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介護・看護・リハビリ 2020-06-02

介護施設を知る!『介護老人保健施設』

介護老人保健施設は、医療法人や社会福祉法人などの公的機関が運営する介護施設で、「老健」「老健施設」というふうに呼ばれる施設です。

介護老人保健施設は病院と自宅を仲介する存在ともいえる施設です。つまり、「病院での治療を終えて退院したけど、いきなり自宅に帰って普通に生活をするのは少し不安…」という要介護者が、3カ月~半年程度の入所生活の中で、自宅での生活に備えたリハビリを行うという目的があるのです。医師、理学療法士、作業療法士をはじめとする専門スタッフが24時間体制でケアに当たります。

介護老人保健施設の特徴は

・介護老人保健施設で受けられるサービス
先に説明した通り、介護老人保健施設は病院での療養と自宅での生活を仲介する施設です。そのため生活復帰のためのケア…例えば医師・看護師による医学管理下のケア、理学療法士/作業療法士による回復期のリハビリテーション、管理栄養士による食事指導などを手厚く受けることができます。
その他の介護施設と同様、排泄や食事のサポートも受けられます。ただしレクリエーションや洗濯など、生活をサポートするようなサービスにはあまり対応していません。

・介護老人保健施設のメリット
介護老人保健施設は公的な介護施設なため、費用が比較的安価で済むというのが大きなメリットの一つです。さらに特別養護老人ホームなどの他の施設と比べて医療面でのサービスが充実しており、痰の吸引、胃ろう、床ずれ、尿管カテーテル、酸素吸入などのケアを必要としている人でも入所することができます。

・介護老人保健施設のデメリット
介護老人保健施設は先に紹介した通り、病院と自宅の橋渡し的な意義を持った施設です。そのため、長期の入所ができないということは頭に入れておく必要があるでしょう。また個室を設置している施設があまり多くないため、共同生活が苦手だという方は快適に過ごせないかもしれません。認知症の影響で夜中に大声を発するような人も、入所を断られたり退去を求められたりする可能性があります。

・介護老人保健施設の入所基準
介護老人保健施設の入所対象者は要介護1~5の認定を受け、病状が安定していて入院治療が必要でない上で、リハビリテーションを必要としている高齢者です。特定疾病に認定された場合は40歳代からも受け入れ可能です。公的な施設のため、症状が重い人、収入が少ない人ほど優先的に入所することができます。

・介護老人保健施設への入所手続き方法
介護老人保健施設への入所手続きは、各施設の窓口、または市区町村の福祉担当窓口にて行います。申込書、健康診断書、病院からの紹介状などの書類を提出した後は、施設のスタッフからの面接を受け、入所の是非が決定されることとなります。
近隣の介護老人保健施設について調べる際には、市区町村の福祉担当窓口や地域包括支援センターが頼りになります。不安なことは積極的に問い合わせましょう。

・介護老人保健施設にかかる費用
介護老人保健施設は基本的に終身利用となる特別養護老人ホームなどとは異なり、入所一時金などの初期費用が必要ありません。光熱費や雑費は当然ながらかかりますが、家賃や管理費を併せても、民間の介護施設よりもかなりリーズナブルです。
ただ、利用者の心身の状態によっては専門スタッフの特別なケアが必要となり、別途費用が加算されることもありますので、事前に確認しておきましょう。いずれの場合にせよ、利用者(または利用者の扶養者)の収入・資産状況に応じて価格が変動します。

下の図は最もオーソドックスな多床室を利用する場合の、一日にかかる費用の一例です。ユニット型の個室を利用すると、月額費用は10万超、施設によっては20万円を超えるようなこともあります。

・介護老人保健施設の設備
介護老人保健施設は多床室(相部屋)が圧倒的に多いですが、ユニット型個室(10人程度のユニットごとに共同生活室が設けられている部屋)や従来型の個室がある施設もあります。これらの部屋のタイプによって設備は異なりますが、ここでは多床室について紹介します。
リハビリテーションに重きが置かれている施設だけあり、機能訓練室や診療室はどの施設にもきちんと設けられています。ただトイレやキッチンは部屋内には用意されていませんので、室外の共用設備を使ったり、食堂を利用することとなります。多くの介護施設に敷設されるようなレクリエーションスペースもありません。

まとめ

退院はしたものの、安心して自宅に帰るまでは不安…という方に心強い介護老人保健施設。医師や理学療法士なども在籍し、要介護者だけでなくご家族にとっても安心してお任せできる施設です。利用を考えている方はよく検討し、その方に合った施設なのか見極めて選ぶようにしましょう。

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