子育てのために仕事を小休止…のはずがブランク10年。働く姿を子どもに見せたくて復職! 訪問美容師 山田紀子さん #1

美容業界で働きながら子育てに奮闘しているワーママ・ワーパパを前編と後編にわたってご紹介するこの企画。今回は訪問美容師として介護施設などを訪問して施術をしている山田紀子さんにお話を伺いました。

山田さんはお子さんがすでに高校と小学校に通っている先輩ママなのですが、ブランクを克服して夢を実現する姿勢は、大いに参考になります。

前編では仕事を続けたくても続けられなかった理由と、ブランクをどうやって克服したのかをご紹介します。

お話を伺ったのは…

訪問美容師
山田紀子さん

高校卒業後、いったん社会人を経験。どうしても美容師になる夢を諦めきれず横浜市立横浜商業高等学校別科に進学し直し美容師免許を取得。卒業後、ヘアサロンに就職し、4年後にスタイリストデビューを果たす。25歳でパートナーと知り合い、結婚。妊娠が分かり、いったん仕事をお休みするはずが、ブランクは10年という長期間に。10年前に美容師として復帰し、8年前から介護施設や病院、個人宅を訪れて施術をする訪問美容 Greenのケアスタイリストとして復職。

家事も育児も仕事もできることを娘に伝えたくて美容師として復帰!

山田家のお子さんたち。今はすっかり大きくなり、
二人の男の子は高校生、女の子は小学生に

――パートナーは山田さんと同じ美容業界の方ですか?

まったく業界の違う大工です。「黙って俺についてこい!」という性格に惹かれて結婚しました。結婚するとき、彼から「仕事は辞めないで続けてくれ。でも、俺は家事一切できないから」と宣言されてしまったんです。その当初は、それがどんなに大変なことか分からなかったので、「そんなものか」と納得してしまったんですよね。

――妊娠が分かってから、お仕事はどうなさったんですか?

つわりがひどくて、水すら飲めない状態だったんです。長男を産んでから2人目、3人目と授かったのですが、仕事はもちろん家事もできず、ほぼ寝たきり。2人目、3人目の時は子どもを姑に預けて、実家に戻っていました。仕事に復帰したとしても、つわりを理由に仕事を休んだり早退するのがイヤだったので、3人目を産んでから復帰しよう! と決めていました。が、運の悪いことに、この年代は待機児童が多いときで、末の娘が1歳になる頃からいくつも保育園に応募しましたが、すべてハズレ。早く復職したかったのですが、思うようになりませんでした。

――復職するのは美容師として…ですか?

実は、1人目と2人目のときは、また美容師として復帰する…とは考えていなかったんです。働けるなら、「事務職でも何でもいい」と思っていました。それが3人目が女の子で、「母親になっても家事、育児、仕事はできる!」という姿を見せたい気持ちが強くなったんですね。美容師として復職しよう! と心に決めました

中学生の頃からなりたかった「訪問美容師」を目指す

休日は娘さんと買い物をしたり工芸を体験したり、
二人っきりの時間を過ごすことが多いとか

――山田さんが美容師としての復帰を考えたのが35歳。一番上のお子さんが8歳で、末の女の子が2歳のときですね。

2人の男の子はまだ小学生の低学年で、まだまだ手のかかるときでしたね。すぐ美容師として働けるか…というと、まったく自信がありませんでした。パーマにしろカットにしろ、私が現役で働いていた頃より技術が進歩していますから。10年というブランクをどうやって埋めるかが悩みの種でした。

――家事と育児の時間が取れるように、訪問美容師を目指したのですか?

実は私、中学生の頃から訪問美容師を目指していたんですよ。ドキュメンタリー番組か何かで、介護施設で暮らすお年寄りに口紅を塗ってあげたら、すごく喜んで元気になった様子を紹介していました。「私もこんな風にお年寄りを元気にしたい!」と思っていました

――ブランクを解消するために、どうしましたか?

末の子を保育園に預けていたので、お迎えの時間までに仕事を終えなくてはいけません。でも、美容師としての仕事は不安だらけ。それで思い立ったのが、パートのアシスタントとして出直すことでした。その当時は学校を出たばかりの子たちと一緒に働いていたんですよ。

――年齢差があると働きにくくありませんでしたか?

みんないい人たちばかりで、すごく働きやすかったですよ。子どもがいることで、いろいろ気を遣ってもらうこともありました。

――アシスタント業務だけで、ブランクを埋めるのは難しいですよね?

ブランクのある人を対象にした講習会もあるので、こうした勉強会にも参加しました。1年間はアシスタントとして働いて、2年目に訪問美容師として復帰することができました。

忙しいときは長男も動員。一族総出で家事と育児をサポート

山田家のメンバーと家事と育児をサポートしてくれる義姉一家

――訪問美容師になったとき、長男は10歳、次男が8歳、末のお嬢さんが4歳ですね。

末の子はまだ保育園に預けていた時期ですね。保育園のお迎えに間に合わないときは、近所に住んでいる姑や義姉にお願いしていました。どうしても出勤しなければならない日に娘が熱を出したときは、実家の母に家まで来てもらって面倒をみてもらったこともあります。

訪問美容師は車で移動しますが、渋滞に巻き込まれることも。突発的なことなので、夫も姑も義姉も都合が合わなくて、長男にお迎えを頼んだことがあります(笑)。10歳を過ぎれば、保育園もお迎えを認めてくれるんですよ。長男には2~3回、お迎えに行ってもらったと思います。

――サポートしてくれる人が多いと心強いですね。

つわりが辛くて私が実家に戻っていたときも、姑が夫と子どもたちの世話をしてくれたり、義姉が幼稚園の送り迎えをしてくれたりしていたので、本当に助かりました。

――娘さんに働いている姿を見せたくて復帰しましたが、何か言われましたか?

少し前まで「私も美容師になりたい」と言っていたので、すごく嬉しかったのですが、今は家具職人になりたいそうです。ちょっと寂しいですね(笑)。

――息子さんたちはいかがですか?

彼らは何も言わないですね。今までずっと一緒にいた母親が、ある日突然働き始めて、寂しい想いをしたかもしれません。子どもたちの寂しさは埋める意味でも、働き始めた当時から、晩ご飯は家族みんなでとるようにしています。この家族団らんの時間をずっと大切にしています。

山田さんが家庭も育児も仕事も諦めなかったコツは

3人のお子さんを育てながら、中学生の頃から夢見ていた訪問美容師になった山田さん。夢を叶えるためのコツは以下の3つでした。

1. 目標を決めたら何歳になってもあきらめない

2. ブランクに不安を感じたら、講習会に参加するなど自信が持てるまで学び続けること

3. 忙しいときは子どもを含めてサポートをお願いする

娘を授かったのを機に、中学生の頃からずっと憧れていた訪問美容師への道を歩み始めた山田さん。後編では家事と仕事の両立について伺います。

1
2

Salon Data

この記事をシェアする

編集部のおすすめ

関連記事

近くの美容師求人をリジョブで探す

株式会社リジョブでは、美容・リラクゼーション・治療業界に特化した「リジョブ」も運営しております。
転職をご検討中の場合は、以下の地域からぜひ求人をお探しください。

関東
関西
東海
北海道
東北
甲信越・北陸
中国・四国
九州・沖縄