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介護・看護・リハビリ 2022-03-17

時間がかかってもいい。子どもたちの成長こそやりがい/介護リレーインタビュー Vol.32【児童発達支援管理責任者 福川紀代美さん】#2

介護業界に携わる皆様のインタビューを通して、業界の魅力、多様な働き方をご紹介する本連載。今回お話を伺ったのは、放課後等デイサービスを行う「はるはうすkids」の管理者であり、児童発達支援管理責任者の福川紀代美さん。

前編では、福川さんがこの仕事に就いたきっかけや、心がけていることについてお話を伺いました。後編では、この仕事のやりがいや事業所の管理者としてお話、今後の目標について伺います。

目標に向かってがんばる子どもたち。その成長を見るとうれしい

――お仕事でのやりがいはなんですか?

やっぱり、子どもたちの成長を見ることでしょうか。ここで個別課題として立てている目標を、親御さんから「お家でも練習しています」とか、「この前できるようになった〇〇、お家でも実践できたんです」とか、そういうお話を聞くとすごくうれしいです。あと、たまに「お家ではできないのに、ここならできるんです」っていうようなことも聞きますね。「あらあら……」と思いながらも、少しうれしいです(笑)。「ここでなら頑張れる」と思ってもらえる場所なんだなと。

ここに通う子どもたちは、一つの目標に半年とか1年とか、時間をかけて取り組みます。その分、達成できた時の喜びはひとしお。やっぱりその喜びは何ものにも代えがたいですね。

――子どもたちと一緒になって喜んでいる姿が目に浮かぶようです!

あと、嬉しいというか、ホッとするのは、怒っちゃった後もちゃんと通ってくれること。私がすごく怒っちゃった日の次の登校日とか、「嫌がらずに来てくれるかな……」って少しドキドキしますが、元気に来てくれると「あ〜よかった」と安心します(笑)

管理者は孤独!? スタッフ同士のコミュニケーションの難しさ

――逆に、大変だなと思うことはありますか?

そうですね……大変というか、難しいなと思うのはスタッフ同士のコミュニケーション。私は今、管理者という立場ですが、大人も子どももその人に合わせて言葉を変えて説明したり、伝えたりするのは同じ。むしろスタッフだと、私の場合は人生の先輩にあたる人が多いので、言葉選びとかちょっと慎重になりますね。ただ、ここの場合は代表が常にそばにいて一緒に働いてくれているので、何かあったら相談したり頼ったりできるので助かります。

大きい会社だと大変ですよ! 以前働いていた会社は、本社が上司にあたるので、困ったことやトラブルが起きて相談したところで、実際に現場を見ていないからなかなか理解してもらえないんですよね。その時私は管理者ではなかったですが、はたから見ていて「管理者は孤独だ……、大変だ……」と思っていました。

――たしかに……。大人をまとめるのは、子どもをまとめるより大変かも。

馴れ合いもよくないですからね。管理者という立場上、はっきりと伝えることも大切だと思います。

そのためにも、スタッフの小さな悩みにもすぐ気づいてあげられるようになりたいのですが、これがなかなか難しい。私自身この業界が長いので、経験が浅いスタッフがどこで何に悩んでいるかがわからなくて……。それが私の今後の課題ですね。

子どもたちのためにも、スタッフ育成のためにももっともっと福祉の知識を身につけたい

――「今後の課題」というお話が出ましたが、そのための目標はありますか?

まずはもっともっと福祉の知識を身につけなきゃなと。子どもたちのためはもちろん、スタッフ育成のためにも、いろんな福祉の資格にチャレンジしたいと思っています。

最近、経験の浅いスタッフが入ることって、私にとっても施設にとっても、いい刺激になっているなとすごく感じるんです。その人に分かりやすく説明するためには、私も正しい知識を身につけなければならないので、自然と努力するんですよね。知識が深まれば、子どもたちにもよりよいサポートをしてあげられますし。

仕事をしながら資格の勉強をするのはなかなか大変で、私は高卒なので受験資格のハンデもあるんですが……。自信を持ってこの仕事と向き合うためにも、がんばりたいと思います!

――ちなみに、この仕事に向いている人はどんな人でしょう?

意外とみんな向いていると思いますよ。知的・発達障害を持った子どもに「何をするかわからない」「怪我とかさせない?」「なんとなく怖い」って偏見を持っている人が多いのですが、そもそもそれは大きな誤解。どうしても事件とか事故が起きた時に、「知的・発達障害の人が〜」って報道されることが多いので、そこだけ一人歩きしてしまっているんだと思います。ちゃんと理解すれば、全くそんなことはないとわかりますし、むしろその理解こそが子どもたちの成長に繋がるんです。

例えば、ここの近隣には商店街があるのですが、そこの人たちはみんな理解があってあたたかい。子どもたちがおつかいに行くといつも見守ってくれていて、子どもたちもそこでのコミュニケーションを楽しんでいます。すごくありがたいですよね。

――素敵な交流ですね!

はい。なので、子どもが好きな人なら大丈夫! あと、あえていうなら「気長な人」でしょうか。1つの目標に時間をかけて取り組んだり、1つの問題に時間をかけて答えを出す子たちなので結果はすぐに出ませんが、子どもの反応をゆっくり待てる人にはすごく合っていると思いますよ。


子どもたちのサポートだけでなく、管理者としてスタッフ全員に気を配る福川さん。何事も前向きに努力され、勉強熱心なお姿に頭が下がる思いです。また、知的・発達障害を持った子に対する偏見のお話には胸が痛みました。周りの理解こそ子どもたちの成長につながる、というのは本当にその通りだと思います。商店街のみなさまとの交流を聞いて、心があたたかくなりました。
貴重なお話をありがとうございました!

取材・文/児玉知子
撮影/喜多 二三雄

Information

はるはうすkids
住所:東京都大田区東六郷2丁目9-16阿部ビル1F
TEL:03-6715-7366

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