集中力を向上!お楽しみスポーツレク2【介護レクリエーションvol.43】
現場で役立つレクリエーションのアイデアをご紹介する「介護レクリエーション」。
今回は、楽しみながら集中力アップを促すスポーツレクリエーションを、中級レクリエーション・インストラクターの大野孝徳さんに教えていただきます。
「今回ご紹介するレクリエーションは、『魚釣りゲーム』と『どんどん太鼓相撲』。どちらも楽しみながら集中力を養うのに最適なゲームです」(大野さん)
『魚釣りゲーム』とは、どんなゲームですか?
「磁石を付けた釣竿で、画用紙で作った魚を釣りあげるゲームです。より多くの魚を釣りあげるためには上手に竿をコントロールする必要があり、集中力を養うことができます」(大野さん)
では『どんどん太鼓相撲』は?
「段ボールで作った力士を土俵の上で戦わせる、紙相撲の拡大版のゲームです。このゲームも、力士を上手く動かすために集中力が必要になります」(大野さん)
2つのレクリエーションによって期待できる、身体・精神面の効果は?
「どうやったら魚を上手く釣れるか、力士が動きやすいかなどを考えながらゲームを行うため、脳の活性化につながります。また、手先・腕の運動効果も期待できます」(大野さん)
それでは早速、『魚釣りゲーム』と『どんどん太鼓相撲』の遊び方をご紹介します。
魚釣りゲーム
【対象者】竿を握れる方
【レクの目的】集中力・手先の感覚を養う、他者との交流(回想法の効果もあり)
【人数】2~5人
【実施に好ましい場所】ホール
【必要な道具】レジャーシート、釣り竿 人数分、磁石 人数分、テープ、色画用紙・ゼムクリップ(魚10~20匹分程度)
【所要時間】20分~
【レクリエーションの内容】紙を切り抜いて作った魚を、磁石を付けた釣り竿で釣りあげるゲームです。上手に魚を釣りあげるために、集中力が必要になります。
レクを始める前の準備
・色画用紙を切り抜き、魚を作ります。魚の口元にゼムクリップを付け、外れないようにテープで固定します。長靴や古タイヤなど、魚ではないものを混ぜてもOKです。
・釣り竿の先に、テープで磁石を固定します。釣り竿がない場合は、新聞紙を棒状に丸めたもので代用ができます。
遊び方
1.床に敷いたブルーシートの上に、魚をまんべんなく並べて釣り場を作ります。参加者はブルーシートを囲むように座ります。
2.スタッフの「スタート!」という合図で、参加者全員が釣りを始めます。スタッフは「皆さん大漁ですね!」「これは何の魚でしょうか?」など声掛けを行い、参加者とコミュニケーションを図りましょう。
3.釣り場にある全ての魚が連れたらゲーム終了です。1番多くの魚を釣りあげた参加者が勝ちになります。
進め方のコツ
・釣りを行う際、参加者が身を乗り出してバランスを崩し、椅子からずり落ちないよう注意が必要です。魚は参加者の手が届く範囲に並べましょう。腕を伸ばせない参加者がいる場合は、さらに魚を近づけて置くなど配慮しましょう。
・参加者自身が魚を作成する場合は、自分が作った魚を釣ったら2匹分にカウントするルールにすると、ゲームがさらに盛り上がります。
・用意する魚の種類を季節に合わせて変化させていくと、年間を通して楽しめます。
・実際の魚釣り経験が無い方でも、大量に釣れる環境をつくることで達成感を提供できます。
どんどん太鼓相撲
【対象者】土俵を叩ける方であれば可
【レクの目的】腕の運動、握力向上、集中力・思考力を養う、他者との交流(回想法の効果もあり)
【人数】1試合2人ずつ
【実施に好ましい場所】ホール
【必要な道具】段ボール箱(土俵・力士用)、新聞紙 人数分
【所要時間】5分~
【レクリエーションの内容】土俵に見立てた段ボール箱を叩き、力士を動かして遊ぶ太鼓相撲です。腕の運動を行うとともに、どこを叩いたら力士が動きやすいかを考えることで脳の活性化にもつながります。
レクを始める前の準備
・二つ折りにした段ボール2つにそれぞれ力士の絵を描き、力士を2体作ります。
・段ボール箱を組み立て、土俵を作ります。
・新聞紙を棒状に丸めて棒を作ります。
遊び方
1.参加者2人が土俵に向かい合って座り、それぞれ新聞紙の棒を持ちます。スタッフは土俵の上に力士2人を載せ、行司役になって「ひがし~〇〇山~」と力士名を呼び上げるなど場を盛り上げましょう。
2.スタッフの「はっけよい、のこった!」の声でゲームを開始します。参加者は土俵の側面を新聞紙の棒で叩き、それぞれの力士を動かして相撲を行います。
3.力士が先に倒れたり、土俵から落ちたりすると負けです。最後まで土俵の上に力士が立っている参加者が勝ちになります。
進め方のコツ
・周囲に観戦する参加者がいる場合は、棒が当たらないよう離れてもらうなどしましょう。
今回ご紹介したレクリエーションは、ルールも準備も簡単で現場に取り入れやすいゲームです。難しいことをせずとも脳の活性化につなげることができるので、ぜひ参加者全員で楽しんでみてください。
イラスト:SMILES FACTORY
文:寺西香織(レ・キャトル)
教えてくれたのは…
大野 孝徳さん
合同会社A-assist代表、介護福祉士、介護予防指導士、中級レクリエーション・インストラクター。学生時代は子ども会集団指導者講師として岐阜県内でレクリエーション指導に従事。そこでの経験が評価され、介護業界に入職。介護職・相談員・管理職、在宅・施設両面での介護業務と、介護現場において幅広く活躍。2016年に独立し、A-assistを設立。訪問型介護予防体操教室やレクリエーションサポート活動を展開。現在も現場に入り介護福祉士として従事する傍ら、「え~(良い)アシスト」を提供するべく全国を対象に事業を展開している。