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特集・コラム 2025-07-01

就労継続支援B型とは?利用者をサポートするうえで知っておきたい基本情報やチェックポイントを解説

就労継続支援B型の利用者にはどのような人たちがいて、事業所のスタッフは利用者をどうサポートしているのでしょうか?就労継続支援B型の利用者を支えていくことは、彼らの生活に関わっていくことでもあります。基礎の知識を身につけて、就労継続支援B型をサポートする上で役立てていきましょう。

ここでは、就労継続支援B型とはなにかや、就労継続支援B型事業所のスタッフとして働くメリットや事前に知っておくべきことを紹介します。

就労継続支援B型とは?

就労継続支援B型とは、障害福祉サービスのことです。

難病を抱えている方や障害のある方が対象となります。一般企業に就職することが難しい場合に、軽作業などの就労訓練を通して、働くチャンスを提供していきます。障害者総合支援法で定められた福祉制度のひとつです。

就労継続支援B型は、障害や体調に合わせて、自分のペースで働けることが特徴です。就労移行支援事業所に通い、作業をすることで就労の経験を重ねていきます。雇用契約を結ばないため、作業や作ったものに対して支払われる給料は、賃金ではなく「工賃」として支払われます。

就労継続支援B型の利用の条件

難病を抱えている、または身体障害・知的障害・精神障害・発達障害がある方が対象となります。以下のどれかの条件に当てはまれば、利用が可能です。

1.就労経験がある者であって、年齢や体力の面で一般企業に雇用されることが困難となった者
2.50歳に達している者、又は障害基礎年金1級受給者
3.1及び2のいずれにも該当しない者であって、就労移行支援事業者等によるアセスメントにより、就労面に係る課題等の把握が行われている本事業の利用希望者

引用元
厚生労働省|障害者の就労支援について

自治体により条件が異なることがあります。詳しく知りたい場合は、市区町村の障害福祉窓口に問い合わせが必要です。

障害者手帳がなくても利用はできる

障害者手帳を持っていた方が、障害の状態や度合いをすぐに確認できるので、スムーズに就労継続支援B型のサービスを受けられます。

障害者手帳がない場合は、「障害福祉サービス受給者証」が必要になります。「障害福祉サービス受給者証」の発行には、病気や障害の状態が分かる主治医の診断書などを提出します。

申請して発行されるまで一ヶ月ほど時間がかかることがありますが、障害者手帳がない場合でも、就労継続支援B型が利用できます。

就労継続支援B型利用者の工賃や作業内容は?

就労継続支援B型の利用者は月にいくら工賃をもらい、どんな作業をしているのでしょうか。

利用者の工賃はどれぐらい?

厚生労働省の資料では、令和4年度の月額の平均工賃は17,031円、時給に換算すると243円です。

就労継続支援B型は雇用契約を結ばないため、自治体が定めている最低賃金より低いケースがあります。令和4年度の最低賃金(全国加重平均額)は961円となっており、就労継続支援B型の工賃とは718円の差です。

なお、令和5年からは平均工賃額の計算方法が以下のように変更されたため、令和5年の実績は、23,053円と大幅に増加しています。

令和4年度実績まで:平均工賃月額=工賃支払総額÷各月の工賃支払対象者の総数
令和5年度実績から:平均工賃月額=工賃支払総額÷(開所日1日当たりの平均利用者数)÷開所月数

現在、各都道府県が工賃向上計画に取り組んでおり、実際に工賃が上がった事業所もあります。また、厚生労働省も委託事業という形で、事業所向けに工賃アップを促すガイドブックを作成するなど、力を入れています。

工賃の支払い方法は、事業所によって変わります。作業で作った製品に対しての出来高払い、事業所に通うことで定額が支払われる場合などがあります。

引用元

厚生労働省|令和4年度工賃(賃金)の実績について
厚生労働省|令和5年度工賃(賃金)の実績について
厚生労働省|地域別最低賃金の全国一覧

利用者はどんな作業をする?

