ヘルスケア&介護・看護・リハビリ業界の応援メディア
特集・コラム 2022-07-25

療育(発達支援)とは?具体的な3つのアプローチと効果について解説

療育について、具体的にどのようなサポートなのか知らない方もいるのではないでしょうか?療育とは、障がいを抱えている子ども・障がいを持つ可能性のある子どもに対して行われる、発達支援です。

この記事では、療育の特徴や具体的なサポート内容、療育によって得られる3つの効果について解説します。加えて、療育サポートを受け付けている施設についても紹介します。

「子どもの発達支援について1から知りたい」という方は、療育の具体的な内容について知って、子どもの発達支援の参考にしてみてくださいね。

そもそも療育とは何か?

療育とは、障がいを持つ子どもに対する発達支援です。元々は、身体的な障がいを持つ子どもに対しての「自立支援」とされていました。しかし、近年では、精神的な障がいを持つ子どもに対する支援も「療育」の一部とされています。さらには、「障がいを持つ可能性のある子ども」に対する自立支援も「療育」として広く認知されています。

たとえば、言語能力の習得が遅い子どもに対しては、他の子どもとのコミュニケーションを円滑に行うための、支援や訓練を積極的に行います。

このように、身体的・精神的に自立が難しく、社会への適応が難しい子どもへの支援を行うのが、療育なのです。とくに精神的な障がいを持っている子どもに、早期の段階で療育を行うことで、うつや不登校などを防ぐ効果が期待されます。

療育に活用される代表的な3つのアプローチ

療育に使われるアプローチには、さまざまな種類があります。具体的には、応用行動分析・認知行動療法・箱庭療法の3種類です。

どのアプローチも、療育対象の子どもの目線に立った、適切なサポートを前提にしています。療育の具体的な支援の内容について知りたい方は、参考にしてみてください。

1.環境を変化させて行動を分析:応用行動分析

応用行動分析は、その言葉の通り、対象となる子ども一人ひとりの行動の「きっかけ」と「結果」に着目して、前後の行動を予測する分析方法です。具体的には、以下の3つの分析基準があります。

・行動を褒める・ご褒美をあげる→「強化」(行動するようになる)
・行動を褒めない→「弱化」(行動しなくなる)
・行動をしかる→「消去」(行動をやめる)

子どもの行動に対して、褒めて「強化」するのか、褒めずに「弱化」させるのか、しかって「消去」するのかで、子どもの行動は大きく変わるという考え方です。

同アプローチでは、行動のきっかけと結果を上記の基準で分析して、子どもの「伸ばしてあげたい行動」を支援。また、その一方で、子どもに「抑えさせたい行動」をどのように減らすかを、客観的に分析していきます。療育が必要な子どもの社会的な自立や個性の伸ばし方を考えるのに、効果的なアプローチだといえるでしょう。

2.物の見方や感性に訴える:認知行動療法

認知行動分析をすることで、子どもが抱えているストレスの根本的な原因を探ることができ、より効果的な子どもの発達支援に生かせます。

人は強いストレスを抱えてしまうと、周囲との物の見方や考え方にズレが生じてしまう場合があります。療育が必要な子どもは、他の子どもとは違う考え方や物の見方を持っていることも多いです。認知行動療法を利用することで、療育が必要な子どもとその他の子どもとの認識の違いを確認して、療育が必要な子どもたちが抱えてしまうストレスや問題行動の原因を探るのに役立ちます。

3.言語化が難しい思考や感情を分析する:箱庭療法

箱庭療法は、療育の対象となる子どもが、限られた空間の中で、玩具などを使って表現したことをもとに、行動分析をしていくアプローチです。療育が必要な子どもたちの中には、言語コミュニケーションをとることが難しい子どもも少なくありません。

そのため、非言語コミュニケーションでも、子どもの行動を分析できるアプローチとして、箱庭療法が活用されています。また、言語コミュニケーションができる子どもでも、言語以外の方法で何かを伝える箱庭療法を使うことで、別の視点から見た子どもの考え方を発見できるでしょう。

