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介護・看護・リハビリ 2021-12-17

集中力と認知力向上に役立つ!ボール転がしレク【介護レクリエーションvol.40】

現場で役立つレクリエーションのアイデアをご紹介する「介護レクリエーション」。

今回は、ボールを転がす動作に一工夫して集中力・認知力アップを促すレクリエーションを、中級レクリエーション・インストラクターの大野孝徳さんに教えていただきます。

「今回ご紹介するレクリエーションは、『ボールコロコロ』と『カラーボーリング』。どちらも『転がす』動作を通じて腕と体幹の運動を行うゲームです」(大野さん)

『ボールコロコロ』とは、どんなゲームですか?

「参加者がペットボトル2本で作ったゲートに向かってボールを転がし、ゲートを通ったボールの数による勝ち点を競います。ゲートの幅は約50㎝、参加者からゲートまでの距離は1.5m、2m、2.5mの3パターンあるので、しっかりと狙いを定めるために集中力が必要となります」(大野さん)

では『カラーボーリング』は?

「赤・白交互に一列で並んだペットボトルの中から、スタッフが指定した色(赤または白)に向かってボールを転がして倒すゲームです。参加者はスタッフの『赤』または『白』のかけ声をもとに、狙うべきペットボトルの色を判断する力が必要になります」(大野さん)

2つのレクリエーションによって期待できる、身体・精神面の効果は?

「どちらも腕・体幹運動による筋力低下予防や、関節の可動範囲維持の効果が期待できます。また、しっかりと目標に狙いを定めたり、目標をとっさに判断したりしてボールを転がすため、集中力や認知力の向上など脳の活性化を促すことができます」(大野さん)

それでは早速、『ボールコロコロ』と『カラーボーリング』の遊び方をご紹介します。

ボールコロコロ

【対象者】上肢が動く方(片方でも可)
【レクの目的】腕・体幹の運動、集中力・認知力を育む
【人数】10人以上(1チーム5~6人×2チーム)
【実施に好ましい場所】ホール
【必要な道具】1.5L~2Lのペットボトル(キャップ付き)12本、紐(または平テープ)3m分程度、ボール(直径20㎝程度)2個、参加者が使用する椅子、ホワイトボード
【所要時間】5分~
【レクリエーションの内容】2チームに分かれた参加者が、ペットボトルで作った3つのゲートに向けてボールを転がすゲームです。ゲートにボールが通るようしっかり狙いを定めてボールを転がすため、集中力を養うことができます。

レクを始める前の準備

・12本のペットボトルに半分程度水を入れ、キャップを締めます。2本1組にして、1組ずつペットボトルの口と口を50㎝程度の紐で結び、全6組のゲートを作ります。

遊び方

1.参加者を同じ人数で2チームに分け、ペットボトルのゲートを各チームの参加者から1.5m、2m、2.5mの順に離して置きます。1番目の参加者は、それぞれ1.5m離れたゲートの前に座り、ボールを手に持ちます。

2.参加者は、ゲートの間に通るよう狙ってボールを転がします。スタッフは「ゲートをよく見て」「しっかり狙いを定めて」など声掛けし、参加者の集中力アップを促しましょう。ボールを転がすチャンスは1ゲート2回までとし、参加者は2回失敗した時点で次のゲート(2mの距離)の前に移動します。

3.2m、2.5mの距離のゲートも同様にボールを転がし、ボールがゲートを通った回数が多い方が勝ちとなります。スタッフは勝敗をホワイトボードなどに記録しておきましょう。

4.2番目以降の人も同様に対戦し、参加者全員の対戦が終わった時点で勝ち星の多かったチームの勝ちになります。

進め方のコツ

・レクを行うスペースが十分に無く、2チーム分・6つのゲートを並べて設置することが難しい場合は、1チーム1ゲートずつとし、同じゲートを参加者から1.5m、2m、2.5mの距離に移動して使ってもOKです。

・ボールを「蹴って」ゲートに通すゲームに変更し、難易度を上げることもできます。参加者のレベルに合わせて調整しましょう。

カラーボーリング

【対象者】上肢が動く方(片方でも可)
【レクの目的】腕・体幹の運動、集中力・認知力を養う
【人数】10人以上(1チーム5~6人×2チーム)
【実施に好ましい場所】ホール
【必要な道具】1.5~2Lのペットボトル6本、赤と白の色紙、ボール(直径20㎝程度)2個、参加者が使用する椅子、ホワイトボード
【所要時間】5分~
【レクリエーションの内容】2チームに分かれた参加者が、スタッフが指定した色のペットボトルに向かってボールを転がし、倒したペットボトルの数による勝利数を競うゲームです。指定された色のペットボトルを狙うためにとっさの判断が必要になり、集中力・認知力を養うことができます。

レクを始める前の準備

・赤と白それぞれの色紙を入れたペットボトルを各3本ずつ作ります。

遊び方

1.赤と白それぞれの色紙を入れたペットボトルを交互に30㎝間隔で一列に並べ、参加者を同じ人数で2チームに分けます。両チーム1番目の参加者はペットボトルから1.5m離れた位置に座り、ボールを手に持ちます。

2.スタッフの「赤」または「白」のかけ声(倒すペットボトルの色を指定する)に合わせて、参加者がボールを指定の色のペットボトルに向けて転がします。スタッフは、随時倒れたペットボトルを立てて元の位置に戻しましょう。

3.3回戦行い、指定の色のペットボトルを倒した数(両チームとも倒した場合は、相手チームより早く倒した数)が多い方が勝ちです。スタッフは勝敗をホワイトボードなどに記録しておきましょう。

4.2番目以降の人も同様に対戦し、参加者全員の対戦が終わった時点で勝ち星の多かったチームの勝ちになります。

進め方のコツ

・スタッフの「赤」「白」のかけ声だけでは参加者が色を間違えてしまう場合は、赤と白のカードを作成し、かけ声に合わせて提示すると参加者が指定の色を認識しやすくなります。

今回は、体を動かしながら集中力や認知力を養うことができるレクをご紹介しました。チーム戦で楽しむレクは、参加者同士のコミュニケーションを促す機会にもなります。スタッフがチーム同士の応援を促す声掛けを積極的に行い、参加者全員で楽しんでください。

イラスト:SMILES FACTORY
文:寺西香織(レ・キャトル)

教えてくれたのは…

大野 孝徳さん

合同会社A-assist代表、介護福祉士、介護予防指導士、中級レクリエーション・インストラクター。学生時代は子ども会集団指導者講師として岐阜県内でレクリエーション指導に従事。そこでの経験が評価され、介護業界に入職。介護職・相談員・管理職、在宅・施設両面での介護業務と、介護現場において幅広く活躍。2016年に独立し、A-assistを設立。訪問型介護予防体操教室やレクリエーションサポート活動を展開。現在も現場に入り介護福祉士として従事する傍ら、「え~(良い)アシスト」を提供するべく全国を対象に事業を展開している。

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