就労継続支援B型事業所の作業は、事業所によって内容が変わります。
例を挙げると次のようになります。

・自動車部品の組み立て
・名刺・ポスター・パンフレットの印刷・加工
・ミシンでの作業や手工芸作り
・パソコンで簡単なデータ入力
・梱包作業
・製品へのシール貼り
・清掃作業
・カフェでの調理・ホール

作業を通じて、仕事で必要なビジネススキルを習得していきます。

就労継続支援A型・B型と就労移行支援の違いは

就労系の障害福祉サービスには、就労継続支援B型以外にも就労継続支援A型、就労移行支援があります。ここでは、3つのサービスの違いを比較して紹介します。

就労継続支援A型 就労継続支援B型 就労移行支援
対象者 一般企業へ就職が難しい者 一般企業へ就職を希望する者
年齢制限 18歳~65歳未満 なし 18歳~65歳未満
雇用契約 あり なし
平均賃金

(2022年度)

月額/83,551円 月額/17,031円 なし
利用期間 なし 2年

(最大1年延長)

利用料金 前年度の世帯の収入状況による

就労移行支援は、働くために必要なスキルを習得し、就職活動・就職後のサポートも受けられるサービスとなっています。事業所によりますが、基本的に賃金は発生しません。

工賃や賃金が発生しない分、就職するための相談から、目指す職業で必要となるスキルを得るための訓練・職場探し・就職後まで、手厚いサポートを受けることができます。

就労継続支援A型は、一般の職場環境に近い形で働くことができます。雇用契約を結ぶことが就労継続支援B型との大きな違いになっており、最低賃金以上の給料が支払われています。

A型はB型より月額平均工賃がはるかに高いですが、年齢制限があったり、雇用契約を結んだりする点から、B型よりもハードルは多少高いといえます。

引用元
厚生労働省|令和5年度工賃(賃金)の実績について

就労継続支援B型事業所でスタッフとして働く|仕事内容と役立つ資格

厚生労働省の資料によると、就労継続支援B型事業所は、2023年度の時点で全国16,713か所に設置されています。利用者とともに年々増加傾向にあり、今後も両者は増えていく可能性があります。

就労継続支援B型事業所では、どのような仕事をするのでしょうか。また、働く上で役立つ資格も紹介します。

引用元
職業情報提供サイト(日本版O-NET)job tag|障害者福祉施設指導専門員

スタッフの主な仕事内容

ここでは、就労継続支援B型事業所のスタッフが行う主な仕事について、6つ紹介します。

1.利用者の作業をサポートする

利用者が、働くためのスキルを身につけるため、作業の訓練指導を行います。利用者たちの個性や得意なジャンルを見極めて、作業のメニューを確保していくことが求められます。一緒に作業をする場合もありますが、スタッフはおもにサポートとして動きます。

2.施設外での就労を支援する

事業所の外に出て、地域の企業などで就労・実習を行います。利用者に技術だけではなく、ビジネスマナーも身につけてもらうことが目的です。

ハローワークや障がい者就労・生活支援センターなどと連携をして、利用者が働く場所の確保をします。就労先とは密に連絡をとることになるため、コミュニケーション力が求められます。

3.余暇の支援をする

利用者に楽しみながら、自立心、コミュニケーション力を身につけてもらうことが目的のサポート業務です。

具体的には、事業所の周辺に出かけて、散歩・映画鑑賞・ボウリングなどのレクリエーションを行います。事業所によっては、利用者の要望を聞いて、スタッフがそれに沿ったサポートをしているところもあります。

4.利用者や家族からの相談を受ける

利用者やその家族が感じている、困りごとや悩みについて相談を受けます。利用者の心身の状態や生活に必要なことを聞き取っていき、支援計画の作成に活かしていきます。相談援助が、利用者と家族に信頼してもらうことにも繋がっていくのです。

5.個別支援計画を作成する

個別支援計画とは、利用者の課題・目標・支援策を記した計画書です。

事業所が支援していく方向性について、利用者や家族と共有するための重要なものとなります。利用者の状態は変化していくため、個別支援計画の定期的な内容の見直しや修正が必要です。

6.利用者を送迎する

事業所によっては、利用者の送迎を行っています。

都心で交通アクセスがスムーズな場所であれば、送迎をしないこともあります。地方の事業所や重い障害を持った利用者がいる場合は、送迎が必要です。利用者の家まで送迎するケース、事業所の最寄り駅まで送迎するケースなどがあります。

持っておくと役立つ資格

ここでは、就労継続支援B型事業所で働くときに、持っておくと役立つ資格を紹介します。

・サービス管理責任者
・介護福祉士
・社会福祉士
・精神保健福祉士
・介護職員初任者研修(旧ヘルパー2級)
・普通自動車運転免許

資格が無くても、働ける事業所はたくさんあります。キャリアアップのため、働きながら資格の取得を目指す人もいます。

就労継続支援B型事業所で働くメリット

就労継続支援B型事業所のスタッフとして働くことによって、どんなメリットがあるのかを紹介します。

やりがいを感じられる

就労継続支援B型における仕事の魅力のひとつに、一般企業で働きたくても働けない利用者が、自分らしく働けるように支援できることがあげられます。

利用者によって求める支援はさまざまで、個性と向き合う必要があります。コミュニケーションの難しさがある一方、利用者と信頼関係が築けて感謝されたときには、やりがいを感じるでしょう。

