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特集・コラム 2023-01-06

調剤薬局で働こう!知っておきたい仕事の流れや資格・給料の相場などを解説

病院で処方された薬をもらうとき、よく訪れる場所が調剤薬局です。最近は、街の中でもよく見かけるようになりました。調剤薬局では、一体どのような仕事をしているのでしょうか?資格が無くても働けるのでしょうか?ここでは、調剤薬局で働くために知っておきたい仕事の流れや資格、給料の相場、メリットなどを解説します。

調剤薬局とは一体どんなところ?

病院やクリニックなどで処方された薬を、処方せんの指示通りに調剤して、患者に渡すところが調剤薬局です。基本的に、保険調剤を取り扱うことのできる保険薬局を「調剤薬局」といいます。

調剤薬局では、必ず地方厚生局で登録をした保険薬剤師が常駐していることが主な特徴です。薬局の場合は、保険薬剤師として登録していない薬剤師が常駐しています。また、調剤薬局は厚生労働大臣の指定が必要ですが、薬局は都道府県の保健福祉局などから許可を得て運営されています。

日本の薬局の多くは、調剤薬局(保険薬局)になりますが、例外といえば漢方薬局が挙げられます。漢方薬局で販売されている漢方薬は、保険適用外となっています。

調剤薬局の2つの分業タイプについて解説

調剤薬局は、多様化が進んでいる分野でもあります。ここでは、2つの分業タイプについて解説します。

1.門前薬局

よく見かける調剤薬局が、門前薬局のタイプです。病院やクリニックの目の前にあり、扱う処方せんも近くの医療機関のものになります。病院近くの門前薬局の場合、診療科の数が多いため、幅広い知識が必要となります。クリニック近くの門前薬局の場合は、特定の診療科を専門的に扱うことになるため、その科目に深く精通していることが求められるでしょう。

2.かかりつけ薬局

かかりつけ薬局は、特定の医療機関が近隣にない薬局のことです。駅前や住宅地にあることが多く、その地域に暮らしている、または勤務している人を対象としています。複数の医療機関で出された処方せんを、ひとつの調剤薬局で取り扱うことから、「かかりつけ薬局」と呼ばれています。かかりつけ薬局では、患者の情報を一元的に管理し、より安全に薬を利用してもらうことができます。さまざまな処方せんを取り扱うことが多く、薬に対しての広い知識が必要です。

調剤薬局の仕事の流れを紹介

調剤薬局では、どのような仕事をしているのでしょうか。ここでは、調剤薬局で働くときの仕事の流れを紹介します。

処方せん受付・処方内容入力

窓口で、患者から処方せん・保険証・おくすり手帳を預かります。初めて来られた患者には、アレルギーや薬の副作用、併用している薬などについてのアンケートを書いてもらいます。また、処方の内容をレセプトコンピューターへ入力し、調剤報酬明細書や薬袋などを出力します。主に調剤事務のスタッフが行う仕事です。

処方監査・疑義照会

処方せんについての内容確認です。薬剤師が、形式的なチェックから患者の体質、飲み合わせなどを監査していきます。その上で問題が出てきた場合は、処方せんを発行した医師に連絡を取り、対応策を話し合います。

調剤

薬剤師が、処方せんにもとづいて薬を調剤していきます。飲み間違いを防ぐために、同じ時間に飲む複数の薬を一包化することや、粉薬の混ぜ合わせを行うこともあります。

最終監査

調剤をした薬剤師とは別の薬剤師によるダブルチェックを行います。薬が正しく調剤できているか、薬歴簿を見て患者の服用歴や体質に合っているかなどを最終確認していきます。

薬を渡す(服薬指導)

薬剤師が患者に薬を渡し、服用方法や保管方法などを説明するのが服薬指導です。また、すでに服用中の薬に関しては、アレルギーや副作用の兆しがないかなどを患者に聞き取りをします。薬に対する疑問や悩みについて、助言をすることも服薬指導になります。

会計

保険適用の薬は患者の負担額を計算して、その分を請求します。患者からお金を受け取ったら、領収書を発行します。主に調剤事務のスタッフが行いますが、薬剤師が会計をすることもあります。

薬歴簿の作成

薬剤師が、薬歴簿に処方の内容や服薬指導などについて記録をしていきます。薬を服用していて、アレルギーや副作用が現れた場合は、その内容も情報として残しておきましょう。また、薬への悩みや要望なども記録しておき、処方の改善につなげます。

保険の請求

保険適用された処方せんの薬代について、調剤事務にてレセプト(調剤報酬明細書)を作成します。レセプトを作成することで、患者が払った1~3割の費用以外の残り負担額を、健康保険組合などに請求することができます。

調剤薬局で働くには?

