介護福祉士として海外で働くことは可能なのか
日本では、介護に従事するためには、一部の職種を除いて特別な資格などは必要なく、誰でも介護職に携わることができます。そのため、年齢・性別・転職回数などには関係なく、雇用がされています。しかし、海外で介護職として働くことは、日本のように簡単なのでしょうか。海外と日本の介護職を取り巻く就職環境についてまとめてみました。
介護福祉士の資格で就職できるのか
日本で取得した介護福祉士の資格を持って、海外の介護施設で働くことは可能なのでしょうか。実際には、海外の人が日本国内で仕事を探す時と同じように、日本人の介護福祉士が海外で就職しようとした際、ビザの問題で簡単に介護福祉士として就職できるわけではありません。
どの国でも、自国の雇用が一番に考えられるので、海外からの介護職の雇用に積極的ではありません。また、外国人を雇用しようとした時に、言葉の問題が生じるだけでなく、移民問題や不法就労の諸問題があるので、どの国の介護施設でも、外国人労働者を簡単には雇用できないのが現状です。
しかし、それでも先進国の多くでは、高齢化が日本と同じように進んでおり、介護における人材不足が問題としてあるのには変わりはありません。国によっては、移民対策の一つとして介護労働者を積極的に受け入れている国や州がありますが、日本の介護福祉士の資格をその国で使用できるわけではありませんので、注意が必要です。
イギリスの介護福祉士
イギリスは古くから福祉制度が早い時期に発展してきた国の例としてよく挙げられることが多く、イギリスでも日本と同じように、介護事業者がサービスを提供しています。また、国の制度が異なりますが、介護に従事する者は「ケアラー」や「ケアギバー」と呼ばれる資格を持っており、介護に携わっています。
もし、日本の介護福祉士がイギリスで介護に従事しようとした場合には、まずはイギリスの資格制度に従ってケアラーの資格を取る必要があります。資格を取る時には英語力が必須となるため、ケアラーとしての勉強だけでなく英語の勉強も必須となるでしょう。
しかし、日本で勉強したことは海外の介護でも生かすことは可能です。基本的には、介護の方法や技術、知識などは日本と大差はありません。食事の介助方法や、排泄の処理方法、着替えの介助などは、日本で学んだ内容を生かすことができるでしょう。
一つ壁として立ちはだかる問題になるのが、文化の違いです。イギリスでは、介護士の安全性を考慮するために、人を持ち上げて介護をすることがなく、福祉用具やリフト補助具を使っての介護が法律によって定められています。また、イギリスには集団入浴という概念もないので、個浴しかりません。つまり、海外で働くためにはその国のやり方や文化を尊重しながら働く必要があるのです。
海外での福祉に携わるために
日本の介護福祉士が海外で働くためには、ビザの問題があり容易には働き始めるのが難しいです。そして働き始めることができたとしても、言語や文化の違いによる壁も少なからずあるようです。しかし、他にも海外での福祉に携わる方法はいくつかあります。例えば、海外でのボランティアやインターンシップを通じて、一時的な期間だけ海外の福祉に携わる方法です。
具体的には、赤十字や難民新団体などの国際的なNGOのオフィスでのインターンシップや、老人ホームや高齢者病院などでのインターンシップなどがあります。今では、さまざまな国でのインターンシップが可能なことに加えて、働く期間も選ぶことができるので、自分の状況に合わせてその期間を定めることができます。
また、日本の介護事業者が海外で介護事業を始める際、現地にスタッフを派遣するため、介護福祉士を募集しているケースもあります。この機会を利用すれば、会社からサポートを受けながら海外で介護福祉士として働くこともできます。
日本人が介護福祉士として、海外で働こうとした場合、ビザの問題や雇用の問題が壁となり、海外で働くことが難しくなっています。また、働くことができたとしても、言語の壁や文化の違いの問題があり、すんなりと海外で介護福祉士として働き始めることができるわけではありません。しかし、一時的なインターンシップや、介護事業者が海外で介護事業を展開する際の現地スタッフとして応募すれば、海外の介護事業に携わることができるでしょう。