仕事と育児の両立に悩んだのをきっかけにヨガ講師の道へ【もっと知りたいヘルスケアのお仕事Vol.164】ヨガ ラートリー玉川学園 主宰 RIKAさん#1
ヘルスケア業界のさまざまな職業にフォーカスし、その道で働くプロにお仕事の魅力や経験談を語っていただく連載企画「もっと知りたい! ヘルスケアのお仕事」。
今回はヨガインストラクターとして、キッズから大人まで幅広い年代にヨガの魅力を伝えているRIKAさんにお話を伺います。
前編では、まったく縁のなかったヨガを知ったきっかけや、仕事と子育ての両立に悩んでヨガ講師を目指したいきさつ、「忙しいママや子どものためにヨガを教えたい」という想いについて語っていただきました。
お話しを伺ったのは…
ヨガ ラートリー玉川学園 主宰
RIKAさん
会社員から一念発起してヨガインストラクターに。クシャナヨガ、イシュタヨガ、ヨガジェネレーションなどで研鑽を積み、インストラクターとなる。他にも上級救命技能認定の修了、保育士の免許も取得している。
学生時代はずっと水泳。出産後に初めて親子でヨガを体験!
――RIKAさんは前々からヨガに興味があったんですか?
いいえ。学生時代はずっと水泳をやっていたので、すごく筋肉量が多いんです。身体が硬いこともあってヨガ向きではなかったというか(笑)。中国で働いていた頃はピラティスを少し習っていました。
――中国で働いていらしたんですか!?
大学時代に中国へ留学して、そのまま日本人も多く住んでいた大連という場所で働いていました。そのとき英会話を教えていたカナダ人の主人と出会って結婚したんです。
――日本にはいつ帰国を?
2008年です。主人と一緒に帰国しました。仕事なら都内の方が見つけやすいだろうと考えて、私の実家のある町田市に引っ越しました。
――ヨガにあまり興味のなかったRIKAさんが、初めてヨガに出合ったのは?
2013年に最初の子どもを産んだときです。身体を動かしたいけれど、子どもも一緒に参加できるプログラムを探していたとき、たまたま見つけたのが産後ヨガでした。
生後6か月の子どもと一緒に、ベビーマッサージとヨガを兼ねたクラスを受けました。
――赤ちゃんと一緒にどんなことをするんですか?
私たち母親が実際に身体を動かすのは30分くらいでしょうか。あとはベビーマッサージの方法を習う内容でした。
――その講座を受けて、インストラクターを目指したんですか?
いいえ。半年後には職場復帰しなくてはいけなかったので、「インストラクターになりたい」とはまったく思っていませんでした。ただ、そのときのクラスが先生のご自宅兼スタジオだったので、「こういう働き方もあるのか」と新鮮に感じました。
仕事と子育ての両立に限界を感じ、ヨガインストラクターの道へ
――インストラクターを目指したのはどんなきっかけで?
育休中は育児に専念できたからよかったんですけど、職場復帰すると子育てをしながらだとちょっと辛いな…と感じるようになったんです。
2人目もほしいというのもありましたし。割り切ってバリバリ仕事をするお母さんもいらっしゃいますが、私は子育てもしたい。じゃあ「子育てをしながら昇進を狙えるのか」といえばそれは難しい。もう一人子どもを産んだとき、「このままの状態で会社にしがみついているのが幸せなのか」と考えたとき、それは違うなと思いました。限界を知ったというか。
仕事と子育てを両立している方もいらっしゃいますが、このマルチタスクは私にはちょっと難しいと思ったんです。
――それで会社をお辞めになったんですね。
育休後に2年ほど働きましたが退職しました。
辞めてすぐヨガのインストラクターの養成講座へ。子どもを保育園に預けていたので、集中して通える環境もよかったですね。
――それまでにヨガの教室に通っていたんですか?
それがまったく(笑)。子どもと行った産後ヨガ以来です。養成講座に通うのは、最低でもヨガ歴が1年以上の方がほとんど。私は規格外だと思います(笑)。
まずヨガの用語が分からない。身体が硬い。ただ体力だけはあったので、その点ではついていけましたが、知識的にはもう劣等生でした。
――会社を辞めて、なぜヨガを選んだんですか?
子育てをしていると問題を一人で抱え込んでしまうお母さんがいるんです。私自身、産後ヨガに通ったときは初めての子育てで不安もあったし、育休中で仕事もないので何もすることもなくずっと家にいました。ヨガのクラスに通って先生にいろいろ聞いたり、不安なことを話したりすることで自分が助けられたことを思い出したんです。そういう場を必要としている方がいるんじゃないかと。それで、やってみよう!と思い立ちました。
――RIKAさんの想いも重なっていたんですね。
働きながら子育てをするお母さんは本当にたいへん。日本人のお母さんは本当に疲れているんですよ。それなのに「疲れてる」って言えない状況もあります。日本のシステムってすごく細かいんですよね。
「別にそんなの気にしなくていい」と思えることもきちんとやっておかないと「だらしないと思われる」とか「何か言われる」って先を読んでしまう。海外だと母親はゼロスタートなんです。だから何もできなくて当たり前。逆にちょっとでも何かができると「すごいね~!」って褒められる。でも日本は100点満点スタートなんです。
分からなかったり、できなかったりすると「何でできないの?」って減点されちゃう。私自身もそういう想いをしたので、ヨガが何かのきっかけになればと思って学び始めました。
産後ヨガに通っただけで、ほぼ経験ゼロのRIKAさんがインストラクターにチャレンジ。後編では、ヨガのさまざまな流派を学んだ理由、保育士の資格を取るだけでなく大学で学び直しをしている想い、またご自宅にスタジオを構えたいきさつなどをご紹介します。
撮影/内藤健志