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特集・コラム 2021-06-26

集客キーワードは「安心」と「若年層」。顧客層を広げるWEB&SNS活用術

新型コロナウィルス感染症(COVID-19)に振り回された2020年を終え、これからの1年をどう過ごすか考えている経営者や従業員の方は少なくないでしょう。

ヘルスケア業界でも、ソーシャルディスタンスで人の流れが変わったことにより、店舗のあり方や集客の見直しが必要とされてきています。

とくに今まで待ちの営業スタイルだった店舗については早急なテコ入れをしなくてはいけません。

withコロナといわれる2021年をうまく勝ち残る集客のノウハウを、2021年のトレンド要素や経営の先読みをふまえ、株式会社船井総合研究所でヘルスケア業界のコンサルタントとして活躍する、竹留将聖(たけどめ・まさと)さんにお話を伺ってきました。

お話を伺ったのは…

株式会社船井総合研究所
ヘルスケア支援部 リーダー
竹留 将聖

船井総研でトレーニングジム業界コンサルティングの責任者を務め、トレーニングジム、整骨院、エステの業種のコンサルティングを行っている。全国で新規事業としてセミパーソナルトレーニングジムの立ち上げを推進し、WEB集客におけるHPの分析やカウンセリングでの契約率向上について定評がある。また、過去に治療院で4年間勤務していた経験もあり、対顧客という現場主義の提案を行う。『経営者の夢を叶える』をモットーにし、日々のコンサルテイングに務める。

2020年の明暗を分けたのは新型コロナ対策のスピード感

まず、2020年はソーシャルディスタンスが叫ばれるとともに不要不急の外出を控えるようにというアナウンスが常時流れ、対人関係のあり方や社会そのものが大きく変わった1年となりました。接客中心である整骨院などのヘルスケア施設は、苦戦を強いられたところもあることでしょう。

しかし、実際ふたを開けてみると、ヘルスケア業界については比較的コロナ禍でも打撃が少なく、むしろ好調だった店舗が多いようです。

「ヘルスケア業界としての業績は上がっている傾向にあります。もともと健康ブームがきていたところに新型コロナの影響をうけ、ますます健康意識が高まったといえるからです。」

それを裏付けるのが全国柔整鍼灸協同組合のアクセス解析です。

下記の表はインターネット上で接骨院ネットワーク(全国柔整鍼灸協同組合が運営する接骨院検索サイト)やそこに掲載された接骨院を検索した数の推移で、月間平均約1万5,000件のアクセスがあります。

色がついた部分は、一度目の緊急事態宣言が出された2020年4月7日から解除予定だった5月6日までの期間を示しています。

出典元:全国柔整鍼灸協同組合

この検索は、接骨院を探している人=接骨院の来院見込み客なので、緊急事態宣言下でも需要自体は変わらなかったことがわかります。むしろ、5月に入ってからは緊急事態宣言解除のめども立ち、検索自体も増加傾向に。

需要自体はある中で、売上が伸びなやんだという整骨院については、店舗への誘導や囲い込み戦略が弱かったのかもしれません。

検索から来店につながるかどうかの境目はとてもシンプル。

「整骨院、ジム、リラクゼーションなどヘルスケア業界全体にいえることですが、コロナ禍でも来店していただける一番の決め手は、安心して店舗にいけるかどうかというところ。
たとえばマンション内と路面店だと、路面店の方が外から見えるので安心感があり、マンション内の店舗よりも売上は上がりやすかったです。
安心という視点での取り組みでいうと、感染症対策を新型コロナの初期の段階でスピード感をもってやりきれたかどうかが、かなり明暗を分けました。」

新型コロナの感染症対策は、どこの店舗であろうと今や当たり前に取り組んでいると思います。しかし、それをすべて利用者に見える状態にしているでしょうか?

重要なのは、「感染症対策を可視化する」というところです。

消毒や換気をしている、他の利用者と鉢合わせないよう配慮するなど、せっかく対策をしても利用者に伝わらなければなにも意味がありません。

WEBサイトでのコロナ対策についての掲示はもちろん、InstagramやTwitterと言ったSNSでのリアルタイム配信、GoogleMAPでも画像を掲載するなど、あらゆる方面で感染症対策をやっていることをお客様に伝えていくことが大切です。

自治体によっては、複数回緊急事態宣言がでたり、自主的に休業要請をかけているところもあります。営業時間ひとつをとっても、最新の日時での更新が確認できると、WEB検索で店舗を見つけた方は営業時間の変更について問い合わせる手間が省けます。

感染症対策の可視化はSNSを使ってもできるので、とくに大きくお金をかけて広告宣伝をするわけではなく、今あるツールを最大限活用するだけである程度の効果はあります。取り組みができていないと感じる店舗は早急に強化していきましょう。

そして、一度載せて終わりではなく、最新の状態での取り組みを継続して見せることが重要です。やっていることは変わらなくても、常にアップデートしてWEBやSNSに掲載していきましょう。

ニッチなリスティング広告に注目! 必ずやるべきオンライン施策とは

集客をする場合、まずはコロナ対策の可視化が最優先の対策事項ですが、予算を投じて対策をしていく場合、ヘルスケア業界はリスティング広告(検索エンジンの検索結果に連動して表示される広告)が一番効果的だといわれています。

