流行りの機能訓練型デイサービス
普通のデイサービスでは朝に利用者を迎えに行き、その後は施設で利用高齢者の食事介助、入浴介助、排泄介助、機能訓練、レクリエーション(イベント)、身体介護を行い、夕方に自宅まで送る(6時間以上の滞在)という形態が一般的ではありますが、近年多くなってきたものに機能訓練型デイサービス(リハビリ特化型デイサービス)というものがあります。
機能訓練型デイサービスとは?
機能訓練型デイサービス・リハビリ特化型デイサービスという名称は正式なものではなく、介護保険法の通所介護に当たります。そのため、事業内容は施設によって様々です。ここでは、従来型小規模デイサービスと一般的な機能訓練型デイサービスを比較して、特徴を見て行きましょう。
内容 | 従来型小規模型デイサービス | 機能訓練型デイサービス |
---|---|---|
特徴 | 食事・入浴・機能訓練・レクリエーションなど、様々なサービス提供を行う。 | 機能訓練に重点を置いた運動療法・リハビリテーションを行い、食事や入浴のサービスは行わない。 |
時間 | 6時間~8時間 | 3時間半~4時間 (午前・午後に分けた半日間) |
定員 | 10人まで ※機能訓練室が30㎡までの場合 |
20人まで(午前10人、午後10人) ※機能訓練室が30㎡までの場合 |
上記のように、従来型のデイサービスは人間らしい日常生活を送ることを目的としているため栄養バランスを考えた食事や入浴がありますが、機能訓練型デイサービスでは体力向上や筋力維持、介護予防などに重点をおいた考え方をしており、食事や入浴などのサービスはありません。
機能訓練型デイサービスを運営するメリットとしては、定員が午前10人・午後10人となるため、全体の定員数を増やすことができます。また、要介護度が低く食事介助や入浴介助を必要としないため、機能訓練だけを希望する利用者にとっては良いサービスであるといえます。更に、スタッフたちにとって入浴介助はかなりの重労働になる場合が多く、入浴介助がない分、機能訓練型デイサービスサービスの方が働く側にとって、体力的にはかなり楽であるという意見も多く聞きます。
プログラムの流れ
メニュー内容は利用者の身体状況によって一人ひとり異なる個別プログラムメニューが施されます。また、施設によって置いてあるトレーニング機器も異なるので、正しいプログラムの流れというものは存在しませんが、ここでは機能訓練型デイサービスの一般的なサービス内容をご紹介します。
お迎え利用者の自宅まで送迎用の車で迎えに行きます。
所要時間 | 内容 | 詳細 | |
---|---|---|---|
お迎え | 利用者の自宅まで送迎用の車で迎えに行きます。 | ||
10分 | バイタルチェック | 体温・血圧・脈拍を測り、健康状態を確認します。 | |
20分 | 準備運動 生活動作改善運動 |
安全に機能訓練を行えるように、準備運動で体をほぐします。 | |
150分 | 個別メニュー | 利用者のニーズに合わせて機能訓練機器による個別のプログラムを行います。 | |
30分 | ティータイム | 好きな飲み物を飲みながら、他の利用者とゆっくりお話をします。 | |
お送り | 利用者を自宅まで送ります。 |
※施設によっては個別メニューがなく、利用者全員が同じ機能訓練を行う場合もあります。
メニュー内容
訓練可能なメニューは店舗によって異なりますが、一般的には以下のようなメニューがあるようです。
メニュー名称 | 使用方法 | 効果 |
---|---|---|
歩行訓練 | 手すりのついたウォーキングマシンや、設置してある平行棒を利用して、正しい姿勢での歩行訓練を行います。 | 年々弱くなりがちな足の筋肉を鍛え、安全な徒歩ができるように促します。 自力で駅まで歩けるようになると嬉しいものです。 |
ストレッチ | 機能訓練指導員の補助の下、ストレッチを行います。 | 関節の可動域を広げ、怪我のない身体づくりをします。 |
自転車運動 | ゆったり座った状態で使えるエアロバイクでペダルを漕ぎます。 | 自転車を乗るために必要な脚の筋力を鍛えます。利用者の筋力により負荷の増減が可能です。 |
酸素カプセル | 高気圧酸素カプセルで毛細血管の隅々まで酸素を送ります。 | 細胞が活性化され、肌の衰えを抑える効果、集中力を高める効果などがあります。 |
足浴 | 両足を入れることにより、身体全体を温めます。 | 冷えで悩んでいる方や、代謝を良くしたい方におすすめです。 リラックスでき、自然に笑顔になります。 |
アブダクション アダクション |
座った状態で負荷をかけて足を開いたり閉じたりします。 | 股関節内転筋と外転筋に作用して、骨盤の安定感が向上します。 |
レッグプレス | 座った状態で足の位置にあるプレートを蹴り出します。 | 太ももの筋肉に作用して、立ち上がったり、ジャンプしたりする力を鍛えます。 |
柔整師による施術 | 国家資格を取得した柔道整復師による専門的な手技施術をします。 | 腰痛や麻痺の軽減など、さまざまな症状を緩和します。生活の質を改善させるためのアドバイスも受けられます。 |
マッサージチェア | マッサージチェアで全身または部分的にもみほぐします。 | 日頃の疲れを取り、体も心もリフレッシュします。 |
体力測定 | 筋力測定器により体力を診断します。 | 身体機能の評価をし、変化を把握します。 |
他にも脳梗塞のリハビリなど施設特有の機器があります。また、上記の機器も施設によっては置いていない場所もあります。どの施設にどんな機器があるかは直接施設に確認するか、利用希望者やその家族、ケアマネージャー向けの内覧会を行う施設もありますので、そちらで確認しましょう。
よくある質問・相談
ここでは、毎月リジョブに寄せられているご意見の中から、機能訓練型デイサービスに関するよくあるご質問・ご相談に回答していきます。
Q1.機能訓練型デイサービスは健康な高齢者も利用できますか?
A1.いいえ。介護保険の認定者(要介護者・要支援者)しか利用できません。介護保険を利用せず、自費(10割負担)で利用するのであれば要介護・要支援でなくても利用できます。
Q2.機能訓練を行う職員に資格は必要ありますか?
A2.機能訓練加算を取るためには資格が必要です。その際、機能訓練を行えるのは、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護師、柔道整復師又はあん摩マッサージ指圧師です。
Q3.未経験者でも機能訓練型デイサービス施設OPENできますか?
A3.もちろんできます。しかし、集客するためにはかなりの努力が必要です。機能訓練型デイサービスを利用するのは65歳~74歳の前期高齢者、2号保険者(40歳以上65歳未満)で特定疾患があり、要介護等の認定を受けている方々など、一般的なデイサービスを利用しない方がほとんどですので、そういった方々のニーズに応える必要があります。その他のポイントについては以前の記事「デイサービス(通所介護)の起業におけるポイント」 をお読みください。