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介護・看護・リハビリ 2025-04-16

自分らしく楽しく生きることが何よりも大事!【介護リレーインタビューvol.56/介護福祉士 ヌヌン・クステイアンテイさん】#2

介護業界に携わる皆さまのインタビューを通して、業界の魅力、多様な働き方をご紹介する本連載。

お話を伺ったのは…
介護老人福祉施設 横浜よさこいホーム
介護福祉士のヌヌン・クステイアンテイさん

2010年に経済連携協定(EPA)によってインドネシアから来日。介護施設で働きながら介護福祉士の資格を取得。帰国後に結婚し、子どもを授かる。2023年に単身で再来日し、現在の介護老人施設に就職。2024年にパートナーと2人の子どもを呼び寄せ、横浜市内に家族4人で暮らしている。

インドネシアから来日して介護福祉士の資格を取得したヌヌンさん。前編では帰国して結婚、出産を経て再来日するまでのお話を伺いました。

後編では単身で来日して家族と離れて寂しい想いをしたこと、働きながら家事と育児をこなす大変さについて、日本で働く外国人へのアドバイスをご紹介します。

大切な家族と離れて、単身で日本へ!

夫のアリさんと次男のラヤン君。アリさんはただ今日本語を猛特訓中。

――仕事が決まったのはいつ頃ですか?

2022年の夏くらいでしょうか。それからビザの手配や引っ越しなど、いろいろな準備をして、23年の3月に来ました。

――23年に来日したときは、家族と一緒に?

いいえ。まずは私が先に日本で生活を始めて、落ち着いてから夫と子どもを呼び寄せようと思いました。夫と子どもたちのビザがまだおりていなかったので、すぐに来られなかったんです。

――寂しかったでしょう?

とても寂しかったです。仕事が終わったら毎日のようにテレビ電話で夫と子どもたちと話をしていました。特に次男のラヤンはまだ2歳だったので、私のことを忘れてしまうんじゃないかと不安で仕方ありませんでした。

――家族が揃ったのはいつですか?

24年の10月です。家族が日本に来る日は空港に迎えに行きました。ラヤンは私のことを見て最初は不思議そうな顔をしていましたが、抱きしめたら抱きしめ返してくれたので「覚えていてくれた!」と安心しました。

――ご家族は日本の生活に慣れてきましたか?

長男のトリクは今、小学校に通っていて、夫のアリは日本語を勉強しています。日本語はひらがなとカタカナそれに漢字があるので、二人とも覚えるのに苦労しているようですね。次男のラヤンはまだ3歳なので家で夫が面倒を見ています。

――アリさんは日本で仕事が見つかりましたか?

まだです。日本語ができないと難しいですね。今は私が働いて、アリが家事と育児のほとんどを見てくれています。

――インドネシアでもアリさんは家事をしていたんですか?

いいえ! インドネシアで暮らしていたときは、私が全てやっていました。今はアリが掃除、洗濯、掃除、ラヤンの世話をしてくれています。ただ料理ができないので、私が食事を作っています。

仕事と家事&育児の両立の悩みは万国共通!?

慣れない日本の生活の中で、仕事も家事も育児も頑張っているヌヌンさん。

――ヌヌンさんのタイムスケジュールはどんな感じですか?

朝から出勤する日は5時半に起きてお祈りをしてから、みんなの朝食と自分のお弁当を作ります。6時に家を出て施設に向かいます。仕事をした後、16時に帰宅してトリクの宿題を一緒にやったり、子どもたちと話をしたり。それから晩ご飯を作ってみんなで食べます。眠る前にお祈りをして、20時には家族みんなで布団に入ります。布団の中で1時間くらい話をする、この時間がとても楽しいですね。

――忙しい毎日ですね。

アリが家事や育児を担当してくれているので助かっていますが、それでも私がやらなければならないことを、うっかり忘れてしまうことがあります。トリクの学校のことは日本語が分かる私でなければできません。仕事との両立が難しいですね。

――日本の女性も仕事と家事と育児を両立させるのは大変な思いをしています。

シフトが遅番のときは帰りが22時半になるんです。疲れてしまって料理をする気力がなくなって、朝ご飯やお弁当の準備をしないで寝てしまう日もあります。こんなときは、家族に申し訳ないな…という気持ちになりますね。

――それは仕方がないですよね。誰でも同じだと思います。

インフルエンザやコロナも心配です。家族が病気にならないように気を遣わなくてはなりません

去年の暮れに私と2人の子どもがコロナにかかってしまって、大変な思いをしたんですよ。幸いなことにアリはかからなかったので、私たちの看病をしてくれました。

――大変でしたね。ストレスが溜まったときはどうしますか?

友だちと会って食事をしたり、ウィンドーショッピングをしたりします。

――そのときに、辛いことや苦しいことを話すんですか?

友だちと会うときは楽しい話が多いですね。辛い話とか苦しい話をすると、雰囲気が暗くなっちゃうじゃないですか。友だちとは明るい雰囲気を楽しみたいですね。仕事で困ったことや辛いことは夫に話します。話をじっと聞いて受け止めてくれるので、すごく気がラクになります。

――ヌヌンさんのように外国から日本で仕事をする人に、アドバイスをお願いします。

自分たちの国と日本では言葉も違うし、文化も違います。誰か相談できる人がいると気持ちがラクになりますよ。あとは日本語を使えるようになることですね。利用者さんやスタッフともプライベートなことを話せるようになるので距離感が縮まります。

介護の仕事は本当に大変な仕事ですが、楽しいことがいっぱいあります。まずは知識を持って、自分らしく楽しく人生を歩んでください

ヌヌンさん流! 介護福祉士の心得三か条

1.お祈り時間の確保など、必要なことはガマンしない。

2.コミュニティーに参加して、相談できる環境をつくる。

3.家事や育児、日本語学習など家族の間でサポートし合う。

撮影/森 浩司
撮影協力/みどり国際交流ラウンジ

Information

横浜よさこいホーム
住所:神奈川県横浜市緑区北八朔町1368-1
電話:045-932-4351

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