【子育て応援メソッド】子どもの成長のためにも自分自身を高めたい ヘア&メイクアップアーティスト 陶山恵実さん #2
雑誌や有名タレントさんを手掛ける人気ヘア&メイクアップアーティストの陶山恵実さんにインタビュー。
前編では、二児のママでもある陶山さんが、仕事と育児をどうやって両立させているかを伺いました。陶山さんを支えているのは、育児を全面協力してくれるご自身のお母さん。そして、個人というよりも「チームで仕事を受けているという所属事務所メンバーの意識の高さ」が重要なポイントでした。
後編では、お子さんの長所を伸ばすために自分自身を良い状態にもっていく方法や、ご家族で愛用されているヘア&メイクさん目線のスキンケアアイテムについて伺いました。
𠮟りすぎたら『おまけシール』で気持ちをセーブ
――お子さんは、ママがヘア&メイクの仕事をしていることについてどんなふうに言っていますか?
長女はとても喜んでくれています。「ママはモデルさんにお化粧してあげる人なんだ」。そう友だちに嬉しそうに言っていたところを、わたしの母が見かけたと言っていました。
――娘さんの髪の毛をやってあげたりしますか?
学校に行くときは髪を結んであげますが、それくらいですね。娘はいま、女子っぽいのがあまり好みではないらしいんです。学校はとりあえずスカートで行きますが、ふだんのファッションはスウェットにレギンスと動きやすさ重視。春休みには、週5で通うほど新体操にのめりこんでいます。筋肉を鍛えることに熱中していて、3本筋が入ったお腹を見るのが嬉しいみたいです。
小さい頃から、ひとつのことに集中する傾向があって、いないのかなと思うとずっと本を読んでいたり。マイペースなところがあって「あれしなさい、これしなさい」と言うと不機嫌になってしまうことがあります。
――そんなとき、ママとしてはどうされますか?
あまり細かいことを言わずに、ある程度は自由にさせるようにしています。でも、わたしがなにも言わずにいると、宿題や明日の準備などをしないまま、寝る時間になってしまうことも。娘は、その状態を目の当たりにして、泣き出してしまうこともあります。そんなふうに日々の経験を通して自ら学ぶことで、明日からの行動が変わればよいなと、日々期待しているところです。
――8才だと、まだ自分の気持ちを伝えるのも難しかったりしますよね。
4才でピアノを習い始めたことをきっかけに、子どもへの接し方についてはよく考えるようになりました。「ここはこう弾くんだよ」と事実を的確に伝えるだけでは、子どもはおもしろくなくて、だんだん弾きたくなくなってしまいますよね。親としては、上達してもらいたい気持ちはありますが、まずは楽しく弾くことがいちばん大事なんだと気づきました。仕事と育児では接し方を変えたほうがスムーズにいくということを学びました。
最近は、娘の自主性や主体性を尊重して、細かいことは言わず、手伝うことも最低限にしています。以前のわたしは、「忘れ物をしたら大変」とか「テストがあるから勉強させなきゃ」と先回りして、あれこれ準備をしていました。でも娘の成長を考えると、失敗することも、自分で考えて行動させることも大事ですよね。娘とわたしの関係的にも、あまり干渉しないほうが良好な関係が築けるなと感じています。
――息子さんとはどんなふうに接していますか?
息子は、感受性豊かで植物や虫などの自然が大好きな男の子です。道端に咲いている花を見つけて「きれいなお花だね」とか、「お月様がきれい」なんて言ったりします。小さい頃から夜泣きもないし、手のかからない子でした。
娘と息子とでは、性格も違えば食べ物の好みも違いますが、それぞれの良いところを伸ばしていってほしいなと思います。
――お子さんそれぞれの長所を伸ばすために工夫されていることはありますか?
子どもなにかに没頭しているときは、なるべくその時間を確保してあげたいと思います。そのために、忙しい日常の中でも、時間をかけるべきこととそうでないこととを区別して、メリハリのある生活を心がけています。ただ、わたしが疲れているときや時間がないときは、笑顔でいられなかったり「早くしよう」と急かしてしまうことも。本当は、いつも優しさで包みこんでくれる幼稚園の先生のようになりたいですね。
――幼稚園の先生ですか? ちょっと意外です!
