【子育て応援メソッド】娘3人の子育ては帰宅後3時間が勝負! ヘアメイク 井上祥平さん #1

美容業界で働くワーママ・ワーパパたち。子育てには目に見えない細かなお世話もあり、時間に追われている人も多いと思います。そんな多忙なママ・パパに、仕事と育児を両立するためのコツをインタビューする「子育て応援メソッド」。今回、企画初のパパ登場です。

前回、フリーランスヘアメイク・榛沢麻衣さんをご紹介しましたが、同業のご主人がご飯担当とお伺いし、パパが作るご飯を見てみたいという気持ちがむくむくと。そこで取材をお願いしたところ、快くオファーを受けていただき、今回ヘアメイクアップアーティスト・井上祥平さんのインタビューとなりました。ご飯の話は後半でたっぷりとお伺いすることにして、前半では双子を含む3人の娘さんのパパぶりをご紹介します。

夫婦で朝早い仕事のときはスーパー助っ人が登場

――現在、どんなお仕事をされていますか?

「テレビ出演の際のタレントさんのヘアメイクの仕事がメインです。あとは広告、CM、雑誌の撮影がときどき入ります」

――フリーランスになって何年目ですか?

「14年目になります。ヘアメイクアップアーティストの山本浩美さんに師事後、2006年にフリーランスになり、翌年現在の事務所nude.に所属しました。タレントの市川紗椰さんに施したメイクが社長の目に留まり、紗椰さんとお仕事をしたその日のうちに連絡をいただいたんです。クレームかな? と一瞬ヒヤッとしましたが、仕事の依頼をいただけて。次の現場に社長が現れ、事務所に入らないかと誘っていただきました。紗椰さんとは本当に運命的な出会い。それがなかったらここまでがんばれたかどうか分からないです」

――フリーになる前は美容師をされていたのですか?

「はい。地元の福岡で4年間サロンワークをしていました。高3の夏休みに進路指導の先生の行きつけだった美容室でアルバイトを始めたんです。そこの息子さんが東京でヘアメイクをされていて、地元でメイク講習をするために東京から戻っているときにお話する機会があり、「アシスタントがやめたから、お前やってみるか?」と言っていただき、当時からヘアメイク志望だったので二つ返事で東京に出てきました」

――井上さんは、よいタイミングで出会いがありますね。奥様の榛沢さんとの出会いは?

「初めて会ったのは、ヘアカタログの撮影現場です。いろんなサロンの美容師さんがヘアを作って、メイクだけ担当する仕事があって、そこで出会いました。その後、お互いに女医さんのヘアメイクを担当していたので、テレビの収録で2週間に1回のペースで顔を合わせるようになったんです。楽屋が同じで、好きなゲームやお酒の話をするようになり、じゃあ飲みに行こうかということになりました」

――ご結婚されたのはいつですか?

「4年前です」

――美容師さん同士のカップルはときどきお会いしますが、フリーのヘアメイクさん同士のご夫婦はあまりいらっしゃらないのでは?

「そうですね。僕も自分たち以外には知らないですね」

――同業者同士のメリットってどんなところですか?

「仕事を理解してもらえるところです。子どもが3人いるので、お互いのスケジュール確認がとても重要になりますが、テレビのロケなら朝早いな、取材なら数時間で終了、CMだと長丁場になるかなとか、なんとなく相手の仕事内容が想像できます。仕事内容によっては助っ人の手配が必要になるので、共有アプリに仕事の予定が入ったら、それを見てじゃあ自分はどう動こうと考えておくようにしています。撮影が押して帰宅が遅くなっても、まぁ仕方ないよねで済みますし。

現場での『あるある話』も1から10まで話さなくても共感できるところもいいですね。

それから、担当しているタレントさんやスタッフさんは女性が多いのですが、そういう方たちとの飲み会も『いってらっしゃい』と送り出してくれて、へんな詮索をされないのもありがたいです」

――榛沢さん、さっぱりしてそうだし(笑)

「そうですね。『浮気したら終わりだからね』とは言われてますが(笑)」

――押さえるところはしっかり押さえていらっしゃるんですね(笑)。逆に同業者同士のデメリットはありますか?

「お互い仕事が不規則なので、ふたりの予定が重なると大変ですね。例えば、ふたりとも朝が早い仕事だと、保育園の送りどうしようとか…」

――そんなときはどうされていますか?

