アロマを愛しアロマに魅了されたセラピスト あろまん・市井真太郎さんが『アロマ道』を選んだ理由(前編)
渋谷駅から徒歩8分ほどのマンションの一室に店舗を構える女性専用の個室サロン『アロマギフト』は施術だけではなく、スクール事業、商品開発、イベント事業も展開し、一気通貫でアロマに関する商品づくりをしています。
自らを「あろまん」と称し、1人で事業を切り盛りする代表の市井真太郎さん。前半は、アロマとの出会いやサロンへのこだわりなどについて、お聞きしました。
今回お話を伺ったのは……
アロマギフト代表 市井真太郎さん
石川県出身。大学卒業後、金融機関に勤めるも、香りによる癒やしを体験したことを機に、アロマの道へ。アロマテラピーインストラクター資格、アロマセラピスト資格を取得し、2013年に『アロマギフト』をオープンさせる。延べ76000人以上に施術を行うなど、男性セラピストの草分けとして活躍。アロマ関連事業の他に、アロマを使った起業へのアドバイスなど、アロマの普及にも尽力している。
給料がほとんどなくなるくらい、マッサージに通いました
—アロマに出会ったきっかけを教えてください。
高校生のときから香水を使っていて、社会人になってからも手首につけていました。でも、その上に革のベルトの時計をしていたら、汗をかいて肌がかぶれてしまったんです。もともと肌が弱かったのですが、いい香りの香水はつけたい——。「なぜ、かぶれるんだろう……」、「ナチュラルな香水はないのかな」と調べていくうちにアロマテラピー検定の本を見つけ、「天然の香水があるんだ」と興味を持ち、勉強を始めました。
—なぜ、セラピストになろうと思ったのですか?
インドネシアのバリに旅行へ行ったとき、オイルを使ったマッサージを受けました。大自然の中で、静かにオイルの香りとともに過ごして、すごくリラックスできたんです。日本に帰国してからも、給料がほとんどなくなるくらいマッサージに通いました。その過程で、「男性が受けられるマッサージが少ないな」、「自分が行きたいと思う店を探すのは大変だな」と感じて。サロンにたくさん通った経験もあるし、自分がマッサージした方がうまいんじゃないかって思ったんです。ちょっと、調子に乗ってたんですよね。30歳くらいには自分がやりたいことを生業にして独立したい気持ちがあったので、勤めていた金融機関を勢いで辞めて、この道に進みました。
アロマの良さを知ってもらいたくて、バンコクへ修行に行き、タイ古式の技術を学びました
—男性セラピストが手掛ける、女性専用サロン。このアイディアに行き着いた理由を教えてほしいです。
まず、開業するにあたって「ただマッサージをする」といった雰囲気ではなく、癒やしを提供するサロンにしたかったんです。また、「手のマッサージはいらないのに、メニューに入っている」というような決まりきったコースではなく、アドリブもきかせられる内容にしよう、とも思っていました。一方で、あまりゴージャスな部屋にはしたくなかったのと、お客さんにたくさん通ってもらうために料金は抑えたかった。そのバランスを考えた結果、「女性専用の個室サロン」の結論に至りました。
でも……最初はお客さんが全然来ませんでした。だから、はじめは店を借りず、レンタルサロンだったんです。ネットやSNSなどでたどり着いたお客さんを相手に勉強代をいただくような感じで、施術していましたね。そこから徐々にお客さんが増えてきて、ようやく2013年に店舗を構えられました。
—お客さんに来ていただくために、取り組んだことはありますか?
服を着たままでもアロマの施術が受けられるようなメニューをつくりました。施術のときは洋服を全部脱いで紙パンツをはいてもらいますが、上は何も着ないので、アロマが初めての人は抵抗があると思うんです。でも、タイ古式マッサージやストレッチなどは、服を着たままでもできるんですよね。それをうまく組み合わせられないかと考え、バンコクへ修行に行き、タイ古式の技術を学びました。
今ではタイ古式だけのメニューや、上半身はタイ古式で足はアロマの施術、といったメニューも取り入れています。部分的なメニューをきっかけに、アロマの良さを知ってもらいたい。これらのメニューは、その導入ステップのような位置付けだと思っています。
ありがたいことに現在、LINE公式アカウントのフォロワー数が400人弱います。1日に施術できるのは2~3組くらいなので、毎日営業したとしても1カ月で90人なんですよね。そうなると、予約が取りにくくなって、前から来てくれていた人が来られなくなってしまいます。申し訳ないのですが、本当に僕の施術が受けたいという人に通ってもらいたいので、今はあえて施術の値段を上げることにしました。
「アロマ業界を広げていきたい」強い思いがあるので、サロン以外の事業も手掛けています
—サロン以外にも事業を展開したのは、なぜですか?
「アロマ業界を広げていきたい」という思いが大きいです。僕の周りにはアロマ好きの人しかいなくて、それが当たり前の世界だと思っていました。アロマ業界の市場は小さい上に、当時はアロマに興味を持っている男性が少なかったんです。アロマテラピー検定を受けたとき、1クラス40人ほどの中で男性は僕だけでした。
僕が起業した理由の一つに「僕にしかできないことを広めたい、教えてあげたい」思いもあったので、まずはスクール事業を始めました。「生徒さんたちが育つことで、僕の考え方が世の中に伝播する」。そう思ったんです。そこから、ものづくりをはじめとするさまざまな事業が広がっていきました。
『アロマギフト』市井さん流・アロマセラピストが事業をスタートさせるときの3つの極意
1.ユーザーの立場になって、徹底的にサービスの深掘りをする
2.LINE公式アカウントを活用する
3.「業界に貢献したい」思いを持ち、それを体現する取り組みをする
「ないものではなく、あるものに目を向ける。それでもないものは、創り出す」を経営理念に、アロマの良さを1人でも多くの人に知ってもらうために奔走し続ける、市井代表。後編では、商品開発やイベント事業についてお話しいただきます。
▽後編はこちら▽
商品1個からの製造も相談可。提案から商品開発まで一気通貫で対応できるのが『アロマギフト』市井真太郎さんの強み(後編)>>