障害の課題を把握する

就労継続支援B型事務所で利用者と接することで、障害への理解を深めることができます。知的障がい者や精神障がい者の気持ちを考えたり、身体障がい者にはどんな課題があるのかを知ったりする機会になります。

現場での経験をつむことで、福祉業界でキャリアアップできる可能性にもつながるでしょう。

体力への負担が少ない

就労継続支援B型事務所では、スタッフが身体的介護を行う機会はあまりありません。

利用者は支援をうけて就労できるため、比較的自立度が高く、ほかの障がい者施設や高齢者施設より体力的な負担は少なくなります。そのため、体力に自信がない人でも働きやすいでしょう。

また、就労継続支援B型には夜勤はないため、土日祝日が休日の事務所を選べば生活リズムが乱れる心配がありません。仕事とプライベートを両立したいと考えている人にも、自分に合った働き方ができます。

需要が安定している

就労継続支援B型のサービスの需要は高まっており、利用者も年々増加する傾向にあります。そのため、仕事を失うリスクはとても低く、安定して働ける仕事といえます。

障がい者の就労支援は、今後もニーズが高いと見込まれるため、安心して目指せる仕事です。

就労継続支援B型事業所に就職するときのチェックポイント

就労継続支援B型に転職し、働きはじめてから「思っていた仕事と違う」「想像していたより忙しくてきつい」などと感じる場合があるかもしれません。ギャップを感じないためにも、事前にチェックしておくべきポイントを紹介します。

職員の配置基準

人手不足の職場では、想像より忙しくなる可能性があるため、事前に施設のWEBサイトや求人情報で人員配置をチェックしておきましょう。

基本の配置基準は、利用者10人に対して1人の職業指導員・生活支援員とされています。しかし、基準の最低限の人員ではなく、利用者の状態や支援内容に応じた人員が配置されていれば、業務の負担が集中することも避けられるでしょう。

引用元
厚生労働省|就労継続支援B型に係る報酬・基準について

資格取得や研修のサポートが充実しているか

未経験の場合、資格取得支援や研修制度が充実している職場がおすすめです。福祉業界の経験はあっても、就労支援の仕事ははじめてという人でも、業務に取り組みやすくなります。

職場の協力があると、働きながらスキルアップしやすいというメリットもあります。

雇用形態や給与条件

雇用形態によって労働時間や休日日数・担当する業務範囲が異なる場合があります。正社員なのかどうか、パート・アルバイトや契約社員の場合は社員登用の制度があるか、なども調べておきましょう。

基本給やボーナス・昇給などの給与条件のチェックも必要ですが、希望する働き方ができるかどうかが重要です。

仕事内容とやりたい支援がマッチングしているか

長く継続して働くためには、自分のやりたい支援と仕事内容がマッチングしていることが大事です。

就労継続支援B型事務所では、複数の職種を兼務するケースもあります。求人の職種名だけでは判断できないことも多いため、業務範囲や役割などの詳細までしっかり確認しましょう。

就労継続支援B型事務所でやりがいのある仕事をしよう

就労継続支援B型事業所での仕事は、利用者一人ひとりの個性を把握していくことが求められます。難病を抱えた方・障害のある方のサポートは、コミュニケーションが難しいこともあります。
しかし、利用者が少しずつ課題を克服して、暮らしを前向きにとらえていくとき、信頼関係が築けたことを実感できます。

就労継続支援B型を利用している人々の「就労」を見守り、サポートしていくことは、彼らの生活に関わっていくことでもあります。非常にやりがいのある仕事と言えるのではないでしょうか。

未経験でも活躍できる就労継続支援B型事業所はあります。資格がなくても知識や経験を積んでいくことで、利用者に信頼されるスタッフになれるでしょう。

就労継続支援B型事業所の求人を探すなら、リジョブがおすすめです。リジョブはヘルスケア業界や業種に特化している求人サイトで、検索機能が充実しているため未経験の方にも手軽に利用いただけます。

ぜひリジョブをチェックして、やりがいのある仕事を探してみてはいかがでしょうか。

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