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特集・コラム 2022-12-08

生活相談員に資格なしでも就職できる?必要な条件や資格、勤務場所について紹介

「生活相談員は資格なしで働けるのだろうか?」と疑問に感じている方もいるでしょう。

生活相談員は介護者やその家族から意見を聞き、介護・福祉施設への通所や入所サポートをしたり、介護スタッフと関係機関との間をとりもったりする仕事です。

この記事では、生活相談員の具体的な仕事内容と資格なしでも働けるかについて解説。働くために求められる資格要件や働ける場所について紹介します。

生活相談員になりたいと考えている方は、参考にしてみてください。

生活相談員の仕事内容とは?資格なしでも働けるのか

生活相談員は介護・福祉の現場でサービス利用者やその家族の相談を受けたり、通所・入所に関わる業務に従事する仕事です。

事業所が提供する介護・福祉サービスについて説明をし、問題や不明点があれば、その都度、利用者の相談に乗っていくのが主な業務だといえます。

また、介護・福祉サービスに関係のある事業所や人との間をとりもち、介護・福祉サービスを円滑に提供する体制づくりをしていくのが仕事です。

生活相談員になるには原則として資格要件が求められる

生活相談員として働くためには、原則として何らかの介護・福祉系の資格要件を求められます。資格要件は自治体によって異なりますが、とくに以下の3つの資格が一般的です。

・社会福祉士
・精神保健福祉士
・社会福祉主事任用資格

これらを含めた資格要件になる6つの資格については、以下の記事でも紹介しています。

生活相談員になるために必要な6つの資格要件|生活相談員に向いているのはどんな人?

社会福祉士

社会福祉士とは、心身に何らかの障害があり、日常生活に困難をきたしている方の相談業務をおこなう国家専門職です。受験要件を満たすためには、所定の教育機関や養成施設での研修を履修したり、実務経験を積んだりする必要があります。

たとえば、福祉系の4年生大学で基本科目を履修した方は、短期養成施設で6ヶ月のカリキュラムを修了すれば、社会福祉士国家試験を受験可能です。

その一方で、大学や短大で学習した経験がない方でも、相談業務に4年以上従事すれば、あとは一般養成施設で1年以上のカリキュラムを修了すれば受験可能となります。

社会福祉士の仕事内容に関しては、以下の記事も参考にしてみてください。

社会福祉士とはどんな仕事?活躍できる職場や国家資格の取り方を紹介

精神保健福祉士

精神保健福祉士とは、精神的な障害を抱えている方の相談やサポートをおこない、利用者の社会復帰を支援する国家専門職です。

基本的な受験要件は、社会福祉士と同じです。ただし、すでに社会福祉士であれば短期養成施設で6カ月以上のカリキュラムを履修することで、すぐに精神保健福祉士国家試験を受けられるという点が相違点だといえます。

精神保健福祉士の仕事内容に関しては、以下の記事も参考にしてみてください。

精神保健福祉士とは? 求められる役割を紹介|精神保健福祉士の仕事内容を解説

社会福祉主事任用資格

社会福祉主事任用資格とは、都道府県・市区町村に配置され、社会福祉のサポートをする業務に従事する仕事に就くための資格です。社会福祉主事任用資格を取得するためには、以下の条件のどれかを満たす必要があります。

・大学等で社会福祉に関する科目を3つ以上修める
・全社協中央福祉学院社会福祉主事資格認定通信課程、もしくは日本社会事業大学通信教育科の通信課程を1年履修する
・指定養成機関を修了(22科目1,500時間以上)
・都道府県等研修会を修了(19科目279時間以上)
・社会福祉士・精神保健福祉士

社会福祉士と精神保健福祉士の資格を有している場合は、無条件で取得できるのが特徴です。各都道府県や市区町村において、公務員として勤務したい方は取得しておきたい資格だといえます。

生活相談員になるために求められる条件は?

生活相談員になるための要件は、各都道府県・市区町村によって異なります。この章では、いくつかの都道府県の例を見ながら、具体的にどのような条件が求められているのかを確認しておきましょう。

東京都|介護サービスの提供プラン作成に1年以上従事するなど

東京都では、生活相談員の資格要件のうち、「同等以上の能力を有する者」の具体例を以下のように明示しています。
・介護支援専門員
・特別養護老人ホームにおいて介護の提供に係る計画の作成に関し、1年以上の実務経験を有する者
・老人福祉施設の施設長経験者
・1年以上の実務経験と介護福祉士の資格を有するもの
実務経験として認められているのは、介護計画の作成についての経験がある「特別養護老人ホームにおいて介護の提供に係る計画の作成に関し、1年以上の実務経験を有する者」と、介護計画の作成や処遇などに専門的な知識や経験がある「老人福祉施設の施設長経験者」です。

北海道|介護福祉士・介護支援相談員

北海道では、介護支援専門員、もしくは介護福祉士の資格保有者のみが生活相談員として働くことができます。資格をもっていない方は、業務経験の有無は関係なく、北海道では生活相談員として働けないので注意しましょう。