療育を行うことで期待できる3つの効果

療育を行うかどうかを検討するにあたって、どのような効果が期待できるのかを知っておくことで、安心して療育サービスを利用できるでしょう。ここでは、療育を行うことで、子どもにどのような効果が期待できるのかを紹介します。

1.社会活動に必要な能力を獲得できる

子どもが療育を受けることで、基本的な運動習慣や学習習慣、他の子どもとの協調性を育めます。学校生活においては、他の子どもとコミュニケーションをとって、協力しながら共同生活を送る時間が大半です。療育を受けることで、学校生活に必要な能力や、社会性が身につく効果が期待できるでしょう。

2.他人とのコミュニケーションが取れるようになる

療育が行われる施設では、他の入所者と一緒に時間を過ごすことが一般的です。大人や他の子どもと遊び、コミュニケーションをとることで、徐々にコミュニケーション能力が向上する効果も期待できます。

学校生活においても、社会生活においても、他人とのコミュニケーション能力の育成は重要なテーマです。療育を利用して、子どものコミュニケーション能力を育めば、子どもの将来に渡って大きな財産になるでしょう。

3.自分のマイナス面を肯定できるようになる

療育を受けることで、子どもが自分のマイナス面を肯定して、自分に自信を持って行動していくことが期待できます。

療育施設では、子どもが何を考え、物事をどのように捉えているのかをさまざまなアプローチで分析し、発達支援を行っていきます。

発達支援の中で、「他の子どもと違う点」を肯定して、子どもが前向きに考えていくことをサポートするのも療育の重要な役割です。子どもが自分の個性を生かして、前向きに育って欲しいと願う方は、療育を利用してみてはいかがでしょうか?

療育を受けられる施設はどこ?

療育を受けられる施設には、通所型と入所型の大きく2種類があります。さらに、福祉サービスを専門に提供する「福祉型」の施設と、福祉・医療のサービスを提供する「医療型」の2種類の療育施設が存在します。ここでは、療育サービスを提供する施設の特徴についてみていきましょう。

通所型の療育施設

通所型の療育施設には、主に以下のような施設が挙げられます。

福祉型:児童発達支援、保育所訪問支援、放課後等デイサービス
医療型:医療型児童発達支援

子どもを集団生活に順応させていくための、あらゆる学習機会を設け、訓練を実施していくための療育施設です。また、地域活動への参加を通して、協調性や社会性を育める側面もあります。

入所型の療養施設

入所型の療育施設には、主に以下のような施設があります。

福祉型:福祉型障害児入所施設
医療型:医療型障害児入所施設

社会に適応するための訓練を行うのと同時に、治療やリハビリが必要な病気を、施設に入所しながら継続的に治療できるのが特徴です。

療育センターの相談窓口で療育に関する相談を受け付けている

療育に関する質問やご相談なら、各療育施設や各市区町村の公式ホームページに記載されている、「総合療育相談センター」の利用がおすすめです。

電話やメールお問い合わせフォームから、療育に関するお悩みや質問を相談できます。相談窓口を活用して、療育施設の利用の仕方やサービス内容など、療育に関する不安点を解消していきましょう。

療育の内容を知って、適切なサービス・施設の利用を検討しよう

この記事では、療育施設の特徴や実際に行われる療育のアプローチ、期待できる効果について紹介しました。療育は、身体的・精神的に障がいを抱えている子どもに対して、子ども目線に立って適切な発達支援をするサポートです。

療養施設には、通所型・入所型、福祉型・医療型といった種類があります。子どもに必要な療育プランによって、最適な療育施設やサービスの種類は異なるでしょう。

困った時は療育センターの相談窓口もうまく活用しながら、あなたのケースに合ったサービス・療育施設を検討してみてはいかがでしょうか?

引用元サイト:
国立研究開発法人 国立精神+神経医療研究センター|認知行動医療センター|認知行動とは?

一般社団法人 日本臨床心理士協会|臨床心理士の面接療法|箱庭療法

この記事をシェアする

編集部のおすすめ

関連記事