【介護レクリエーションvol.14】脳を活性化し認知症予防につなげる「脳トレレクリエーション」
現場で役立つレクリエーションのアイディアをご紹介する「介護レクリエーション」の企画。
今回は頭を使う「脳トレレクリエーション」をご紹介。これまでの知識をつなげて推測したり、記憶をたどって解答を導いたりすることで頭の体操になり、認知症予防の効果も期待できます。
何が落ちたかゲーム
【対象者】言葉による表現(発語、筆談、手話)が出来る方
【レクの目的】情報処理能力、記憶力、周辺視野能力の維持・向上
【人数】1〜10人
【実施に好ましい場所】ホール
【必要な道具】椅子、ホワイトボード
【制限時間】10分程度
【レクリエーションの内容】スタッフが発する「ワード」に合わせてふさわしいポーズをとるゲームです。頭の体操はもちろん、歌ったり、体を動かしたりすることでさまざまな機能が鍛えられます。
レクを始める前の準備
・参加者は、下記のワードに対応するポーズを事前に覚えておきましょう。
スタッフが「かみなり」と発した場合→おへそを隠すポーズをとる
スタッフが「りんご」と発した場合→手ですくうポーズをとる
スタッフが「天井」と発した場合→頭を隠すポーズをとる
遊び方
1.全員で「落ちた、落ちた、何が落ちた」と歌います。
2.スタッフがランダムでワードを発します。参加者は、スタッフが発したワードにふさわしいポーズを素早くとります。
3.1と2を何回か繰り返して終了します。
進め方のコツ
・参加者がゲームに慣れてきたら、スタッフは共有したワード以外のものを発してフェイントをかけてみてもOKです。
・記憶が難しい方(認知症の症状がある方)が参加する場合は、ホワイトボードにワードとポーズを記載するか、ワードとポーズを記載した紙などを貼り付けてあげましょう。
コップで宝探し
【対象者】物を認識できる視力がある方
【レクの目的】思考力・記憶力・空間認識力の向上、手の運動
【人数】2〜10人
【実施に好ましい場所】ホール
【必要な道具】紙コップ20個程度(参加人数によって加減しましょう)、記録用のホワイトボードなど
【制限時間】1セット1分×5回
【レクリエーションの内容】1分間で「当たり」が書かれたコップをできるだけ多く見つけ出すゲームです。トランプの「神経衰弱」のように、一度中身を見たコップを覚えておく必要があります。
レクを始める前の準備
・スタッフは紙コップの内側に、「当たり」と「はずれ」を5:5の割合で書いておきましょう。
・当たりとはずれを混ぜ合わせ、テーブルにランダムに並べておきます。
遊び方
1. スタッフの合図が聞こえたら、参加者は紙コップを持ち上げ、「当たり」が書かれた紙コップを探します。当たりが出たら手元に取っておき、はずれは再び机に伏せます。
2.参加者はどんどん紙コップを持ち上げ、当たりを探しましょう。制限時間内に最も多くの当たりを見つけた人の勝ちとなります。スタッフは参加者の当たりの数を記録しておきましょう。
3.1と2を繰り返し行い、5回戦程行ったら終了しましょう。合計で最も多くの「当たり」を見つけ出した人の勝ちとなります。
進め方のコツ
・勝ち負けを競うゲームは参加者のやる気がアップしやすいので、スタッフは積極的に応援の声かけを行い、場を盛り上げましょう。
・紙コップの中におはじきを何個か入れておき、いくつ集められたかを競うゲームにアレンジしてもOKです。
ものを考えたり、言葉を思い出したりすることは、脳を活性化し、認知症予防にもつながるとのこと。今回紹介したレクリエーションは準備の時間もそれほどかからずに実践できるので、お試し感覚で是非現場に取り入れて見てください。
イラスト:SMILES FACTORY
文:小沼奈央(レ・キャトル)
教えてくれたのは…
大野 孝徳さん
合同会社A-assist代表、介護福祉士、介護予防指導士、レクリエーション・インストラクター。学生時代は子ども会集団指導者講師として岐阜県内でレクリエーション指導に従事。そこでの経験が評価され、介護業界に入職。介護職・相談員・管理職、在宅・施設両面での介護業務と、介護現場において幅広く活躍。2016年に独立し、A-assistを設立。訪問型介護予防体操教室やレクリエーションサポート活動を展開。現在も現場に入り介護福祉士として従事する傍ら、「え~(良い)アシスト」を提供するべく全国を対象に事業を展開している。