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ヘルスケア 2022-12-21

訪問看護師をしながらメディカルアロマセラピストの資格を取得!【petit bonheur 森本早紀さん】#1

働き方の多様化が進む昨今、ヘルスケア業界にも1つのフィールドにとらわれずに活躍する人が増加中!本企画では、そんな多様な働き方をしている方へのインタビューを通して、新たなワークスタイルのヒントを見つけていきます。

今回は、大阪府で訪問看護師として勤務する傍ら、出張型アロマトリートメントサロンを運営している森本早紀さんにお話をお聞きしました。前編では、本業である訪問看護のお仕事についてと、アロマセラピストの資格取得の経緯についてお聞きします。

お話を伺ったのは…
petit bonheur 森本早紀さん


大阪府在住。訪問看護師として勤務しながら、メディカルアロマセラピスト、アロマテラピーインストラクター、アロマ空間アドバイザーの資格を取得。出張型アロマトリートメントサロン「petit bonheur」を開き、訪問看護の仕事と両立している。

森本早紀さんのInstagram:@petit_bonheur_09

寄り添った訪問看護を深めるためアロマセラピストの資格を取得

訪問看護師として9年勤務している森本さん。
4年前、メディカルアロマセラピストの資格を取得されました。

――まずは現在の働き方について教えてください。

病院で臨床経験を経た後、訪問看護師になりました。現在は、訪問看護ステーションに勤務し、訪問看護師として週5日、在宅看護の必要な方のケアや医療処置を行っています。病院ではなくご自宅で過ごされているので、その方らしく安心して過ごせることが第一優先。日々の生活に寄り添った看護を提供することを目標に活動しています。

――病院勤務から訪問看護に転向された理由は?

病院での勤務は、忙しく義務的になってしまう部分があります。そのなかで、患者さんに寄り添う看護がなかなかできないこと、事務的に1日が終わってしまうことに嫌だなと感じていました。

訪問看護なら、利用者様に集中して、寄り添った看護ができると思い、訪問看護師になることを決めました。

だから今は訪問看護で看護師ができることはとても楽しいです。訪問看護師は天職だと思います。

――そのなかで、アロマセラピストの資格を取られたきっかけは?

訪問看護でお伺いする利用者様には、がん末期の方や高齢の方が多く、体のだるさを感じる症状が多いです。そういった方々に何かリラクゼーション的なアプローチができないかなと考えたのがきっかけでした。

もともとアロマには興味がありました。アロマを現場で役立てるならきちんとした知識を得たいと思い、メディカルアロマを学ぶことにしました。資格が持てるレベルで勉強したかったので、メディカルアロマセラピストの資格が取れる学校に、仕事をしながら通いました。

アロマセラピーを学んだことで、いつものケアがより充実

――実際、訪問看護の現場でアロマセラピストの知識は、いかされましたか?

現場で精油を直接使うのは難しいのですが、個人的にケアをする時には取り入れていました。あとはスキンケアのときなど、患者さんの肌に触れるときにはアロマセラピーの知識をよく意識していましたね。

「体がだるい」と言われて、以前なら知識なく体をさするところを、知識を持ったリラクゼーションを提供する。そうして、ケアのひとつとして取り入れています。

また、私自身アロマを取り入れてから、香りにすごく敏感になりました。そのため消臭スプレーやディフューザーなどは、すべて自分で精油を調合して手作りしています。それを現場に持っていくことも。嗅覚は脳を刺激するので、認知症の方にも香りは大切です。

――とくに役立ったことは?

セラピストの技術的な面は、本当に学んでよかったなと思います。

人が人に触れるのって、簡単そうですごく難しいんです。やっぱり他人に触れられるのって、慣れている関係だとしても怖い。急に触られたらびっくりするし、不安になりますよね。

だから、アロマセラピーを通してタッチングという人への触れ方を学べたことは、とても良かったと思います。保湿剤ひとつにしても、適当に塗るのか、リラクゼーションの手技を取り入れながら塗るのかで、全く伝わり方、感じ方が違ってきます。スキンケアやマッサージを通して、安心を与えられるのはいいところですね。

――利用者さんの反応はいかがでしたか?

リラクゼーションを行ったときには、「すごく気持ちがよかった」「体が楽になった」と喜んでいただけます。あと、やはり触れ方が変わったことで、より安心感が育めているんじゃないかと感じますね。

看護の現場でも役立つアロマのことを知って欲しい

看護の現場では精油を取り入れるにはまだまだハードルが。

――今後アロマセラピーを看護現場でさらに活用する構想は?

精油の使用は、肌のトラブルの心配や経費面を考えると、なかなか難しいんです。会社の理解や利用者さんの担当医の同意を取る必要も出てきますから。でもやっぱりすごくいいものだと思うので、その良さをわかっていただくアプローチが必要だなと感じます。足浴のときに利用したり、もう少し気軽にアロマを使えるようになったらいいですよね。

あとは、現場で働いているスタッフに対しての、セルフケアなどにも活用できたらいいなとは、密かに思っています。

――看護業界の方でも、アロマセラピーに興味を持たれている方は多い印象があります。

そうですね。私にも同業の方から、話を聞いてみたいとご連絡いただくことがあります。メディカルアロマが気になっているけど、なかなか踏み出せなくて、どんなものなのか知りたいと。だから、そういった方たちとお話できる機会の場があればいいのになと思っていました。

――そういった方々が、まず学ぶとしたら何がオススメですか?

学校に通うとなると時間もコストもかかるので余裕がないと難しいですから、まずは自己学習でもできるアロマテラピー検定から受講したらいいかなと思います。ワークショップをしているところもあるので、そういったものに体験で行ってみるとか。それだけでもアロマのことや知識は得られます。そこで、もっと深く学びたいと思ったり、現場で活かしたいと思った際には、深く勉強できる学校や、講習会など受けてみたりするといいと思います。


訪問看護のなかにアロマセラピストとしての知識を取り入れ、幅広いケアを行っている森本さん。そんな森本さんは、出張型アロマトリートメントサロンも運営しています。次回後編では、森本さんのサロンについてお聞きします。

取材・文/山本二季

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