調剤薬局では、どのような職種が求められているのでしょうか。調剤薬局には、主に薬剤師と調剤事務の2つの職種があります。ここでは、薬剤師と調剤事務について紹介します。

薬剤師として働く

調剤薬局で働く薬剤師は、保険薬剤師と呼ばれています。必要な資格と給料の相場について解説します。

資格

薬剤師として働くには、薬剤師国家試験に合格する必要がありますが、それだけでは「保険薬剤師」にはなれません。保険薬剤師になるには、居住地もしくは勤務先の管轄である地方厚生局で登録を行わなくてはなりません。保険薬剤師の登録は、個人で行うこともあれば、勤務する薬局で行ってくれることもあります。

給料の相場

薬剤師の年収は、令和3年賃金構造基本統計調査によると、全国平均で580万5,000円です。月収については、令和3年のハローワーク求人統計データでは、全国平均で35万円となっています。令和3年の全国有効求人倍率は2.87倍で、薬剤師の就職は比較的しやすいと考えていいでしょう。

調剤事務として働く

調剤薬局で、調剤事務として働くためには資格が必要なのでしょうか。また、給料の相場についても解説します。

資格

調剤事務について、必須の資格はありません。持っておくとより調剤事務の知識が深まる、おすすめの資格は以下の通りです。

・調剤薬局事務資格(一般財団法人日本能力開発推進協会)
・調剤事務管理士(株式会社技能認定振興協会)
・調剤報酬請求事務専門士(一般社団法人専門士検定協会)
・調剤事務認定実務者(特定非営利活動法人全国医療福祉教育協会)

どの資格でも、医療保険制度・基本的な薬の知識・レセプト作成が学べます。調剤薬局事務資格については、一般財団法人日本能力開発推進協会が主催するカリキュラムを修了することで試験が受けられます。

また、薬の運搬が業務にある場合は、運転免許が必要なことがあります。

給料の相場

調剤事務の年収は、令和3年賃金構造基本統計調査によると、全国平均で439万7,000円です。月収については、令和3年のハローワーク求人統計データでは、全国平均で18万5,000円となっています。就業形態は、正社員が50.8%、パートタイマーが64.6%と、パートタイマーが正社員より若干多い傾向にあります。

調剤薬局で働くメリット

調剤薬局は、全国に数があり、生活に欠かせない場所のため、求人が多いことが特徴です。特に薬剤師は、どこも人材が不足していることもあり、引く手あまたな状態です。勤務先としては、一人でも多くの薬剤師を確保しておきたいため、働き方について柔軟に対応してくれる職場も多く存在します。

調剤事務は薬の専門的なことを学べるため、生活していく上でもその知識を活かすことができます。また、正社員・パートなど就業形態がさまざまで、ライフスタイルに合わせて働くことができるでしょう。

調剤薬局は将来性あり!ライフスタイルに合わせた働き方がしやすい魅力ある仕事

街のどこにでもある調剤薬局。医療分野は常に新しい薬が生まれ、さらに成長していくことが見込まれるため、将来性のある分野になります。

薬剤師になるために国家試験を受けなければならず、人材が限られます。そのため求人も多く、転職がしやすい職種でもあります。調剤事務は必須の資格がなく、働き始めやすいことが特徴です。子育てや趣味のことを優先しながら働ける可能性があります。薬剤師・調剤事務ともに、調剤薬局での仕事は魅力的といえるでしょう。

引用元
厚生労働省:医療費の自己負担
職業情報提供サイト(日本版O-NET):薬剤師
職業情報提供サイト(日本版O-NET):調剤薬局事務
一般財団法人日本能力開発推進協会:調剤薬局事務資格
株式会社技能認定振興協会:調剤事務管理士技能認定試験
一般社団法人専門士検定協会:調剤報酬請求事務専門士検定試験 試験概要
特定非営利活動法人全国医療福祉教育協会:調剤事務認定実務者試験

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