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特集・コラム 2020-04-28

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策! ヘルスケア業界で今すぐやるべき4つの取り組み

国内でも日々感染者が増える新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ですが、全国的な緊急事態宣言を受け、今もなお予断を許さない状況が続いています。
直接お客様にふれる業務は特に気をつかうため、店舗の営業についてどうしたらいいのかわからないという整骨院やサロンも多いことでしょう。
まだまだ先行き不透明な状況下で不安は尽きないですが、こういうイレギュラーな状況だからこそ、今やるべきこと、取り組めることを整理していきましょう。

できていますか?徹底した衛生対策と資金対策

まずヘルスケア業界の店舗は基本的に休業要請の対象ではありません。
ただし、100平方メートル以上の敷地面積の場合は休業協力・要請の対象となりますので注意してください。

【床面積の合計が1000平方メートル超の施設】
施設の使用停止を要請

【床面積の合計が1000平方メートル以下の施設】
施設の使用停止について協力を依頼。
ただし、100平方メートル以下の施設については、営業を継続する場合、適切な感染防止対策の徹底を依頼。

店舗での衛生対策

整骨院やサロンを営業する場合、人にふれる施術をおこなうため、他の業種以上に新型コロナウイルス感染症対策に気をつかわなくてはいけません。
具体的には3密(密閉・密集・密接)を作らない取り組みが必要です。

店舗内の衛生対策

店舗側の衛生対策としてやるべき項目は下記になります。

1. 検温をはじめとしたスタッフの健康状態の把握
2. 施術前にスタッフ・お客様両方の手指消毒
3. お客様ごとにリネン類の交換
4. お客様ごとに椅子、ベッド、化粧室、ドアノブ等など共有部分の消毒
5. 換気を最大限におこなう+あれば空気清浄機や次亜塩素酸散布
6. お客様同士が接触しないよう予約時間の調整をおこなう
7. 従業員のマスク着用

ほかにも、お手洗いや洗面台に手拭きタオルを置いている場合、お客様ごとにタオルを交換するか、使い捨てのペーパータオルに変更するようにしましょう。
顔の施術以外ではお客様にもマスクの着用をお願いすると、より安心です。

お客様にお願いする衛生対策

店舗側の対策だけではなく、店舗内に新型コロナウイルス感染症を持ち込ませない防御策も必要となります。
下記に該当するお客様については来店をお控えいただきましょう。

1. 37.5℃以上の発熱がある方
2. 風邪の症状がある方や、強い倦怠感や呼吸困難がある方
3. 周囲に新型コロナウイルス感染症ウイルス感染症もしくはその濃厚接触者がいる方
4. 2週間以内に海外渡航歴がある方
5. 体調がすぐれない方

そして、これらの取り組みがきちんとお客様にわかるようにホームページやSNS、貼り紙などで伝えましょう。
当たり前に感じる取り組みも、可視化することで、お客様の安心と信頼につながります。

融資と助成金は早めに申請!

衛生対策を万全にしても、東京都など緊急事態宣言対象地区の店舗は、売上が例年の8~9割程度落ちているところも多くみられます。
新型コロナウイルス感染症の影響が長引く場合もふまえ、サロンとして受けられる融資や助成金について今のうちに検討しておきましょう。主な助成金と融資をあげておきますので資金繰り計画の参考にしてください。

雇用調整助成金

まず、従業員を抱えている場合、すぐに申請すべきは雇用調整助成金(厚生労働省管轄)です。
今回の新型コロナウイルス感染症の影響の受け、店舗を休業する場合の従業員の休業手当を、国が負担してくれます。

経済上の理由により事業活動を縮小せざるをえなくなった事業主が、雇用維持のための休業手当に要した費用を助成する制度です。
助成金なので返済の必要がありません。

通常よりも条件が緩和され、2020年4月1日~6月30日の緊急対応期間中は、全ての業種について特例措置が実施されています。助成率については下記になります。

出典元:厚生労働省 雇用調整助成金

・申請方法
こちらは、最寄りの労働局、もしくはハローワークの管轄となっています。
申請について、動画で解説もされていますので、厚生労働省のホームページで確認してみましょう。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07.html

持続化給付金

大幅に売上が落ち込んでいる場合、持続化給付金(経済産業省管轄)も申し込みましょう。こちらも給付金のため返済不要です。

・給付条件
新型コロナウイルス感染症の影響により、売上が前年同月比で50%以上減少している事業者もしくは個人事業主。

・支給額
法人…上限200万円、個人事業主…上限100万円。
ただし、昨年1年間の売上からの減少分が上限。売上減少分の算出方法としては下記になります。

前年の総売上(事業収入)-(前年同月比▲50%月の売上げ×12カ月)

・申請方法
こちらの申請の詳細については、 4月最終週を目途に確定・公表予定です。発表されたらすぐに申請できるよう、昨年との売上比較を今のうちに準備しておきましょう。
下記に申請に必要となるものが明記されています。

出典元:経済産業省 持続化給付金 に関するお知らせ

新型コロナウイルス感染症特別貸付

こちらは日本政策金融公庫管轄の融資です。
新型コロナウイルス感染症の影響を受け、一時的な業況悪化があり、次の1または2のいずれかに該当し、かつ中長期的に業況が回復し、発展することが見込まれる方であれば貸付を条件つきですが無利子で受けることができます。返済は必要ですが、無利子でまとまったお金を調達可能です。

1. 最近1カ月の売上高が前年または前々年の同期と比較して5%以上減少している方
2. 業歴3カ月以上1年1カ月未満の場合等は、最近1カ月の売上高が次のいずれかと比較して5%以上減少している方