母親の笑顔は大事ですよね。我が家では、叱りすぎたら『おまけシール』制度があるんです。子どもが本当にダメなことをしたら叱っていいのですが、「いま怒ったのは、わたしの気分が入ってしまったかも」とか「ちょっと叱りすぎたかもしれない」というときは、子どもにちゃんと謝って『おまけシール』をあげることにしています。
一日の最後に「今日もがんばったね」ともらえるシールにプラスされるものです。ママが失敗した日には2枚もらえるので、子どもたちは喜んでいます(笑)。パパはほとんど叱らないので、わたしが叱る役回りなんです。でも、このちょっとしたシール制度がストッパーとなって、家族の笑顔の時間もより増えたと思います。
好きな仕事より苦手な家事をしている自分をほめてあげたい
――家事や子育てで、楽しいとき・喜びを感じるときは?
子どもたちの成長を感じるときです。いま、ミヤマクワガタの幼虫を飼っているのですが、はじめて家に来た日には、「ようこそチョコンちゃん」って貼り紙をしていました。クワガタに名前をつけて、絵を描いて、二人で観察記録をつけています。大きくなったらこんなふうに成長するだろうと予想し、それを本のようにまとめたりして。子どもたちだけでそんなふうに行動しているところを見ると、成長を感じられてうれしいですね。
――逆に、大変なことはありますか?
家事全般があまり好きではないので、食器洗いも洗濯もヨッコラショなんです。また明日も、その次の日も、終わることのない家事が大変だなと感じます。これを楽しくできたらいいのに。
――リラックスできる時間はどんなときですか?
なにもやることがない状態がいちばんリラックスできます。仕事が入っていないときに、ヘアサロンに行ったり、まつエクつけたりとか。自分のためになにかしているときです。
園行事でバタバタしていても気持ちをうまく切り替えて撮影に集中
――ヘア&メイクさんとして、またママとしてご愛用のスキンケアアイテムはありますか?
子どもも夫も家族中でステムボーテ ローションを使っています。お風呂上りにこれだけ塗っておけば絶対乾燥しません。コロナ禍で手を洗う回数が増えましたが、ベタつかないので手洗い後にも塗っています。もう、ステムボーテ側が困るくらい家族みんなで愛用中です。
――食事で気をつけていることは?
新菱の「高濃度水素ゼリー」にハマっています。抗酸化作用で老化を抑えるといわれていて、タレントさんにも続けている方が多いアイテムです。これ、すごくおいしいんですよ。シュワシュワっとするから子どもたちにも大人気で、見つかると2日でなくなってしまいます。ROIのサロンでも販売しているのでおやつ代わりにたまに買うのですが、わたしはお通じがよくなりました。
――最後に、今後の目標を教えてください。
いまは、お受けした仕事のひとつひとつに真面目に取り組み、きっちり成果を出すことです。具体的に、その先になにがあるのかはっきりとは分からないのですが。子どもが手を離れて、自分がやりたいことが出てきたときに、いまの仕事をきちんとこなしていないと、そこに向かっていけないような気がするんです。
いま頂いているひとつひとつの仕事が、自分の今後を左右する相当重いものだと思うんですね。だから、前日に子どもの行事があってバタバタしていても、気持ちをうまく切り替えて、準備もしっかりして、集中して撮影に臨めるようにしたい。それを徹底してやっていきたいと思います。
わたしは、みんなをきれいにすることがわたしなりの社会貢献だと思っているんです。ヘア&メイク以外にほかには何の才能もないので、この道を極められたらいいですね。
陶山さんがよりよい育児をするために努力していることは
ヘア&メイクの仕事に真摯に取り組みながら、育児もがんばる陶山さん。陶山さんがよりよい育児をするために努力していることは以下の3つでした。
1.子どもの人格形成のためにも自分自身を高める
2.気分で叱ってしまったときは『おまけシール』でセーブ
3.ヘア&メイク視点のアイテムで家族の健康を維持
家族のために家事をするよりも、本当は仕事をしているときのほうが楽しい。そんなふうにインタビューに正直に答えてくれた陶山さん。それでも、早起きして家を片づけたり、怒りすぎたら『おまけシール』制度で自分をセーブしたり。自分、仕事、お子さん、どれとも真摯に向き合う陶山さんのスタイルが浮き彫りになりました。
▽前編はこちら▽
【子育て応援メソッド】個人ではなくチームで仕事を受けるからピンチに強い ヘア&メイクアップアーティスト 陶山恵実さん #1>>
撮影/古谷利幸(F-REXon)
取材・文/永瀬紀子