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ヘルスケア 2021-01-23

【もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事 Vol.19】スポーツトレーナー 和田拓巳さんの手技・技術

ヘルスケア業界のさまざまな職種にフォーカスし、その道で働くプロにお仕事の魅力や経 験談を語っていただく『もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事』の企画。

スポーツトレーナーとして指導にあたる傍ら、ヘルスケア媒体のライター、講演講師も務めるなど、幅広く活躍をされている和田拓巳さん。そんな和田さんに、これまではこの道を目指したきっかけから現在に至るまでの経緯、スポーツトレーナーとして成功するための秘訣を教えていただきました。今回は、和田さんの手技・技術にフォーカスしてお届けします!

「スタビライゼーション」を取り入れた指導を行っています

―和田さんがレクチャーされているトレーニングメソッドを教えてください。

僕は「スタビライゼーション」というトレーニングメソッドを取り入れ、指導にあたっています。スタビライゼーションとは、古くからドイツなどのヨーロッパ地域を中心に医療体操として取り入れられてきた運動法を基に、日本でオリジナルのメソッドとして研究・開発されたものです。具体的には、主働筋・協働筋・拮抗筋・補助筋群(スタビライザー)を刺激して、バランス能力・リカバリー能力・姿勢反射などのトレーニングができ、コーディネーション能力向上、体幹と四肢の安定感を高めるトレーニングメソッドです。

例えば「腕立て伏せ」を行ったときに主に動く胸の筋肉は「主働筋」にあたります。その主働筋と一緒に動く腕や肩の筋肉は「協働筋」、胸の動きと反対の動きをする背中は「拮抗筋」にあたります。それらの筋肉を同時に刺激するだけでなく、それらをサポートする筋肉「補助筋群(スタビライザー)」も同時に鍛えるトレーニングが「スタビライゼーション」になります。スタビライゼーションにもたくさんのメニューが存在するので、その中から相手の目的や体力に合わせてメニューをセレクトし、状態を見ながら徐々に強度を調整したりなどして指導を行っています。

―では、和田さんが指導にあたる際にとくに気をつけていることを教えてください。

例えば「肩に痛みを感じると、肩以外のどこかを使って動かそうとする」など、人間の身体は痛みを感じると、本人も気づかないくらいの不自然な動きが現れます。そういった小さな気づきを見逃さずに対処できるよう、常に相手の身体をしっかり確認するように心がけています。肩が痛いからといって必ずしも肩に原因があるとは言い切れないように、人間の身体は必ずしも痛みを感じる場所が痛みの原因であるとは限りません。突き詰めていった結果、腰が悪いのが原因で身体の動きが硬くなり、肩に痛みが出てしまっている場合もあったりするので、痛みの原因や筋肉が弱っている場所を指導しながら見極め、適切に対処するようにしています。

和田さんが伝授! お家でできる「スタビライゼーション」

1.スパイン・ポジション

【スタート・ポジションの姿勢】
1. 仰向けになり、両手を身体の横において、膝と足首を90度にします。
2. 1の状態からつま先を上げ、肩・腰・膝の位置(アライメントといいます)が一直線になるように腰を持ち上げます。これがスタート・ポジションです。
【フィニッシュ・ポジションの姿勢】
3. 3秒かけて、片方の脚を膝の位置を変えないように伸ばし、肩・腰・膝・カカトのアライメントが一直線になるようにします。これがフィニッシュ・ポジションです。この姿勢を3秒キープ。
4. 3秒かけてスタート・ポジションの状態に戻し、反対の足も同様に行います。

Point

伸ばした膝の位置が変わったり、腰や膝がくの字に曲がったりしないように意識しましょう。足首は常に90度の状態をキープ。

2.シッティング・ポジション

【スタート・ポジションの姿勢】
1. 長座をして、膝を伸ばし、足首を90度にします。両手を胸の前で組み、頭・肩・腰までのアライメントを一直線にします。これがスタート・ポジションです。
【フィニッシュ・ポジションの姿勢】
2. 頭・肩・腰までのアライメントを保ちながら、3秒かけて上体をできるだけ倒していきます。これがフィニッシュ・ポジションです。この姿勢を3秒キープ。
3. 3秒かけてスタート・ポジションの状態に戻します。

Point

動作中、アゴが上がったり、背中が丸まったり反ったりしないように注意しましょう。

スタビライゼーショントレーニングは、鏡の前で姿勢をチェックしながら行うと、より効果を感じられるそう。寒さが一層厳しくなり、運動不足になりがちな今こそ是非実践を!

▽#1はこちら▽
【もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事 Vol.19】スポーツトレーナー 和田拓巳さんに聞く「この道を目指したきっかけ」>>

取材・文/小沼奈央(レ・キャトル)
撮影/石原麻里絵(fort)

教えてくれたのは…

スポーツトレーナー 和田拓巳さん

スポーツトレーナー。一般の方はもちろん、アーティストやプロスポーツ選手といった著名人への指導経験も多数あり。加えて、ヘルスケア媒体のライターや、トレーニングに関する講演講師、トレーニング用品の商品開発も手がけるなど、活躍は多岐に渡る。

Infomation

本物のスタビライゼーションを学びたい人は…

NPO法人日本スタビライゼーション協会

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