よりも気にするようになったことや、新たに気にするようになったこと」については、下記のような結果となりました。

出典元:株式会社インテージ 健食サプリ・ヘルスケアフーズレポート2020

2019年までの調査結果にくらべ、「風邪などの感染症予防・改善」の市場、「減量(とにかく体重を落とす)」の市場が拡大傾向にあります。これは免疫に対してや、テレワークからの運動不足・コロナ太りへの対策に意識が向いているといえるでしょう。

「美と健康について、ニーズ自体は絶えないのですが、優先順位は下げられやすいです。
美容よりも治療目線でいく方が優先度が高くなります。」

物販を強化していく場合、こういった市場ニーズもくみ取りながら商品を選ぶと、お客様にも提案しやすくなるでしょう。

職人気質から接遇勝負へ カウンセリング能力が物販の明暗を分ける

物販を広げていくにあたり、店舗側では知識と対応方法をきちんと深めていく必要があります。そのために必要なのが、カウンセリング力の強化です。

商品知識を深めるのはもちろんですが、それをお客様に提案する力がないと物販は回りません。

整骨院などの治療メインの店舗の場合、どうしても技術が最優先になってしまいますが、最近は接遇力に力をいれるところも増えてきました。

「ヘルスケア業界は、現在整骨院だけでも全国に5万件あり、非常に競合が多い業種です。リラクゼーション要素のみだと厳しい展開になってきており、患者様側の店舗選びも、技術面だけでなく接遇力も重要なポイントになります。」

たとえば、もみほぐしメインの店舗は基本的に受け身型の営業スタイルです。

その中でカウンセリングの時間をしっかりとって利用者の声に耳を傾け、治療していくことは難しいでしょう。利用者が価格で店舗を選んでいる場合、いかにコスパよく治療してもらうかというところが最優先となっているためどうしてもコミュニケーションは希薄になりがちです。

ただし、誰もが不調を治したいという思いが根本にあります。技術力に加えてプラスアルファで必要なのは、利用者のよき理解者になるということです。

症状に対しての対処療法以外に、今の自分の体がどうなっていてこの症状がでているのか、それを治すにはどうするのがよいのか、というところにずばり切り込んでいければ、利用者も安心して通うことができるでしょう。

利用者の求めているものを明確に引き出すという意識を普段からもって接客することで、カウンセリング力は各段にあがっていきます。

物販を強化したい場合、まずは利用者とのコミュニケーションを強化するというのが第一のポイントになるので、スタッフ教育の際なども全員の接遇力をしっかりと高めていくようなカウンセリング研修をおこないましょう。

物販も治療の一環という視点を持てば自然と購入される

そうはいっても、物販となるとどうしてもかまえてしまうオーナーさんやスタッフさんは多いはず。

その場合、「物販は治療の一部である」という考えをしっかりと浸透させることからスタートしましょう。利用者が求めているものが理解できたとしても、物販が利用者に必要なものだという認識を持たなくては販売にも説得力がつきません。

たとえば「2021年不調予想ランキング」調査によると、コロナ禍ではいつも以上に眼精疲労を訴える方が増えました。

出典元:ツムラ 「2021年不調予想ランキング」

これはテレワークによるWEB会議の増加などが関係していますが、そういった方へのケアに鍼灸やマッサージだけではなく、ホームケアとしてアイケアのサプリメントをおすすめするというのもひとつです。

たとえばその際に、「この成分はブルーライトからのダメージもケアしてくれるから、デスクワーク中に飲んだ方がいい」と伝えると利用者は受け入れやすくなります。

目のサプリというとどうしても老眼になってから飲むイメージが強かったり、肩こりと眼精疲労が結びつかない利用者もいらっしゃるので、その方の今の症状にとって必要なものだときちんと落とし込んであげましょう。

またそれ以外にも、コロナ対策として免疫をあげたいという意識が高まっているので、乳酸菌系や、酵素ドリンクといった腸内環境にアプローチできる商品も紹介するアイテムとしては有効です。

その際は栄養面だけでなく、体の機能面からもおすすめポイントを説明してあげると伝わりやすいでしょう。

「店舗の価格設定によって取扱商品の単価にも幅はありますが、物販の場合、商品の客単価が10,000~15,000円程度の売上が上がる店舗も多くあります。
たとえば月に300名お客様が来る店舗の場合、そのうちの4割が購入したとすれば、それだけで120万の売上になります。コロナ禍にもかかわらず過去最高売上を叩き出した店舗もありましたが、こちらの店舗についても物販導入がきっかけで売上が跳ね上がりました。
治療院以外でも、2020年の8月というコロナ禍真っ只中でスポーツジムをOPENした企業も、物販とうまく組み合わせて売上を順調にアップさせています。」

市販で買えるものも多くありますが、商品がたくさんありすぎてどれを買ったらよいのかわからないという利用者も一定数おり、そういう方にとって物販は押し売りではなく、ありがたいアドバイスとなります。

医療機関やエステサロンのみで販売しているサプリメントは、ネットでは買えないものとして付加価値も付けやすいです。

物販に苦手意識がある方でも、物販をモノではなく、治療のツールだととらえるとすごく提案がスムーズになります。コロナ禍で健康管理の意識が高まっている今年こそ、うまく追い風を利用して物販を広げていきましょう。

出典元:
株式会社インテージ 健食サプリ・ヘルスケアフーズレポート2020
(画像はPRtimesより引用)
ツムラ 「2021年不調予想ランキング」2020

この記事をシェアする

編集部のおすすめ

関連記事