大阪府|対象サービスによって資格要件が変わる

大阪府では、従事する事業所のタイプによって、要求される資格要件が変わります。

・通所介護・介護予防通所介護:社会福祉主事、社会福祉士
・短期入所生活介護・介護予防短期入所生活介護:精神保健福祉士
・介護老人福祉施設:介護福祉士、介護支援専門員

資格を保有していないと生活相談員にはなれず、なおかつ、職場のタイプによって、資格要件が異なる点は覚えておきましょう。

福岡県|社会福祉施設等で3年以上勤務し又は勤務したことのある者

福岡県では、生活相談員の資格要件のうち、「同等以上の能力を有する者」を以下のいずれかに該当する者として明示しています。
・介護福祉士
・介護支援専門員
・社会福祉施設等で3年以上勤務し又は勤務したことのある者
実務経験として認められているのは、「社会福祉施設等での3年以上の勤務」です。ここでの「社会福祉施設等」は、「病院、診療所、指定特定施設、介護老人保健施設、指定居宅介護支援事業及び指定介 護予防支援事業」と、「社会福祉法第2条に定められる社会福祉事業」のことを指します。
なお、「社会福祉法第2条に定められる社会福祉事業」とはおもに以下のような施設があげられています。
・生活保護法に規定する救護施設など
・児童福祉法に規定する乳児院・母子生活支援施設・児童養護施設など
・老人福祉法に規定する養護老人ホーム・特別養護老人ホームなど
・障害者自立支援法に規定する障害者支援施設など
・売春防止法に規定する婦人保護施設など
指定されている施設はほかにも多数あるので、気になる方は福岡県のホームページをご覧ください。

沖縄県|社会福祉士や介護福祉士などの有資格者のみ

沖縄県では、社会福祉士や社会福祉主事任用資格、精神保健福祉士のほか、介護福祉士や介護支援専門員が生活相談員として認められています。介護福祉士や介護支援専門員に関しては、平成22年7月1日から正式に資格要件として定められました。

生活相談員が働ける介護・福祉施設

生活相談員が働ける場所は多岐にわたりますが、主要な施設を挙げると以下の通りです。

・介護老人福祉施設
・介護付き有料老人ホーム
・デイサービス

それぞれの施設の特徴や生活相談員の配置基準について知って、生活相談員として働くイメージを作ってみましょう。

介護老人福祉施設

介護老人福祉施設は、別名で「特養」とも呼ばれ、自宅で生活するのが難しい要介護者の身体介護や生活援助、健康管理を一括しておこなう施設です。

個室型やユニット型など、多種多様な施設タイプがあります。生活相談員の配置要件は、利用者100人につき常勤の生活相談員が1人です。

介護付き有料老人ホーム

介護付き有料老人ホームは、自治体から「特定施設入居者生活介護」の認定を受けた介護施設です。身体介護や生活援助、施設独自のケアプランやレクリエーションが催されるのが特徴だといえるでしょう。

施設職員が介護サービスをおこなう一体型と、外部スタッフが介護サービスをおこなう外部サービス利用型の2タイプが存在します。

生活相談員の配置基準は、要介護者100人につき生活相談員が1人です。

デイサービス

デイサービスは、日帰りで食事や入浴、機能訓練などをおこなう介護施設です。介護者のストレス解消や、その家族の介護負担を軽減する役割をになっています。

事業所の規模によって、1名以上の専従の生活相談員を配置しなければいけません。

実務経験を積むことで無資格でも生活相談員を目指せる

法律上は資格なしでも、実務経験を相当に積んでいる方であれば「社会福祉法第19条第1項各号のいずれかに該当する者又はこれと同等以上の能力を有すると認められる者」の「同等以上の能力を有すると認められる者」として認める自治体もあります。

具体的な要件については各自治体によって定められているルールが異なるので、生活相談員として働く予定の都道府県のホームページを確認しておきましょう。

生活相談員になるための方法や条件を知って、就職・転職を目指そう!

この記事では、生活相談員の仕事や無資格でも働けるかどうか、必要となる資格や実際の事例、勤務先の施設ごとの特徴を紹介しました。

生活相談員として働くためには、原則として資格が必要です。もしくは、それ相当の実務経験を積んでいることが求められるでしょう。

具体的に資格なしでも働けるかどうかは、各自治体の定めている基準によるので、気になる施設がある都道府県の公式ホームページを確認するのがおすすめです。

自分が働きたい福祉・介護施設ではどのような条件で生活相談員を募集しているのかを知って、就職・転職に向けて動き出しましょう。

引用元
公益財団法人 社会福祉振興・試験センター:社会福祉士国家試験
公益財団法人 社会福祉振興・試験センター:精神保健福祉士国家試験
厚生労働省:社会福祉主事任用資格の取得方法
札幌市公式ホームページ:生活相談員の資格要件について
大阪府公式ホームページ:通所介護等における生活相談員の資格要件について
東京都:通所介護及び短期入所生活介護事業所における生活相談員の資格要件について
福岡県:生活相談員の資格要件について
沖縄県公式ホームページ:生活相談員の資格要件の変更について
厚生労働省:介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム) の報酬・基準について(検討の方向性)
厚生労働省:特定施設入居者生活介護
厚生労働省:通所介護・地域密着型通所介護の概要・基準

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