それは先述した全国柔整鍼灸協同組合のアクセス数からもわかりますが、WEBで検索して店舗を探すという方が非常に多いため、検索の段階で誘導をかけてしまうのがもっとも有効です。

とくに去年・今年は、コロナの影響で体の不調を訴える方も多くいました。そういった層を取り込むことができれば、今まで来ていなかった新規顧客の開拓にもなります。

「たとえばコロナの影響で、整骨院などの治療院では神経系のニーズがすごく増えました。自律神経の乱れや精神的不安定になった利用者が、整骨院に来院されることが増えています。」

筑波大学で行われた新型コロナウイルス感染症に関わるメンタルヘルス全国調査によると、2020年8月4日から2020年9月30日までの1カ月間でどの程度ストレスを感じたかという質問に対し、ストレスの程度は、「とても感じた」「少し感じた」を合わせると8割に達しました。大半の方が新型コロナウイルス感染症の流行に伴いストレスを感じていることが分かります。しかし、現在メンタルクリニックなどにかかっていると答えた方は約15%でした。ほとんどの方は、ストレスをかかえたまま過ごされていることになります。

出典元:筑波大学 医学医療系 臨床医学域 災害・地域精神医学新型コロナウイルス感染症に関わるメンタルヘルス全国調査

精神的なストレスの場合、キーワードとしては自律神経の乱れ、不眠、不安などがあげられます。整骨院の場合はこういったキーワードをリスティングに盛り込むのも有効ですし、フィットネス系の場合も、ヨガなどのメニューがある場合は、リラックス目的のメニューとして組み込んでいくのもよいでしょう。

実際、コロナ禍では、テレワーク腰痛、コロナ太りなど、メディアで色々な造語が生まれています。

現状そのようなメニューで打ち出していなかったとしても、切り口を変えるだけで新規顧客の獲得につながることもあるのです。

ニッチな需要については、これからの集客手段として常に意識しておく癖をつけましょう。

また、GoogleMAPでの口コミ評価も最近では重視される傾向にあります。

良い口コミが多い店舗=信頼度が高い店舗なので、この口コミ部分を地域一番になるくらいの気持ちで増やしていくと、Google検索でもひっかかりやすくなりますので、あまり注力していなかった店舗は、必ず取り組むようにしましょう。

若年層の新規顧客拡大にはSNS強化が必須

もうひとつ、集客として忘れてはいけないのがSNS対策です。

SNSについては主に若年層の強化に使う形になりますが、先述した感染症対策の可視化でも非常に有効な手段なので、やっていないという店舗については、まずSNSのアカウントを作りましょう。

広告運用となるとお金がかかりますが、店舗内でアカウント運用する分にはコストはかかりません。

整骨院の場合はもともと高齢者をターゲットとしている店舗も多いかと思いますが、新型コロナでの重症化リスクが高齢者に多いといわれていたこともあり、年齢が上がるほど不要不急の外出を控える傾向にあります。

そのため高齢者のみをターゲットにしている店舗の方が今回のコロナ禍で苦戦しているケースが多いようです。

「新型コロナの影響で、ヘルスケア業界全体的にご高齢の方の来院は減っています。とくに500円マッサージなど、安さをウリにして数で稼いでいたところは大打撃でしょう。
利用層として強化すべきは40~50代の現役サラリーマン世代です。
若い世代になればなるほど、SNSの利用率は上がりますし、SNSでの集客も有効になります。20代にいたっては、Instagramで店舗を探しているような時代です。
若い人も呼べる環境作りはこれから意識しておこなっていかなくてはいけません。」

たとえばコロナ対策で使う場合だと、Instagramについては必ずしもおしゃれな写真はいりません。スタッフが除菌ミストしている風景を動画で撮影して載せたり、GoogleMAPでも写真に撮って配信するという形でもよいのです。

また、店舗でのスタッフの勉強会の様子や、スタッフが笑顔で働いている写真をスタッフの紹介付きで載せることも有効です。

これは、新規顧客へのアピールだけでなく、既存顧客とのコミュニケーション強化の手段としても有効なのでぜひ実践していきましょう。

店舗やスタッフに親近感がわくと、他の店舗に利用者が流出する確率をぐっと下げることができますし、コロナ禍では利用者側も信頼ある店舗に行くケースが多いので、休眠客をつくらないためにもSNSでのコミュニケーションは意識を高めていきましょう。

今まで高齢者ありきで治療メニュー、商品メニューを組み立てていたところはそのあたりの見直しも必要です。新型コロナでのキーワードもふまえ、リモートワークなど若い方にも適応したメニューになるよう、見直してみましょう。

リアルタイムで配信ができるSNSについては、使いこなせるようになると大きな武器になります。

長い目での顧客層拡大も含め、若年層の囲い込みは意識しておこなっていきましょう。

出典元:
全国柔整鍼灸協同組合 【新型コロナ対策】患者さんは緊急事態宣言下でも接骨院を探していた!
筑波大学 医学医療系 臨床医学域 災害・地域精神医学新型コロナウイルス感染症に関わるメンタルヘルス全国調査

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