「美容が好き」この気持ちが困難を乗り越える原動力に【介護リレーインタビューvol.67/美容室かみ・ゆ 小松貴美子さん】#1
介護業界に携わる皆さまのインタビューを通して業界の魅力、多様な働き方をご紹介する本連載。
お話を伺ったのは…
美容室かみ・ゆ 小松貴美子さん
高校在学中に通信教育で美容師免許を取得。地元の美容室でのインターンを経て就職。同じサロンに勤めていた先輩美容師の小松信行さんと出会い結婚。別のサロンに転職後、その店舗を信行さんと引き継ぎ、2000年に現在の場所に移転。通常のサロンワークと並行して、夫婦で病院への訪問美容、発達障がいの子どものカットを行っている。
中学生の頃から美容師になりたかった小松貴美子さん。念願の美容師となり、夫となる信行さんと出会い、仕事をしながら4人のお子さんを育て上げました。前編では4人の子育てと仕事をどのように両立させたのか、店舗を引き継ぐと同時にご夫婦で働くようになったことなどを伺います。
転職先の美容院から「跡を継いでほしい」とのお願いが!

中学生の頃から美容師を目指し、夢を叶えた貴美子さん。
――貴美子さんは美容師志望だったんですか?
子どもの時から髪をいじってもらうのが好きで、中学を卒業したら美容師になろうと思っていました。でも母から「高校は出ておきなさい」と言われて。
――早くから進路を決めていたんですね。
通っていた高校の先生から、美容師になるんだったら高校に通いながら通信教育で勉強する方法もあると教わったんです。インターン期間を含めても専門学校に通学している生徒と半年遅れくらいで受験資格が取れると聞いて、挑戦しました。
――Wスクールですね。
高校を卒業する少し前から地元の美容室で1年間インターンとして働いて美容師免許を取りました。その後は、そのままその美容室に就職しました。
――パートナーの信行さんとはどちらで出会ったんですか?
私が最初に就職をした美容室です。地元ではけっこう大きな美容室で、本店と支店があったんですよ。夫は本店で美容師として働いていました。
――貴美子さんは?
最初の頃、私はもっぱら下働きです。ロットを洗ったりタオルを洗濯したり。本店と支店を自転車で行ったり来たりしていました。そのときに夫と出会いました。
――ご結婚なさって、お二人とも同じ店舗にお勤めだったんですか?
夫はそのままサロンに残って、私が転職しました。2年ほど経って、転職先のオーナーから「引退を考えているけれど跡継ぎがいないから、あなたに店を託したい」と言われたんです。
――そんなにお年を召した方だったんですか?
たぶん5~60代だったと思います。お店はとても繁盛していて、このまま閉じてしまうのはもったいないと思っていました。それで夫と相談してお店の権利を買い取ることに決めました。
実家の母&お客さまの手を借りて、子ども4人を育てあげる!

お客さまから先生と呼ばれているパートナーの信行さん。貴美子さんはママさんと呼ばれているそう。
――かなり大きなお買い物だったのでは?
そうですね。もちろん私一人では切り盛りできないので、夫もサロンを辞めて二人で始めました。最初のうちは前オーナーが「私のお客さまは私が担当するから」っておっしゃっていたんですけど、ひと月くらいですべて任されるようになってしまいました。
――お子さんは?
長女が生まれたとき、母から「私は手伝わないからね」って言われていたので、保育園を探したんですけど、その当時は母が近所に住んでいると預かってもらえなかったんです。そのことを伝えたら「仕方ないわね!」って(笑)。長女は母に育ててもらったようなものです。
――頼りになりますね。
2年も経たないうちに次女が生まれて、そのときは「信じられない!もう面倒は見ない」と言われてしまいました(笑)。
――え~! 働きながらお子さん二人の子育てはキツかったでしょう?
その当時の店には着付け用の和室があったんです。それで次女が赤ちゃんのときは店につれてきて和室に寝かしておきました。
――むずがったり、泣いたりしませんでしたか?
そんなときはお客さまがあやしてくださったんですよ。私もおんぶした状態で接客することもありました。次女はお客さまに育てていただいたようなものです(笑)。
――アットホームな雰囲気なんですね。
6年後に長男が生まれたときは、ちょうど父が定年退職をする時期と重なったんですよ。「もう孫の面倒は見ない!」と母から言われていましたが、父の世話を焼くより孫の面倒を見る方が良かったんでしょう(笑)。おかげで長男の子育ても母の手を借りつことができました。
――お母さまは大活躍ですね(笑)。
2年後に次男が生まれたときは、さすがに「信じられない!」と言われたので、次女と同じようにお店に連れて行っていました。
――上のお子さんは小学校に上がったとは言え、まだ手がかかりますよね。
時短勤務をしていました。子どもが帰ってくる頃にいったん家に帰って、子どもたちを連れて実家に行くんです。実家で夕ご飯を食べてお風呂に入れてもらっていました。その日のお店の混み具合で、子どもたちを実家に残して店に戻ることもありましたね。
――4人の子育てがあって、仕事を辞めたいと思った時期はありますか?
それはなかったですね。美容師として働くことが好きだったんでしょうね。子どもが小さいときは慌ただしい毎日でしたが、しんどいとか辛いとか思いませんでした。
中学生の頃からの夢だった美容師になり、同じく美容師のパートナーとお二人で店を切り盛りするようになった貴美子さん。4人のお子さんにも恵まれ、慌ただしいながら充実した毎日を送っている様子をご紹介しました。
後編では、相模大野駅近くにあったお店が立ち退きを迫られて現在の場所に店舗を移転するまでのいきさつ、訪問美容を始めるようになったきっかけ、発達障がいのある子どもたちに携わるようになった理由などをご紹介します。
撮影/森 浩司