詳しくは下記日本政策金融公庫のサイトから確認してください。

出典元:日本政策金融公庫 新型コロナウイルス感染症特別貸付

返済の必要がない助成金を中心に紹介しましたが、そのほか、緊急時における金融施策が各自治体から出ています。自治体によって内容が異なりますので、各種融資について在籍する自治体のホームページを確認しておきましょう。
また、銀行や生命保険会社なども無利子の融資を順次開始しています。
いずれも受理までに時間がかかりますので、この先の資金繰り計画に応じて早めに検討しましょう。

ご近所需要が急上昇! 狙うは徒歩圏内の顧客

いざ、営業するとなっても、今の段階で積極的な集客をおこなうのは「このご時世なのに自粛ができていない店舗」という不信感につながってしまいます。
それを念頭に置いた上で、今できることを整理していきましょう。

まず、緊急事態宣言を受け不要不急の外出を控えるようになった際、お客様が使わなくなるのが電車などの公共交通機関です。
そのため、都心部やターミナル駅店舗の場合、かなり売上に影響がでていると思います。
ただし、整体やマッサージの需要自体がないのかというとそうではありません。

ピップ株式会社の調査によると、新型コロナウイルス感染症対策の影響で在宅勤務をするようになった会社員163名のうち、肩コリや腰痛を感じるようになったり、症状が深刻化した方は74.2%という高い結果に。
肩コリや腰痛の不調要因は、『長時間の同じ姿勢』『普段と違う姿勢』『運動不足』などがあげられました。

出典元:ピップ株式会社
<緊急調査>新型コロナウイルス感染症予防の対策で 勤務状況や体調の変化は?

この調査結果からもわかるように、テレワークが原因での不調を訴える人が増えていることがわかります。そのため、いつもの整体サロンにいけないからと、近隣店舗をクーポンサイトで検索してはじめての店舗に行かれる方も一定数いらっしゃいます。

積極的な宣伝は控えたほうがよいですが、徒歩圏の方に向けて外に看板を出したり、ホームページやSNSで営業している旨を発信することは有効です。車であれば遠くても行きたいという方もいらっしゃるので、店舗の敷地に駐車場がある場合はそのアナウンスを、近隣に有料駐車場がある場合は、車で来店された際の割引やサービスなどをしてあげるのもよいでしょう。

リピーターのフォローにも 出張・往診サービスのすすめ

来店していただく以外にも、こちらから出張・往診という手段もとれます。
リピーターのお客様で、「行きたいけど行けない」という方も一定数いらっしゃるので、施術者が出張する形でのケアも喜ばれるでしょう。

ただし、異性の施術者の場合トラブルが発生したケースもまれにあり、今まで出張や往診のサービスをおこなっていなかった場合は、同性の施術者を派遣する、夜の時間帯は予約を断るなど、トラブル予防策を事前に決めておいたほうが安心でしょう。

また、お客様のご自宅への訪問が大半のため、お部屋を汚さないようタオルやシーツなどの準備、訪問時の手指アルコール消毒など、店舗同様衛生対策はしっかりとおこないましょう。
交通費と移動時間分の費用をどうするかも事前に確認が必要です。遠方のお客様の場合、往復の時間も加味する必要がありますので、対応可能エリアも決めておく必要があります。

リピーターのお客様であればトラブルもなく安心なので、不安な場合、まずは一時的なリピーター様へのサービスとして活用してみましょう。

個人のセラピストの場合は、出張・往診マッサージの派遣を専門にしている会社もありますので、一時的にそちらに登録するというのもひとつの手段でしょう。

不安な今こそ、SNS発信でコミュニケーションを!

自粛ムードが続き、集客に頭を悩ませる店舗も多いと思います。
この時期はあらゆる媒体を集客ではなく「コミュニケーションツール」としてとらえましょう。緊急事態宣言の中での集客は発信の仕方を間違えると店舗の不信感をあおる形になってしまい、逆効果です。そのため、今はお客様とのコミュニケーションに専念しましょう。

この自粛期間だからこそ、SNSは通常よりも活性化しています。先日Facebook社から、Instagram閲覧数が通常時の2倍になっていると発表がありました。この閲覧数を逆手にとり、集客はできなくとも認知度をあげることはできます。

たとえば先述したテレワーク腰痛について、自宅でのケア方法を写真や動画で配信をするのは需要に合致しているといえます。実際、Twitterでは『#コロナ 腰痛』 で多くのツイートがされており、Instagramの動画でも腰痛ストレッチの動画がいくつもアップされています。ほかにも、在宅での運動不足解消法やむくみ解消法も有効でしょう。

一般向けへの告知としてはこのような内容に、「サロンではこういうケアをやっています」「鍼灸でこういうアプローチをします」など、店舗の紹介もしておきましょう。
お店の名前だけでなく、駅名も入れるとよりわかりやすいです。複数のスタッフがいる場合はこの機会にスタッフの紹介もしてみましょう。

また、LINE@やメルマガの配信をしている店舗の場合は、そちらで情報発信をしたり、個別相談も受け付けてあげるとよいでしょう。実際に店舗には行けなくても、不安な点や自宅でできるケアのアドバイスのやりとりをすることでお客様とのコミュニケーションが図れます。出張・往診が可能な場合はその流れで出張できる旨をお伝えするのもよいでしょう。

大切なことは今店舗に来てくれるかどうかではなく、「また行きたい」「この店舗に行ってみたい」と思ってもらえることです。直接の売上にならないので意味がないように感じるかもしれませんが、コストをかけずに認知度アップができ、リピーター客の離脱防止にも役立ちます。

助成金や融資を活用して店舗を守りつつ、今できることをしっかりと取り組んでいきましょう。

出典元:
東京都防災ホームページ
ピップ株式会社 <緊急調査>新型コロナウイルス感染症予防の対策で 勤務状況や体調の変化は?

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