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介護・看護・リハビリ 2025-03-06

この先の人生を後悔したくない。45歳から社会福祉士に挑戦し、49歳で相談員デビュー【介護・看護・リハビリ業界のお仕事企画 寿優和会 社会福祉士、相談員 宮原順子さん】#1

業界のさまざまな職業にフォーカスして、その道で働くプロにお仕事の魅力や経験談を語っていただく連載「介護・看護・リハビリ業界のお仕事企画」。

今回は社会福祉法人 寿優和会の宮原順子さんにお話しを伺います。宮原さんは社会福祉士の資格を所有しており、東京都日野市にあるくらしの自立相談窓口で相談員の仕事をしています。

3人いるお子さんの子育てが落ち着いたのをきっかけに、相談員の仕事に興味を持ち、社会福祉士の資格取得を考え始めたといいます。ただお子さんがまだ小学校低学年だったこと、取得に1年6ヶ月ほどかかることから、3年はためらっていたという宮原さん。しかし、この先の人生に後悔をしたくないと考えるようになり、45歳で通信制の学校に入学し、47歳で無事に資格を取得。49歳から相談員としての一歩を踏み出しました。

お話しを伺ったのは…
社会福祉士法人 寿優和会
社会福祉士/くらしの自立相談窓口 相談員
宮原順子さん

精神病院の医療事務として勤務していた40代のころに、相談員の仕事に興味を持ち、47歳で社会福祉士の資格を取得。現在は社会福祉法人 寿優和会が運営するくらしの自立相談窓口の相談員として勤務を始める。

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人の個性に合わせて支援を行う、相談員の仕事に惹かれて

宮原さんが相談員を務めるくらしの自立相談窓口は居場所事業も併設しており、さまざまな年代の人々が訪れる。お茶を飲んだり、制作活動をしたりしながら、思い思いに時間を過ごすことができる

――まず、宮原さんの現在のお仕事について教えてください。

くらしの自立相談窓口で相談員として働いています。くらしの自立相談窓口とは、経済的な困りごとや生活上の不安、悩みを抱える方のための相談窓口で、国の制度に基づくものです。相談員の仕事内容はさまざまな不安や悩みを抱えた方の相談に乗り、一緒にご本人の悩みについて考え、支援していきます。

この施設が特徴的なのは、誰もが訪れることができる居場所も併設していることです。イベントなども定期的に行い、幅広い年齢の方が訪れられる場所となっています。

そうやって気軽にお話しをしながら、困りごとがあれば相談にのり、必要があれば行政などの支援につなげていくことができます。自宅に訪問したり、一緒に専門機関の窓口に行ったりする支援も行っています。

――相談員になった経緯を教えてください。

相談員として働く前は、家の近くの病院の医療事務として働いていました。勤めていた病院には相談員の方が常駐していたのですが、そのお仕事ぶりを間近で見ていて、私がやりたかったのはこういう仕事だと感じたんです

――どんな点に惹かれたのですか?

相談者の考えに寄り添いながら、それぞれの個性を活かしている様子が見えたからです。それは私が子育てをしながら、大切にしたいと考えてきたことと通じる部分がありました。

――子育てで大切にしたかったこととは?

みんなが自分の個性を活かして、生きられる社会になってほしいという思いがあったんです。子育てというのは、教科書通りにいかないところがあると思うんですね。だからこそ子どもが得意なことを大事にしながら育てていきたいと思うようになりました。

子どもの得意不得意はそれぞれありますが、それを個性として育ててあげれば才能のひとつになるでしょうし、社会の枠のなかに閉じ込めようとすると息苦しくなってしまうと思うんです。

相談員の仕事も同じで全員に対して同じ支援や情報提供をしていくのではなく、それぞれの個性や必要性を見極めて支援をし、少しでも生きやすくしていくことが大切な仕事なんだと思いました。それまでぼんやりと思っていた、こんな仕事に関われたらいいという思いが、相談員であれば叶えられると思ったんです。

資格を取るか悩んだ3年間。子育てを言い訳にしたくないと取得を決意

社会福祉士の取得をするか悩んでいた当時を振り返る、宮原さん

――そこから社会福祉士の資格を取得されたのですね。

はい。相談員になる方法をいろいろと調べてみて社会福祉士や精神保健福祉士の資格があると分かりました。私は基礎から学びたいと思い、社会福祉士の資格取得を考えるようになりました。

ところが社会福祉士の資格を取得するとなると2年ほどはかかるということ、当時はまだ一番下の子どもが小学校の低学年だったこと、実習が1ヶ月ほどあるということがひっかかり、なかなか一歩を踏み出すことができませんでした。毎年、社会福祉士の資格を取れる学校の募集要項が出るのですが、2年間は募集要項を見ては閉じるのを何度も繰り返していたんです。

――決意が固まったきっかけは、あったのですか?

3年目には私は45歳になっていて、その先の60歳、70歳になった自分を想像してみたんです。もし一歩を踏み出さなかったら、後悔するかもと思い、決意を固めました。

5時に家を出て、実習先へ。大変だった実習も学びは多かった

資格取得で大変だったのは、実習の期間だったという

――社会福祉士の資格を取るのはいかがでしたか?

ずっと知りたかった知識を身につけることができたので、勉強や実習はとても楽しかったです。社会福祉士の国家試験の受験資格を得るためには、実習の履修が必須となっています。私は障害者支援施設に3週間の実習を2回、受けに行きました。

自宅から少し離れた場所での実習だったので、早いときには朝5時には家を出て、1日8時間の実習をして、帰ってきたら毎日レポートを書かなければなりません。家事をしながらレポートを仕上げて、少し眠るとあっという間に次の日の朝、という毎日でした。

少し大変な部分もありましたが、実習で学ぶことは本当に多かったです。先輩の相談員の方たちの仕事を間近で見ることができましたし、障害者の方と初めて接することができて障害についても多くを学ぶことができました。

――社会福祉士は国家資格ということですが、試験はいかがでしたか?

なんとか1回で突破することができましたが、通っていたのが通信制の学校だったので、試験勉強は、孤独で辛かったです。

でももし不合格になったら来年も試験勉強をしないといけなくなると思ったので、合格したら自分の好きなものを買う、好きな場所に行くなど、自分にご褒美をぶら下げて、奮い立たせながら、必死に勉強をしました。合格したときは本当にうれしかったです。


47歳で無事に社会福祉士の資格を取得した宮原さん。後編では資格取得後、どのように仕事をスタートさせたか、今の仕事のやりがいなどについて伺います。宮原さんは相談員の仕事を、十人十色の人生に出会える素晴らしい仕事だと考えているそうです。

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