「奥さんの妹さんに来てもらっています。奥さんの人柄もあって、まわりがよく手伝ってくれるんですよ。実家が九州と千葉で親に頼れないので、近くに住んでいる妹弟や友達には本当に助けてもらっています。そのお礼としてご飯に誘ったりして、少しでも恩を返せるように心がけています」

仕事のオファーは時間の確認が必須

――お子さんひとりだったらなんとかなりそうですが、3人だと手が回らないですよね。

「そうなんです。とにかく手が足りなくて。食事、着替え、お風呂、トイレとまだまだ大人の手が必要ですが、なにせ子供の人数のほうが多いので…。下の双子にご飯を食べさせているときに、お姉ちゃんに『トイレ行きたいー!』なんて言われるので本当に大変です(笑)

この前、熱があって保育園に行けない子ひとりだけとお留守番したのですが、ひとりってこんなに簡単なのかって思いました。まあ、ひとりめのときは、それだけでもいっぱいいっぱいでしたが…」

――3人同時ですもんね! お子さんはたくさん欲しかったのですか?

「奥さんとは『ふたりは欲しいね』と言っていました。2回目の妊娠が分かって、産婦人科から帰ってきた奥さんに『双子かもしれない』と聞いたときは、思わず笑ってしまいました。僕の先輩にも双子のパパがいるのですが、そこもお姉ちゃんがいるので子ども3人なんです。「大変ですね」なんて軽く話を聞いていましたが、双子の妊娠が分かってすぐその先輩に相談しました。そしたら、こんなときはああしたほうがいいとかアドバイスをたくさんくれて、双子グッズもたくさん譲ってくれました」

――頼もしい先輩がいるんですね。3人のパパの日常ってどんな感じなんですか?

「保育園のお迎えがだいたい夕方6時。下の双子は夜9時には寝せるようにしているので、3時間ですべてのことをやります。ご飯食べさせて、お風呂に入れて、スキンケアして、歯磨きして、ちょっと遊ばせて、寝かしつけまで」

――1日のタイムスケジュールを教えてください。

――パパになってお仕事に変化はありましたか?

「時間を気にするようになりましたね。仕事のオファーがくると必ず『時間は?』と確認します。保育園の送り迎えの時間からはみ出すときは、一旦奥さんに連絡して『こういう仕事があるんだけど、受けていいかな?』と相談をして、OKならマネージャーに連絡をします。以前は依頼のある仕事はなにも気にせず受けていましたが、今は時間の確認が必須です」

――奥さんも調整がつかない場合はどうされていますか?

「さきほどのスーパー助っ人たちにお願いします。そこも調整がつかない場合は、ヘルパーさんを頼むか、奥さんががんばります。奥さんのほうは、現在の子育て状況を分かってくれている編集さんやライターの方から仕事が入ることが多いので、無茶な仕事はほぼありませんが、僕のほうが不規則で」

――パパになったことが仕事に活かされていると思うことはありますか?

「タレントさんやモデルさんも一緒に歳を重ねてきて、ママになっている方もいるので、子育てという共通の話題ができたことはよいと思います。以前は話を聞くだけでしたが、自らも人の親になったことで、仕事そのものというよりそういった会話ができることで、人間関係がよりスムーズになることはありますよね」

パパの散髪に3人娘の行列ができる

――パパになってから、ヘアメイクの仕事をしていてよかったと思うことは?

「子どもの髪を切ってあげられるのはよかったですね。爪を切るのと同じ感覚で、前髪中心にささっと3分くらいで終わらせます。おとなしくやらせてくれますよ。2ヶ月に一回くらいですが、『わたしもやりたい』と列をつくって待っていてくれますね。それと、ヘアメイクというかフリーランスでよかったことは、いまコロナ禍でリモート勤務の方が多いかもしれませんが、普通のパパよりは子どもと接する時間が長いことですね。接する時間が長いと、大変なこともありますが(笑)」

――「パパは接する時間が短いから分からないんだよ」と言われるパパさんも多いと思いますが、そうじゃないですもんね?

「3人子どもがいるので、がっつり協力しないと子育てできないんです。そうじゃないと、奥さんがパンクしちゃいますから」

井上さんが仕事と育児を両立するためのコツは

3人のお子さんのパパである井上さんは、保育園の送迎はもちろん、お風呂や寝かしつけまでママと同じように育児をこなしています。仕事と育児を両立するためのコツは次の3つでした。

1.お風呂、食事づくり、送迎なんでもやる

2.ママがパンクしないように気遣う

3.お互いに仕事を受ける前にスケジュール確認

後編では、愛情たっぷり! 栄養バランスよし! プロ顔負け! のごはんの話をお伺いします。

▽後編はこちら▽
【子育て応援メソッド】子どものご飯は塩分控えめ、風味よく ヘアメイク 井上祥平さん #2>>

撮影/古谷利幸
取材・文/永瀬紀子

Profile

井上祥平さん

TRAVOLTA
※3月より所属先移籍

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