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ヘルスケア 2020-01-30

商品1個からの製造も相談可。提案から商品開発まで一気通貫で対応できるのが『アロマギフト』市井真太郎さんの強み(後編)

アロマトリートメントサロンから出発し、多種多様な事業展開をする『アロマギフト』の市井代表。後編は、商品開発やイベント事業、アロマ業界の課題について、お話を伺いました。

『アロマギフト』はオリジナルの香りづくりから、商品提案、経営層へのプレゼン、商品生産まで全て担えます

—ものづくりを始めたきっかけは何だったんでしょうか?

スクールの生徒さんから「外国ではラベンダーのアロマなどがある。日本にも同じくラベンダーがあるはずなのに、なぜ有名ではないのか?」と質問を受けたことです。そこから「和のアロマ」をキーワードにした日本のアロマを広めようと思い、クラウドファンディングで、地元・石川県の県木「能登ヒバ」のアロマをつくりました。

その後、リターンとして渡した商品がメディアや企業に伝わり、ホテルリゾート関連の企業から「施設のリニューアルに伴い、カラマツの香りでアロマグッズをつくってほしい」と依頼が入るようになったんです。そこから、本格的にものづくりを事業として立ち上げました。他にも『さんしょう』のアロマなどもつくりましたね。国産のアロマをたくさん普及させたい思いもあり、2018年には『和アロマ®』として商標登録しました。

—当初から売れる勝算はあったのでしょうか?

全くなかったです。最初につくったのは「能登ヒバ」の精油でしたが、そもそも精油の使い方がわからない人がほとんどで、売れませんでした。だったら、日用品に落としてみようとハンドクリームもつくったんですが、今度は香りの嗜好に左右され、結局、ユーザーにとって身近なゆずやローズのような、店頭でもよく見かける香りの精油の方が売れるんです。

希少な精油をつくっても、生産コストがかかるので商品の値段は高くなるし、ユーザーからしたら「高いから他のものでいい」という話になってしまうんですよ。ユーザーに合わせていくことも必要ですが、商品にちゃんと価値がないとダメです。だから、商品の良さを広めるために、自社製品と並行してメーカー向けのOEMの企画・製造も始めました。企業の中でも紹介したり、バイヤー向けの商品をつくって宣伝したりもしましたね。

ー『アロマギフト』はどんなことを強みにしていますか?

自分でつくったアロマは、マッサージのとき、空間演出として使っています。ストーリーを込めた香りをつくることができるのが、今の『アロマギフト』のウリの一つです。

以前、ある企業が植栽したケヤキの枝からつくった香りの商品を、株主向けに配ったんです。現物を渡さなくても、企業に行ったときにその香りが漂っていたら、それが『この企業の香り』だとアピールできます。これがきっかけとなり、受付に香りが出るアロマディフューザーを月間契約で置いてもらえるようになりました。

『アロマギフト』は、オリジナルの香りづくりから、商品の提案、経営層へのプレゼン、商品の生産まで、全部を請け負うことができます。さらに、香りを使った新たな商品や、空間を生み出すことも可能です。それが、お客さんに喜ばれているのかなと思っています。

これからは『草の根』レベルでマーケットを広げる動きをすることが必要です

アロマ事業を立ち上げたい人からの相談も受けているそうですね。

最近は、自分のブランドを立ち上げたいという人が多いです。でも、そんなに甘くないですし「辞めたら?」と言うこともあります。大手などの成功している会社は発注を多くかけて安い単価で売っていますが、個人ではそうはいきません。しかし、良い部分もあって、その人たちがどんどん世に出ることができれば、例えば近所の人やアロマを知らない人に、アロマが広がります。これからは、そういう草の根レベルでマーケットを広げていく動きを起こさないといけないのかな、とは思いますね。

『アロマギフト』は商品1個からの製造でも、相談に乗っています。これは、大手では真似できません。また、ものづくりの事業を立ち上げたときの苦しさを知っているからこそ、成功に導けるパッケージをつくりたい思いも抱いています。よく「本業はどれですか?」と聞かれますが、自分にとってはすべてがアロマ業界を広げるための手段ですね。

ーアロマ業界の今後の課題は何だと思いますか?

今、アロマ業界はグレーゾーンにいると思います。その理由は、薬機法(旧薬事法)などの法規面から見ると、まだ「アロマに癒やしの効果がある」とはいいきれないからです。『アロマギフト』はお医者さんとコラボさせてもらっていますが、アロマやアーユルヴェーダに詳しい先生たちと一緒に臨床実験などもできれば、効果を明確に伝える可能性もあるのではないか、と思っています。

他に、サロン同士での情報連携ができないかなとも考えています。例えば、女性のセラピストさんがオーナーのお店でユーザーから「強めのマッサージができるサロンはないか?」と尋ねられたとします。そういったとき、サロンのネットワークが連携できていれば、合うお店をご紹介することも可能ですよね。その方が、お客さんも堂々と足を運べる気がするんです。

女性はすでに飽和状態なのかもしれませんが、最近は男性用の化粧品に香り付きのものが増えたり、アロマテラピー検定でも男性の受験者が増えていたりと、アロマや香りに興味を持っている男性が増えてきたように感じています。流れを待つ前に、こちらから何かできることをやりたい。それが、業界のさらなる広がりにつながればいいなと思っています。

『アロマギフト』市井さんが考える商品づくりの3つのコツ

1.キーワードを決める(市井さんの場合は「和のアロマ」)

2.「安ければいい」ではなく、商品にしっかりと付加価値を付ける

3.草の根でもよいので、マーケットを広げるための行動を重ねていく

さまざまな事業を展開しながらも、「現場からは離れない」と話す、市井代表。マッサージが好きでアロマを楽しみながら仕事に取り組む一方、科学的な香りをあまりかがないようにしたり、いろいろな種類の全国各地にある植物の香りをかいだりして、常に嗅覚を鍛えるストイックさも併せ持っていました。『アロマギフト』の今後に、注目です。

▽前編はこちら▽
アロマを愛しアロマに魅了されたセラピスト あろまん・市井真太郎さんが『アロマ道』を選んだ理由(前編)>>

Salon Data

アロマギフト

住所:東京都渋谷区南平台町6-11ジョイヒルズ南平台104号室
TEL:03-3780-0556
URL:http://aromagift.net/index

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